火曜日, 7月 22, 2025
ホーム土浦湖上に白い帆広げる 観光帆引き船運航開始 土浦 霞ケ浦

湖上に白い帆広げる 観光帆引き船運航開始 土浦 霞ケ浦

霞ケ浦でワカサギ漁が解禁となった21日、土浦沖で観光帆引き船の運航が始まった。土浦帆曳船保存会の操業により、同市所有の七福神丸と水郷丸Ⅱの2艘(そう)が、穏やかな風を受けて白く大きな帆を広げ霞ケ浦に浮かんだ。

帆引き船を見ようとこの日土浦港(同市川口)から、ラクスマリーナ(同市川口町)が運航する遊覧船ホワイトアイリス号に約60人が乗船した。湖上に帆が広がると、船内のあちこちから大きな歓声が上がり、乗船客は帆引き船に向かって手を振ったり。写真を撮るなどしていた。

常総市から、5歳と3歳の2人の子どもを連れて乗船した小島志保さん(37)は「帆が大きくて驚いた。初めて見て、言葉にならないくらい感動した。いい天気でよかった」と感想を語った。

白い帆を広げた観光帆引き船=同

かつて900艘が行き交う

帆引き船は霞ケ浦のシラウオやワカサギを獲るための船で、新治郡佐賀村(現かすみがうら市)の漁師、折本良平が1880(明治13)年に帆引き網漁を考案した。大きな1枚の帆で風を受け、風の力を利用して網を引く。

帆の大きさは高さ9メートル、幅16メートルで畳にすると90畳分になる。風速3メートル程度が適しているとされるが、風が吹かないと帆が広がらないため進めず、強風では転覆の危険があった。明治から昭和40年代まで湖上を行き来し、最盛期には900艘ものが行き交ったとされ、かつて霞ケ浦の風物詩ともいわれた。1967(昭和42)年に動力船によるトロール漁が始まると姿を消したが、1971年に観光帆引き船として復活し、現在は観光という形で操業技術が継承されている。2018年3月には霞ケ浦の帆引き網漁の技術が、民俗技術では県内初の国の無形民俗文化財に選定された。

今年度中に市の文化財に

土浦市では帆引き網漁を民俗技術として保存しようと、かすみがうら市、行方市と3市共同で2020年度から24年度まで総合調査と記録映像の撮影を実施してきた。さらに今年度中に土浦市の無形民俗文化財への指定を目指しており、3市足並みをそろえて保存に向けた取り組みを推進していくとしている。(伊藤悦子)

■観光帆引き船は7月21日(月)~10月13日(月・祝)までの毎週土・日曜・祝日に操業する。雨天や強風、無風の時などは運航しないこともある。見学方法は午後1時30分に土浦港の遊覧船乗り場(土浦市川口2-13-6)を出航するホワイトアイリス号に乗船して見学できる。遊覧船の乗船料金は大人1570円、12歳未満780円(税込み)。問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)、またはラクスマリーナ(電話029-822-2437)へ。

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