木曜日, 1月 22, 2026
ホームつくば「救急隊に過失なかった」つくば市第三者委が調査報告 3歳男児 搬送されず重度の障害

「救急隊に過失なかった」つくば市第三者委が調査報告 3歳男児 搬送されず重度の障害

高熱を出したつくば市の3歳男児(当時)が2023年4月16日未明、救急車で病院に搬送されず、その後、急性脳症と診断され重い障害を負った事案で、市が設置した第三者委員会「市救急隊不搬送事案検証委員会」(委員長・関健太郎弁護士)が26日、検証結果をまとめ、「男児は緊急搬送の必要性がある状態になく、救急隊には搬送義務があったとは言えず、過失はなかった」などとする報告書を出した。

報告書によると、男児は1週間ほど前から体温が上がったり下がったりし、同年4月15日、医療機関を受診した。かぜと診断され、せき止め薬などを処方された。その日の夜中、男児の体調が悪化し、翌16日午前0時50分、家族は119番通報して救急車を呼び、40.8度の熱があり、けいれんのような震えが止まらないこと、ぐったりして受け答えができない状態であることなどを伝えた。

午前1時ごろ救急車が到着。父親が男児を抱きかかえ両親は玄関の外で待っていた。屋根下に移動し、救命士はそこで男児を観察、男児は発熱しているが、意識、呼吸、脈拍、顔色などに異常はなく、震えはけいれんではなく発熱や寒さからくるものであるから救急搬送の必要はないと判断した。救命士は、家族が自家用車で向かうのであれば病院を選定することを家族に伝え、病院に電話連絡し、現場を引き上げた。

家族は自家用車で病院に向かい、午前1時30分ごろ到着した。到着後、男児は呼び掛けにも反応がなく、けいれん発作などが繰り返し起こるけいれん重積などと判断され入院。20日に急性脳症と診断された。

男児の家族は不搬送とした救急隊の判断を問題視し、つくば市は24年3月、第三者による検証委員会を設置した。救急隊に過失があったか、救急隊の活動規程や隊員の教育・訓練に過失はなかったかなどついて1年間にわたり計7回、委員会を開き調査した。救急活動記録、各病院の診療記録のほか、救急隊員と男児の家族にそれぞれ聞き取りなどをした。搬送しなかったことと、男児が重度の障害を負ったことの因果関係については検証対象ではないとしている。

検証方法は、救急搬送について、県が定める救急搬送と医療機関の迅速な受け入れについての基準と、15歳以下の小児・新生児の救急搬送・受け入れの実施基準に基づいて、救急隊に過失があったかなどを検証した。

けいれんだったと認定できない

検証結果は、救急隊員と家族との間で男児の状態に対する供述が異なっているとしながら、男児の意識レベルについて、救命士は現場に到着した際、子供の泣き声を聞き、病院の診療記録にも救急車が到着したときに一度泣いたという記載があることなどから、救急車到着時点では男児に重度の意識障害はなく、ぐったりまたはうつろな状態ではなかったとした。男児に震えがあったことについて「(救急搬送の必要がある)けいれんであったとの認定はできなかった」とし、小児・新生児救急観察基準票に基づいても「救命士が観察した時点で救急搬送が必要とされる状態にあったとまでは認定ができない」と結論づけた。

一方で救命士は、脈拍数、体温、血圧、酸素飽和度の測定をしていなかったと指摘しながら「観察に不備がなかったわけではないが、一通りの観察はしており、不備のない観察をしたとしても救急搬送が必要とされる結果にはならなかった」とした。

検証結果について委員長の関弁護士は「コメントが難しい。議論が多岐にわたる事案で、冒頭に検証委員会として何をやるかを提示している。話をし出すといろいろなところまで波及してくる。救急業務は病院、医師、全体として成り立っている。そういう意味でもコメントがしずらい」と話した。

検証結果について五十嵐市長は「過失の認定には至らなかったが、当時の救急活動に問題がなかったとは思っていない。観察項目の省略があったと報告を受けた。結果に影響を与えなかったとはいえ、本来丁寧に行うことが必要だと思っている。消防は誰からも頼りにされる存在である必要があるので、今回の事案を教訓として今後適切な救急活動が行われるよう管理者として努めていきたい」と話した。

青木孝徳消防長は「過失はないものとされたが、当時の救急活動によって検証委員会を設置することになったこと、相手様にご負担を生じさせたこと、市民の皆様の信頼を損なう結果となったことに対しては反省している。今後は同じことを繰り返さないよう職員教育を徹底して、市民に信頼される消防行政を目指したい」と述べた。

家族「納得いかない」

一方、検証結果は同日、家族にも報告された。市消防本部によると「(家族として)納得いかない。ありえない」との意見が出されたという。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

32 コメント

32 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ごみピット内で出火 一時白煙が充満 土浦市清掃センター

21日午後3時ごろ、土浦市中村西根、市清掃センターで、集められた可燃ごみを一時的に貯蔵する可燃ごみピット内から出火し白煙が発生、ピット内は一時白煙が充満した。 施設の運転管理委託業者が初期消火活動をしたが白煙の発生が止まらず、午後3時2分に119番通報。駆け付けた消防隊員が水をかけるなどして消火活動を実施し、午後4時55分に鎮火が確認された。けが人はいない。 同清掃センターによると、ピット内でごみの一部がくすぶった状態になり、白煙によりピット内を目視するのが難しいほど充満したという。 どのくらい焼けたかや、出火原因は現在のところ特定できていない。鎮火後、ピット内の可燃ごみを調べたところ、ごみ自体に大きな焼け跡などはなかった。ごみ処理施設の設備や建物の躯体にも損傷はなく、同センターは、22日以降のごみの受け入れや処理に支障はないとしている。

立憲の青山氏「中道」に加わらず 衆院選茨城6区 4氏が立候補へ

23日の解散に伴い、27日公示、2月8日投開票が予定されている衆院選で、茨城6区から立候補を予定している立憲民主党現職の青山大人氏(46)が21日つくば市内で開かれた記者会見で、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」に加わらず、無所属で立候補すると話した。 青山氏は「政治家としての私の信念の中で今回は無所属を選んだ。単純に選挙戦だけを考えれば厳しいことは承知している」とし「有権者の視点から見た場合、有権者が本当にそういうことを求めているのか。自分自身も直感的に違和感を覚えた」と新党結成に疑問を呈した。「我々は有権者から選ばれる立場。信頼される政治という根本の部分を大事にしたい」と述べ、「私の考え、政治姿勢が大きく変わったわけではないし、これからもぶれることはない」などと話した。 青山氏は、立憲の離党と新党の入党届け提出期限となる20日に立憲民主党を離党し、同日、つくば市西大橋で開いた衆院選の事務所開きで、無所属で立候補することを支持者らに明らかにした。無所属だが連合茨城の推薦を受けて選挙戦に臨む。立憲の衆院議員146人のうち新党に加わらなかったのは青山氏と原口一博氏の2人だけ。 共産が新人を擁立 一方、共産党県委員会は20日、茨城6区に、新人の稲葉英樹氏(58)を擁立することを発表した。稲葉氏は土浦市出身、同市在住。半導体製造会社勤務を経て、現在、党南部地区副委員長。 6区にはほかに、自民党現職の国光あやの氏(46)、昨年12月に立候補を表明した参政党新人の堀越麻紀氏(53)を含め計4氏の立候補が予定されている。 前回2024年10月の衆院選茨城6区は、立憲現職の青山大人氏、自民現職の国光あやの氏、共産新人の間宮美知子氏の3氏が立候補し、青山氏が12万票超の得票を得て小選挙区で初めて国光氏を破り、国光氏は比例復活した。青山氏は前回、6区の土浦、石岡、つくば、かすみがうら、つくばみらいの5市すべてで国光氏を上回った。(鈴木宏子)

昨日までの邸宅を脱ぎ捨て、「駅前」という自由をまとう《人生100年時代》

広告【コラム・岩本将哲(サンヨーホームズ)】街を歩けば、庭木の手入れに精を出す紳士淑女の姿をよく見かける。現役時代に築いた広大な邸宅は人生の勲章であり、家族の記憶が染み込んだ聖域だ。しかし、あえて問いたい。その「聖域」が、いつのまにかあなたから「軽やかな自由」を奪ってはいないだろうか? 人生100年時代。私たちはあまりに長く「家を守ること」に縛られ過ぎている。階段の上り下り、冬の廊下の寒さ、駅までの億劫(おっくう)な距離。それらを「年相応の我慢」として受け入れるのは、いささか早計だ。本当の意味で人生を謳歌(おうか)する知的なシニアたちは、今、鮮やかに住まいを「最適化」し始めている。 駅前マンションで人生を2度、恋させる その象徴的な舞台が、JRひたち野うしく駅直結の「サンミットひたち野東ステーションフロント」である。ここを「老人ホーム」と呼ぶのは、野暮(やぼ)というものだ。ここは、自立した大人が自分の意志で選び、自分の資産として登記する「分譲マンション」である。 コンシェルジュによるホスピタリティと、建物1階にクリニックや調剤薬局を備える安心感は、いわば「見えない執事」が常に寄り添っているようなものだ。それでいて、一歩外へ出れば駅に直結するペデストリアンデッキ。都心の観劇へも、なじみのショップへも、雨に濡れず、誰の手も借りずに繰り出せる。 特筆すべきは、入居に際して「身元引受人」や「保証人」を必要としない潔(いさぎよ)さだ。子供に負担をかけたくない、誰にも依存せず自分の人生を完結させたい。そんな現代的なプライドを、この建物は優しく、そして力強く肯定してくれる。所有権分譲だからこそ、将来の売却や相続も思いのままだ。 「今の家が一番」という頑(かたくな)な思いを、少しだけ解いてみてはどうだろう。思い出は、場所を変えても色褪(あ)せない。むしろ、煩わしい維持管理から解放されたとき、夫婦の会話は新婚時代のような軽やかさを取り戻すかもしれない。 「終の棲家」を我慢の場所にしない 人生の後半戦、家はもう「守るもの」ではなく「遊び場」であっていい。「終(つい)の棲家(すみか)」を我慢の場所にしないほうがよい。駅前で、新しい自由を手に入れた人々の顔は、驚くほど若々しい。次は、あなたの番だ。昨日までの重たい邸宅を脱ぎ捨てた先に、見たこともないほどチャーミングな「明日の自分」が待っているはずだ。(福祉住環境コーディネーター・終活カウンセラー) <サンミットひたち野東ステーションフロント>▽所在地:茨城県牛久市ひたち野東1-32-8▽形態:シニア向け分譲マンション(所有権方式)▽特長:駅直結、入居者専用レストラン・大浴場、365日24時間有人管理で緊急対応、身元引受人(保証人)不要▽見学会・相談会:随時受付中(予約制)▽資料請求・見学希望:🆓0120-555-712、または『サンミット』で検索

生物多様性保全、情報発信で協力 つくば市と実験植物園が連携協定

つくば市と国立科学博物館筑波実験植物園(同市天久保)は19日、「相互協力の促進に関する基本協定」を締結し、同植物園で締結式を行った。生物多様性の保全や研究成果の活用、市民への理解啓発など幅広い分野で連携し、今後、企画展や情報発信などを共同で進めていく。 協定では①自然環境の保全②相互の情報・資源・研究成果の活用③市民の安全・安心に関する情報共有④学術研究・科学技術の振興⑤学校教育・社会教育の増進⑥市内大学・研究機関との連携促進⑦これらの目的達成のための必要な事項など7項目を掲げた。 筑波実験植物園は14ヘクタールの敷地内に、日本の植生や世界の熱帯・乾燥地などの自然環境を再現し、絶滅危惧種を含む約7000種類の植物を保有する。そのうち約3000種類を自然に近い形で公開する国内有数の研究施設。企画展やイベントを通じ、年間9万から10万人が訪れている。 市の担当課は今回の協定締結の目的について「昨年3月に市が策定した『生物多様性つくば戦略』が掲げる『生物多様性を守り育むことが当たり前になる社会』という理念は、植物園の『知る・守る・伝える』という方針と合致する」と説明。昨年12月に開催した蘭(らん)展の共催や、今月27日まで開催されているインターネット投票を活用した写真コンテスト「全国に自慢したい!つくばの植物」を協力して実施しており、「市民の理解促進と、子どもたちが自然を身近に感じ継承できる取り組みをさらに進めたい」と述べた。 五十嵐立青市長は「生物多様性は言葉だけでは実感しにくいが、植物園は肌で感じられる場所」だとし、約3000種の蘭を保有する世界有数の保全施設としての同園の特徴を生かし「『蘭のまち』としての発信も検討できる」と述べた。また、市民団体と専門家が協働する循環づくりや、生物多様性センターを拠点としたツアー開催などの構想をあげながら、「都市の中の生態系づくりを専門家の助言のもと進めたい」と語った。 筑波実験植物園の遊川知久園長は「まずつくば市民の皆様に植物園を知っていただきたい。そのために、研究・保全活動、学習支援活動、企画展やイベントの情報発信で市と協力していきたい」とし、「市内にも絶滅危惧種がある。その保護、繁殖に植物園のデータを生かすなど、課題に筑波実験植物園の職員が貢献していくことを考えている」と展望を語った。(柴田大輔)