ミュージアムパーク茨城県自然博物館(坂東市大崎、横山一己館長)の開館30周年を記念する企画展「ミュージアムパーク30年のありったけ」が2日から始まる。1日には関係者を招き、オープニングセレモニーと内覧会が開かれた。
1994年の開館以来30年にわたって収集、蓄積してきた展示資料の「ありったけ」を公開する。見せるだけでなく、触ったり体験もできる企画内容で、2月に展示を入れ替えながら来年6月1日まで続くロングラン展開となる。
第91回となる今回の企画展は特設会場に10のコーナーを設け、同館の過去、現在、未来それぞれの「おもしろさ」にスポットを当てる。植物、動物、地学の分野から選りすぐりの収蔵資料を展示する。
過去に人気を集めた展示を再登場させるベストセレクションコーナーでは、ダイオウイカの再標本化による展示を見ることができる。
2019年に石川県七尾市の定置網にかかったダイオウイカで、採集時の体長は約3.2メートル。同館で液浸標本とし、20年の企画展「深海ミステリー」に展示すると人気となったが、会期終了後に展示ケースから液漏れを起こしてしまった。
今回は資料課の池澤広美さんらが中心となり、含浸標本としての再標本化に取り組んだ。生体の水分や脂質を高級アルコール(蝋状の固体)に置き換える措置で、採集時のふっくらとした標本に仕上がった。ダイオウイカの含浸標本は国内唯一という。
同館は今年累計の入場者数が1300万人を突破。横山館長は「16ヘクタールにも及ぶ広大な敷地ながら交通の便がいいとは言い難い立地だが、今年度入場者は50万人を突破しそうで、コロナ禍以前の水準にまで回復した。団体のお客様が多く、県内ばかりでなく広い地域の皆様に満足いただいている。今後TX沿線で移動博物館を開くなど計画していきたい」としている。(相澤冬樹)