多数の受賞歴を持ち、独創的な手法で現代を生きる女性の切実な心情を表現する漫画家で、筑波大准教授の山本美希さんの作品展が、25日から土浦駅に隣接する土浦市民ギャラリーで始まる。
展示は2部構成で、第1部は、82点の原画と今回の展示のために山本さんが書き下ろしたテキストなどを展示する。さらに、出産を控える夫婦の葛藤を描いた2020年の作品で、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した「かしこくて勇気ある子ども」がモチーフの立体作品などを展示する。作品を通じて「山本作品」が生まれる背景に迫る。
第2部は、山本さんが教鞭を取る筑波大学芸術系ビジュアルデザイン領域の学生や、現在、マンガ家として活躍する山本さんお教え子の作品など100点以上が展示される。「物語の内容と表現手法の関係」を突き詰める山本さんが、大学で学生に伝える内容の一端に触れることができる。
会場ではほかに、山本さんのデビュー作「爆弾にリボン」の元となった筑波大学在学中に卒業制作として書き上げた「爆弾とリボン」や、山本さんの作品をモチーフに作成された4つの映像作品も上映されている。
会期は5月5日まで。本をテーマにした市立図書館との連携企画展となっている。連携企画展は同ギャラリーが2017年の開館以来、隔年で開催している。
企画を担当した土浦市民ギャラリーの若田部哲さんは「山本さんは、絵の持つ力を考え抜いて作品を作っている。展示では、初期の作品から近年の色鉛筆を使った作品まで、それぞれの作品に対する思索に触れることができる」とし、「漫画は日本文化として国際的にも認知されているが、対象をわかりやすく表現するために、実際はそう見えていないものも『記号的』に表現することがある。それによって、物語を気軽に楽しめるという特性がある。山本さんのすごいところは『記号的』なものを一度解体し、『果たして、それが本当にそう見えているのか?』を考えるところ。アウトプットの方法を含めて、深い思考をされている」と作品の特徴を話す。
さらに「山本さんの展示としては、これまでで最も大きなものといえる。第1部で取り上げている作品『かしこくて勇気ある子ども』は、これから子どもが生まれる若い夫婦を軸に展開する物語。子どもを持つことへの大きな喜びと、それゆえの不安を克明に描いている作品で、普遍的なテーマといえる。何度来ていただいても楽しめる構成になっている。高校生や大学生など若い方に限らず、いろいろな方に見ていただきたい」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔)
◆「マンガ作家 山本美希展」は、土浦駅西口前の土浦市大和町1-1アスカル土浦1階、土浦市民ギャラリーで25日(火)~5月5日(月)開催。開館時間は午前10時から午後6時。月曜休館。入場無料。4月13日(日)には牛久市出身のマンガライター・横井周子さん、4月19日(土)にはマンガ家の大白小蟹さんとのトークイベントが行われる。それぞれ午後1時から午後2時30分まで。いずれも参加費無料、予約不要。問い合わせは029-846-2950(土浦市民ギャラリー)へ。