金曜日, 7月 24, 2026
ホームつくば「県南の小田氏文化圏こそ雪村育てた」 水墨画の巨匠めぐり謎解き

「県南の小田氏文化圏こそ雪村育てた」 水墨画の巨匠めぐり謎解き

水墨画の巨匠、雪村(せっそん)をめぐっては現在、作品の多くをたどることはできても、生没年には諸説あり、生誕地も不詳、どこで画業の修業を積んだかも不明という謎多き存在だ。この歴史ミステリーに挑んでいるのが茨城県北、常陸大宮市に事務局を置いて活動している雪村顕彰会(冨山正一会長)。18日には冨山会長が土浦市に足を運んで講演し「県南の小田氏文化圏こそ雪村を育てた拠点だったかもしれない」の自説を展開した。

顕彰会主催の雪村講演会は土浦市大和町、県南生涯学習センターで開かれた。2月15日から水戸市の県立博物館で開館50周年企画展「雪村ー常陸に生まれし遊歴の画僧」が開かれることから、前宣伝を兼ねての開催となった。雪村は室町時代の画僧で常陸国生まれ、当時の県北一帯を支配していた佐竹氏ゆかりの出自とみられるが、県南では今一つなじみがない。

生まれた年については延徳元年(1489)、明応元年(1492)、永正元年(1504)の3学説があり、晩年の隠棲地となった福島県三春での生誕を主張する向きもある。

講演する冨山章一会長

佐竹氏の研究家として知られる冨山会長は、これらの諸説や文献と向き合い、各地に足を運んで実地に調査、取材をし考察してきた。その上で「冨山の見方」と断っていくつかの持論を展開した。

生誕地は「奥七郡」、茨城県北部の部垂(へたれ)の村田郷、現在の常陸大宮市下村田が有力とした。雪村は得度(出家)の上画僧になっているが、得度寺は下村田に近い那珂市の静神社境内にあった弘願寺(こうがんじ、現在は移設)の可能性が高い。弘願寺は常陸国で唯一、版木による印刷物を発行していた。

修業を積んだのは城里町下古内の臨済宗幻住派の清音寺(せいおんじ)と見る。ここで禅宗の幻住派がクローズアップされる。幻住派の開祖である中国・元時代の禅僧、中峰明本(ちゅうおうみんぽん)の画など宋、元時代の絵画に接したと考えられる。権威主義を排し自由さを求めた教義に雪村はひかれ、創作にも影響を与えたようだ。

土浦の法雲寺目指す

そして雪村は清音寺の法縁を頼って土浦市高岡の法雲寺(ほううんじ)を目指した。関東における当時最大の幻住派の拠点だった。何百人と修行僧のいる大きな寺で、画業の研さんを積むには不向きだったが、法雲寺末寺の崇源寺が桜川対岸のつくば市大にあった(現在は廃寺)。小田氏の最盛期を築いた8代当主孝朝が開基した。崇源寺は末寺の中でも別格の大寺といえ、ここに雪村が住んでいたという話と雪村作と伝わる絵が伝わっている。

さらにつくば市小田の龍勝寺には雪村作の「鷹(たか)図」が所蔵(門外不出)されている。龍勝寺も元は孝朝が建立した崇福寺で、幻住派寺院だった。

土浦-つくば一帯の法雲寺と末寺を中心に育った地域文化を「小田氏文化圏」と命名した冨山会長は「県北の佐竹氏の文化は、後の支配者である水戸徳川家との関係でベールに包まれてなかなか見えてこないところがある。小田氏文化圏はそうしたフィルターを介さずに伝わっているようだ。雪村についても掘り起こしてみるともっと出てくるのではないか。興味深く見守りたい」と語った。(相澤冬樹)

◆「雪村ー常陸に生まれし遊歴の画僧」は2月15日(土)から4月6日(日)、水戸市緑町の県立博物館で開催。同館では33年ぶりに雪村の名作が全国から集まる。国重要文化財の「風濤(ふうとう)図」など100点以上を展示。入場料:一般690円、満70歳以上350円、小中高生・未就学児は無料。電話029-225-4425。【おことわり】本記事の内容は同展に直接関わるものではありません。

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世界一臭い花 ショクダイオオコンニャクが開花 筑波実験植物園

独特の悪臭を放ち世界一臭い花といわれるインドネシア・スマトラ島原産のショクダイオオコンニャクが23日、つくば市天久保、国立科学博物館 筑波実験植物園(遊川知久園長)で開花した。見頃は2~3日で、その後は枯れてしまう。 この株が開花するのは同園で7回目。2023年に開花し人工授粉によって実を付けて以来の開花となる。実を付けたら枯れてしまうことが多い中、結実後に開花したのは日本で初めて。世界でも珍しいという。 世界で最も大きな花の一つで、23日開花した花は、高さ2メートル38センチ、直径は93センチ。世界最大の花として、高さ3.1メートルのものがギネスブックに登録されている。 開花後、ろうそくのような突き出た部分を発熱させて、食べ物が腐ったような臭いを放つ。本来、夜に開花し、昼は花びらの役割をする花序(かじょ)を閉じる。開花中の深夜、独特の臭いを1キロ先まで発散させて、昆虫や動物の死骸をえさにする夜行性の甲虫、シデムシをおびき寄せる。花序(かじょ)の内側に雌花と雄花の集まりがあり、シデムシの体に花粉を付けて媒介させる。 しかし同園での今回の開花は昼夜逆転となり、23日午前7時ごろ出勤した職員が、開花が始まっているのに気付いた。朝方に開花が始まったのは同園で初めて。今回なぜ朝開花したのか、原因は分からないという。ただし、昼夜逆転により、来園者は今回初めて、開花した状態を見ることができる。 独特の強烈な臭いは、今回、昼夜逆転の影響なのか、「今年の臭いは本来より弱め」だと同園育成員の小林弘美さん。「いつもは服ににおいが染み付くぐらい臭い」という。 ショクダイオオコンニャクは絶滅危惧種で、原産地のスマトラ島では、限られた森の中だけに生える。今回開花した株は、2006年に東京大学の小石川植物園(東京都文京区)から譲渡を受けた。筑波実験植物園ではこれまで2012年5月に初めて開花して以降、2~3年に1度、計7回開花している。同実験植物園では、京都府立植物園(京都市)から譲り受けた別の株も2023年と25年に2回開花しており、ショクダイオオコンニャクの開花は筑波実験植物園で9回目となる。 展示している熱帯雨林温室には、開花中のショクダイオオコンニャクと合わせて、タイ原産の高さ約7.5センチの世界一小さいコンニャクの花も展示している。遊川園長は「世界最小のコンニャクも日本ではほとんど咲いたことがない希少種。どういう虫に花粉を運んでもらうかという進化の過程で、こんなにも変わる。両極端の個体を同時に見てほしい」と話す。(鈴木宏子) ◆開花中のショクダイオオコンニャクは、つくば市天久保4-1-1 国立博物館 筑波実験植物園 熱帯雨林温室内で25日(土)か26日(日)ごろまで見ることができる。開花に合わせて同園は24日(金)の開園時間を通常より30分早めて午前8時30分から開園する。閉園時間は90分延長し、午後6時30分に閉園する(入場は午後6時まで)。通常の開園時間は午前9時から午後4時30分(入場は午後4時まで)。入園料は一般・大学生320円、小中高校生と65歳以上、障害者などは無料。