【コラム・若田部哲】温泉のイメージがあまりないと言われる茨城県。ところが実は、県内各所に特徴あふれる様々な温泉があるのです。そのひとつが、鉾田市の公営複合温泉施設「とっぷ・さんて大洋」。
1992年の開館以来、鉾田市や鹿嶋市など近隣の方のみならず、休日になると県外からも多くの方が訪れる同施設は、多い年には年間約20万人もの人が来館するそうです。その魅力について、支配人の生井沢さんにお話を伺いました。
この温泉の特徴と魅力は、なんと言ってもそのお湯。毎分67リットルの湯量でとうとうと湧き出るお湯は、コーヒーと見まがうほどの黒褐色! 初めての入浴時、その色に目はくぎ付け。しばし見入ってしまうこと必至です。
この特徴的な色は、土壌中の植物性堆積物が分解される過程で生成する「フミン質」に由来するそう。お湯の肌触りはなめらかで、入浴後もポカポカとした温かさが続くと評判です。黒湯は物によっては色うつりすることがあり、「持参した白いタオルが黒くなってしまった」と、笑いながら話すお客さんもおられるとのこと。
元日は特別に朝6時から営業
お湯の魅力に加え、眺望の素晴らしさも特筆すべきポイントで、露天風呂の眼前には、木立越しに鹿島灘の大海原が広がります。
「黒湯と木立越しの大海原」という字面でのご紹介だと、まるで高級温泉リゾートのような雰囲気を感じるかもしれませんが、この施設はとても地域密着。土地の方々の地元言葉も賑々(にぎにぎ)しく、地元に愛される庶民派温泉という風情で、その点もたまりません。
生井沢さんに、より温泉を楽しむための方法を伺うと、「当館は温水プールやトレーニングジムが併設された複合施設。『温泉』と、そうした設備が併設された施設はなかなかありません。運動してからご入浴いただくことで、よりリラックス感を味わっていただけるのでは…」とのアドバイスが。
さらに、毎年元日は特別に朝6時から営業を開始し、温泉につかりながら鹿島灘から昇る初日の出を眺められるそうです。新しい一年の始まりを、個性あふれる黒湯の温泉で迎えてみてはいかがでしょうか。(土浦市職員)
<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ヶ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。
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