土浦市は1976年から毎年、市立小学校と義務教育学校に入学する新1年生に、入学祝い品としてランドセルを無料で贈呈している。来年で50年の節目を迎えるのを機に、来春の新1年生から性別に関係なく、性別によるイメージを連想させにくいジェンダーレスの薄い茶色に統一する。
同市では2020年度まで、赤いランドセルを女子、黒を男子に贈呈していた。保護者から「こういうご時世で赤が女子、黒が男子はおかしい」などの声が出て、21年度から好きな色を選べる選択制に変更した。22年度からは黄色のリュックサックを加え、赤と黒のランドセルと、黄色のリュックサックの3色から選んでもらっていた。今年度は新1年生838人のうち、赤を選んだ児童は421人、黒は417人、黄色は8人だった。このうち赤を選んだ男子は4人、黒を選んだ女子は4人だったという。
事業の継続性を考え1色に
昨年、市内の小学6年生約1100人と保護者代表約30人にアンケート調査を実施し選定した。薄い茶色、濃い茶色、紺色、キャメルの4色の中から選んでもらったところ、小学6年生は薄い茶色、保護者はキャメルが一番人気だった。明るい色の方が目立ちやすいなど登下校時の安全性を考慮し、市教育委員会が薄い茶色を選んだ。複数の色の中から選択できる方法も検討したが、事業の継続性を考え、1色に統一したという。
合わせて機能面を強化しリニューアルする。夏の暑さ対策として背あてにメッシュ素材のクッションを追加したり、授業で使用するパソコンのタブレット端末を家に持ち帰って学習できるよう収納スペースを確保したり、ランドセルの名前入れを、蓋部分の「かぶせ」の内側に移動させて外から児童の名前が見えないよう防犯対策などをする。リュックサックは機能強化が難しいことから廃止する。
素材は人工皮革で、重さは約1100グラム、A4の教科書やタブレット端末が入る大きさ。土浦鞄商組合に製造を委託する。来春は16校に入学予定の約860人に贈る予定だ。ランドセル1個当たりの価格は約1万3000円程度。予算は総額で1159万8000円程度を想定している。価格は材料費や人件費の高騰のほか、機能面を強化するなどから、前年度より25%上昇する見込みだ。
贈呈事業は、家庭の経済的負担軽減を図ることが目的。贈呈するランドセルは指定ではなく、市販のランドセルやリュックサックを使ってもいいが、ほとんどの児童は贈呈されたランドセルを使っているという。
同市によると、県内では44市町村のうち16市町村が新1年生にランドセルを贈呈している。色をジェンダーレス1色に統一するのは鹿嶋、笠間、高萩、日立市に続いて県内で5市目になる。(鈴木宏子)