【コラム・片岡英明】茨城県教育委員会は昨年10月、2030年までの「県立高校の今後の募集学級数・募集定員の見込みを試算」を発表した。その試算1によると、30年の県全体の中学卒業生は24年に比べ2141人減少する。この中卒者減に対応して、県立高の定員を1480人(37学級分)減らすとしている。
今回の試算では、中卒者減に対する県立高の定員削減率は69.1%。減少する中卒者の7割に相当する県立高定員を減らすことになる。
本来は8学級増が必要
県教育庁は県内を12エリアに分け、エリアごとの学級増減も示している。これによると、県全体では県立高定員が削減されるが、つくばエリアの中卒者は逆に477人増えることから、現在58の学級数を61にする。
つくばエリアの中卒者増に対する定員増加率は25.2%となっているが、県全体の中卒者減に対する定員削減率が69.1%であるならば、つくばエリアの県立高定員増加率も同様にすべきではないか。
つくばエリアの中卒者が477人増える(24年~30年)と推計すると、その中卒者増に見合う定員増は330人(中卒者増の69.1%)になる。ということは、本来8学級増を示すべきではないか。
本来8学級増なのに、なぜ3学級増なのか? 生徒が急増しているつくば市内には県立高が少なく、3学級しか増やせないと判断したのであろう。
竹園高には2学級増を
県教育庁が2019年に発表した「改革プラン」では、つくばエリアの中卒生は440人増加する(18年~26年)と推計していた。今回試算と同様に考えると、440人増には7学級増が必要だが、当時の学級数に2学級プラスした59学級に抑えられていた。
18年~30年、つくばエリアの中卒者は747人増える。この生徒増に合わせるには12学級増が必要となる。ところがその後、つくばエリアの学級は1学級しか増えていない(57学級→58学級)。改革プランと今回試算を合わせても、4学級増(57学級→61学級)に抑えられている。このことが、多くの小中学生の高校進学の悩みの元になっている。
この2年間、牛久栄進高の1学級増、筑波高の進学コース設置、サイエンス高の普通科設置など、県立高の定員問題は改善されている。しかし、中卒者増に学級増が追いついていない。つくばエリアの中卒生増に対応するために、2026年度には県立竹園高の学級を2つ増やしてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)
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