福島出身 数間よし乃さん制作「継承」
つくば市国松の民間交流施設「じゅんばぁの家」(渋谷順子代表)で18日、福島県出身の写真家で映像クリエイターの数間よし乃さん(46)が監督した映画「継承」の上映会が催される。神社を継承する人々の姿を描いたドキュメンタリーで、上映会には数間さんも出席し座談会も開かれる。
数間さんは福島県猪苗代町生まれ、結婚を機に南相馬市に転居した。東日本大震災の津波で被災し、東京電力福島第1原発事故の影響で東京都府中市に移り住んだ。移住先にあった大国魂神社に1900年の歴史があることに感銘。原発事故で福島を離れたことを悩んでいた数間さんは、神社を継承する人々の姿を通じて、人間にとって大切なものを描こうと映画を制作した。
南相馬市を始めとする相双地方や出身の猪苗代町、喜多方市など福島県内外約30カ所の神社を撮影し、神職や総代、行政区長らをインタビューした。2023年、英語版を制作しフランスのナント三大陸映画祭に応募。その後、英語版を日本語版に再編集し、福島県内各地で上映会を実施している。
数間さんは作品について「私は故郷を捨てた。10年以上その選択が私を苦しめた。東日本大震災による放射能汚染を懸念し、 嫁いだ先の土地を手放した私は、 流産や病気、子供の障害、コロナ禍を経験しながら神社に参拝するようになる。 そこで日本人が長い年月にわたり大切にしてきた神社を支える『神社守り』の人々の撮影を始めた。 長い間の問い、『継承すべきものは何なのか』、失ったものの重みと新たに見つけた意識を描いた映画」だと解説している。
つくばで上映会を主催する渋谷順子さん(66)は神奈川県座間市出身。ドイツに16年間、日本語講師として滞在し、2022年に帰国。現在、筑波山麓の国松に住み、自宅の一部を開放して交流施設を運営するかたわら、筑波山神社や周辺の飯名神社、蚕影神社、六所皇大神宮跡など古くから続く信仰や地域の伝統や歴史に興味を持ち、それらを守り続ける地元住民と交流を続けている。数間監督とは、古代の勉強会で知り合い、自身との接点を強く感じ、これはぜひ他の人にも伝え、応援しなければという思いが起こったという。
渋谷さんは「(自身が)横浜生まれなのに筑波山麓に住んだのはドイツの田舎に住んだから。田舎は自然が豊かであるとともに継承された歴史や文化がある。神社守りを描いた数間さんの映画は、継承すべきものというのがテーマ。捨てたもの、失ったものの重さを数間監督と思い存分語り合うことができれば」と話す。
◆ドキュメンタリー映画「継承」の上映会は18日(日)つくば市国松1022-2 筑波山麓じゅんばあの家で開催。上映時間は①午前の部=10~11時 上映会、11~12時 お話し会②夜の部=6~7時 上映会、7~8時 食事+お話し会。参加費は午前の部無料、午後の部は食事代2000円。問い合わせはじゅんばあの家(メールjunbaanoie@gmail.com、電話080-4713-3104)へ。