月曜日, 4月 28, 2025
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牛久栄進高の志願増と竹園高の学級増《竹林亭日乗》26

【コラム・片岡英明】つくば市内の県立高校不足に土浦一高の定員削減が重なり、つくばの受験生と保護者の不安が高まっている。つくば市からの進学者が多い土浦一高、竹園高、土浦二高、牛久栄進高への志願数を調べた。

牛久栄進の志願者が激増

今年は土浦一高4学級化の2年目。高校入試で何が起きているかを、2024年と25年の志願先変更前の志願者数で調べてみる。

削減1年目の昨年、土浦一高への志願者は222人(定員160)となり、志願先変更で208人(前年比75人減)となった。この土浦一高の定員削減のあおりを受け、土浦二高志願者が430人(定員320)、竹園高435人(定員320人)と、両校に100人以上オーバーの波がきた。

2年目の今年はどうか。土浦二高と竹園高は昨年の100人以上オーバーで難校化、今年の受験生は牛久栄進高に497人(定員360)の波となって現れた。志願先変更で466人となったが、106人の定員オーバーである。

31人という志願先変更の多さには心が痛む。多くの方に、これら生徒、保護者、教師の苦労を感じてほしい。

心配なのは、削減1年目に土浦二高と竹園高、2年目に牛久栄進高に向かった受験生の波が、3年目はどこに向かうのかだ。その受け皿として、改革が始まったつくばサイエンス高校と筑波高校に期待している。つくば市内の両高の魅力アップは地域の発展にも重要で、私たちも応援したい。

しかし、中卒生が激増し、6人に1人しか市内の県立高校に入学していないつくば市で、それだけでは不十分である。

24年からの受験生の大波は、つくばエリアの県立高校不足と土浦一高の定員削減によって生まれた波と考えている。その波の性格に注目し、大人は受験生が安心して学べる入試環境を用意する必要がある。

竹園高に2学級増を

TX沿線開発で人口と子どもが増えているつくばエリアに、県立高校新設が必要なのは明らかである。県も牛久栄進高1学級増や市内3校のうち2校で対応(サイエンス高の普通科設置、筑波高の進学クラス設置)しているが、生徒増に追いつかない。そのため、生徒と保護者の期待は竹園高に向かっている。

県は2019年の高校改革プランで、当時のつくばエリアの57学級(中等4学級を含む)を、26年までに59学級にすると発表した。

25年入試では58学級だが、その1学級増は水海道一高付属中からの内進枠である。一般の高校受験枠は改革プラン実施後も53学級のままで、増加していない。この点でも学級増の必要性は高い。県はTX沿線への高校新設を検討しつつ、26年から竹園高に2学級増やし、昨年から起きた受験生の波を受けとめてほしい。

つくば市も、竹園高学級増のために校舎建設の協力を表明している。1月の県教育委員会との懇談では、県も独自の調査で校舎増設が可能であると述べた。条件は整ったと思う。今年の受験生の波を受け止め、竹園高の学級増で小中学生と保護者の希望に応えてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

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事業協力者に戸田建設など 桜土浦IC周辺に産業用地開発へ

常磐道桜土浦インターチェンジ(IC)周辺で土浦市が検討を進めてきた新たな産業用地の創出について、事業計画策定や造成工事、企業誘致などを一括して担う事業協力者が準大手ゼネコンの戸田建設(東京都中央区)など3社でつくる共同事業体(JV)に決まり、25日、土浦市役所で、地権者団体と戸田建設などが基本協定を締結した。安藤真理子市長らが立ち会った。 同ICと国道6号バイパス建設予定地に近接する同市中村西根の約33ヘクタールに物流倉庫や工場などを誘致する。着工は早くて2028年ごろ。同市で工業団地が新たに造成されるのは1996年以来。 開発事業は、地権者らが今後、土地区画整理組合を設立して実施する。具体的な計画策定、測量、設計、造成工事、企業誘致などは戸田建設など3社でつくるJVが担当する。地権者は84人で、現在97%が農地や山林などの民有地となっている。昨年1月時点で地権者の90.1%の仮同意を得ている。 総事業費は約50億円。ほかに市が道路や公園、水路など公共施設の整備費用として8億円を負担する。事業費に充てるため地権者は自分の土地を平均73%提供する(平均減歩率)。造成後は、33ヘクタールのうち15.5ヘクタール(保留地)を売却して事業費をねん出する。 事業協力者は戸田建設のほか、物流・商業施設の開発などを手掛けるデベロッパーの日鉄興和不動産(東京都港区)、不動産事業や解体事業などを手掛ける大洋(東京都中央区)の3社。地権者団体の桜土浦IC周辺地区土地区画整理組合設立準備委員会(中村雄一会長)が今年1月、事業協力者を公募し、応募があった2JVの中から選定した。中村会長は、戸田建設が圏央道常総IC周辺の「アグリサイエンスバレー常総」の開発に関わった実績から選んだと説明し「道の駅常総やトマト、イチゴ農園などを視察した。経験ある戸田建設に安心してお任せしたい」と述べる。戸田建設は事業全般、日鉄は企業誘致、大洋は地権者の合意形成などを担当するという。 事業提案で戸田建設らは①広域交通ネットワークを生かした新たな産業拠点の創出②豊かな自然環境との調和を目指す環境共生サステナブル産業都市を掲げた。「環境共生型に特化したまちづくりを行い、地域ブランドとして、他地区と差別化できるまちづくりをしたい」とする。昨今の建築資材や人件費の高騰に対しては「リスクを加味した事業計画をつくりたい」としている。 一方、地権者の平均減歩率が73%になることについて準備委員会の中村会長は「70%を超える減歩率は他地区でもなかなかないと思っている。地区は畑が半分ぐらい、山林が半分ぐらいで、畑はほとんど作っていない状態、管理するのに耕して草が生えないようにしている。山林は奥の方に入るとごみの山。山林の中に昔は農道があったが、今は農道なのか分からない状態。そういう状態をこれから先、次の世代まで続けて、残していくかを考えた時に、こういう機会しか、地域をもっときれいにする機会がないのではないか。地域の皆さんに、皆の大切な財産をもっときれいに、有効に使っていきましょうと話している。そういうことだったらと、90%を超える賛同をいただいている」と語った。 同市は、2019年に県が新たな産業用地の開発を推進する「未来産業基盤強化プロジェクト」を発表したのを受けて、20年から検討を開始した。21年にはゼネコン、デベロッパーなど民間事業者を対象にヒヤリングを実施、高い評価が得られたため、桜土浦IC周辺を候補地とし、22年から地元説明会、23年には地権者意向調査を実施してきた。昨年6月には同地区の地権者団体である準備委員会が設立された。(鈴木宏子)