【コラム・山口京子】広告が私たちの意識や行動に大きな影響を与えることを感じています。最近、過去に広告制作に携わっていた方から「健康情報の読み解き方」についての話を聞き、改めて広告のはたらきを知ると共に、健康食品について調べてみました。
広告とは「不特定多数の人々を対象に、商品、サービスなどの存在、特徴、有意性を知らせ、対象の行動を変更させることを目的として、広告主が料金を支払って行うコミュニケーションである」が一般的な定義です。
健康情報といえば、健康食品に関するブームが続いています。食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過度に評価する傾向、健康に良いと取り上げられた食品が売り上げを伸ばす傾向、健康不安をあおる(ネガティブ・アピール)傾向―などが目立ちます。
広告は良いことしか伝えず何が正しいか分からない、情報があふれていて選択できないことが問題を深めているようです。広告では健康情報の詳しい内容が伝えられないことが多く、消費者はそのイメージをうのみにしがちです。
分からないものには手を出さない
講演では、単純化された説明や即効モデルには疑いをもち、健康情報リテラシーを育ててほしいという提言がありました。健康情報が氾濫することで、健康のために何かをしなくてはいけないといった強迫観念が消費者にインプットさせられているようにも感じます。
健康食品といわれるものは、健康に良いことをうたった食品全般を指します。具体的には、国の保健機能食品制度に基づき機能性などを表示する特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品のほか、機能性を表示できないサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、自然食品などがあります。
特定保健用食品は1991年に創設され、根拠法令は健康増進法、食品表示法です。機能性表示食品は2015年に創設され、根拠法令は食品表示法です。特定保健用食品は、国の個別許可制となりますが、機能性表示食品は届け出制です。機能性と安全性の信頼性については、医師や専門家から様々な指摘があり、企業任せの制度ともいわれています。
分からないものには手を出さない。興味があるなら、きちんと調べることが求められますね。(消費生活アドバイザー)