【コラム・小泉裕司】12月7日(土)午後7時、牛久沼畔で、山﨑煙火製造所のミュージック・スターマインが、初冬の澄んだ夜空に鮮やかなきらめきを見せた。オープニングは青と紅が交互に変化する牡丹(ぼたん)花火。パステルカラーや錦色の柳や千輪が荘厳なチェロ曲「Dark Academia」にシンクロし、間の取り方や時差変化に引き込まれた2分30秒。土浦仕様のスターマインに違いない。
打ち上げ現場近くでの山﨑智弘社長との会話は、おのずと土浦花火中止の話題に。「いろいろあるのでしょうが、前を向くしかないです」と、土浦花火を支える主要な1人である社長。複雑な思いをにじませながらも、潔い花火師魂に触れ、逆に励まされた思い。
市民と一体感のある大会
折しも2日後の9日(月)、2024年第4回土浦市議会定例会において、第93回土浦全国花火競技大会中止に関し、再々質問まで加えて14項目にわたる一般質問が行われ、塚本隆行産業経済部長が答弁した。質問は執行部の考えを問う形で進んだが、経緯および現状報告を除いては、具体的対応を示す答弁はなく、今後の検討課題とするにとどまった。
年明けに本番を迎える新年度政策予算査定の中で、次回開催に向けた検討がなされるのだろうか? いずれにしても来年は「土浦の花火100周年」。従来の行政主導による運営方法への信頼が揺らいだこの機に、透明性を醸成しながら、大曲や長岡の花火の例を挙げるまでもなく、「市民と一体感のある花火大会」への新たな歴史を生み出すスタートの年にしたいものだ。
花火カレンダー2025
いつまで待っても、大会ホームページに花火カレンダー販売のお知らせが掲載されない。そりゃそうだ。「中止のお詫び」や「払い戻し」と並行して表示するには、まだ違和感があるのだろう。印刷会社の「いなもと印刷」や「まちかど蔵大徳」で計10本を買い求め、友人知人に送り届けた。
ちなみに、カレンダーを制作した稲本修一社長は、来年の写真をどうしようかと悩んでいる。
長野で土浦花火ファンから元気をもらう
11月23日(土)、 長野えびす講煙火大会(長野市)に参戦したところ、宿泊先のホテルロビーで奇跡的な出会いがあった。
男性「土浦の小泉さんですか?」
小泉「そうです」
男性「声を聞いて、そうかなと思い、声かけさせてもらいました」
小泉「どちらかで?」
男性「小泉さんの出演動画やネットの記事を見ていました」
小泉「恐縮です。ありがとうございます」
男性「青森の亀田と言います。昨年の土浦花火フォトコンテストで、まぐれで入賞しました」
小泉「厳正な審査で選考されるので、まぐれはないですよ」
小泉「今年も来場される予定でしたか?」
亀田さん「はい。中止は残念でした」
小泉「大変申し訳ありませんでした」
亀田さん「だいじょうぶです」
小泉「来年は100周年大会を開催しますので、今回に懲りずに、来場してください」
亀田さん「必ず行きます。土浦の花火が好きなんです」
花火の魅力をお伝えするのがミッションの花火鑑賞士。これぞ本望なり。長野で、青森県人から元気をもらった。
この後、大会HPを確認したら、なんと「優秀賞」を受賞した方。「花火師紹介」と桜川の川面に映る虎の尾花火は、土浦ならではの構図。土浦の花火カレンダー2025のトップ「1月・2月」に採用されていた。
今年はこの辺で年越しぃー。「ドーン ドーン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
<土浦の花火カレンダー販売情報>土浦市観光協会/観光情報物産センターきらら館/まちかど蔵大徳/いなもと印刷へ。