【橋立多美】立春から数えて88日目にあたるきょう2日は、茶摘みを始めるのに最適な八十八夜。新茶シーズンの到来だ。
筑波大学(つくば市天王台)東側に茶畑が広がる一角がある。栽培から加工販売まで行っている沢辺茶園(つくば市要)の畑で広さ2ha。畑一帯が明るい緑色におおわれ、一年中で最も多忙な時期を迎えた。
同園は、店主の沢辺稔さん(70)が静岡の製茶園で修業を積んで始めた。おいしいお茶は土作りからと有機肥料にこだわり、息子夫婦と一家総出で取り組んでいる。
沢辺さんは「今年は天候に恵まれて順調に生育し、例年に比べて1週間ほど新芽の伸びが早い」という。「さわやかな甘みと旨みを味わってもらえる」と味に太鼓判を押す。
近年、ペットボトルや紙パック入りの緑茶飲料が普及し、急須離れが進んでいる。お茶はペッボトルに入っているのを買う時代となり、緑茶の消費は減少傾向で推移している。
総務省の家計調査によれば、1965年の一世帯当たりの緑茶年間購入量(全国)は2133gだった。この年をピークに下落し、2008年に初めて1000gを割り込み、16年には856gまで落ち込んでいる。
生産者の高齢化と相まって規模を縮小する茶園があるが、沢辺さんは「茶文化を衰退させたくない」と前向きだ。茶葉に触れ、緑茶を急須で飲む習慣を取り戻してほしいと毎年、新茶の時期に手摘みなどを体験できるイベントを開催している。今年は30人募集に40人の申し込みがあり、締め切られた。
ゴールデンウイーク明けには新茶が同園の店頭に並ぶという。問い合わせは電話029-864-0989(同園)。