【富永みくに】科学の街つくばにまたヒーローが登場した。「ナノ戦隊スマポレンジャー」で、科学技術週間に合わせた物質・材料研究機構(同市千現)の一般公開イベントで22日、新素材を子どもたちに分かりやすく解説した。
同機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の荏原充宏研究員(43)が考案した。温度や光などさまざまな外部環境に応じて性質を変化させる新素材「スマートポリマー」の性質を解説する。未来の医療材料として、貼って治すがん治療や、電気や水などがない被災地や発展途上国などでの携帯型透析システムへの活用が期待されているという。
戦隊ショーでは、筑波大と東京理科大の学生ボランティアが戦隊ヒーローにふんして登場。スマートポリマーの性質を「免疫回避」「形状記憶」「生分解性」などの必殺技にたとえて分かりやすく説明した。
荏原研究員は、考案した理由を「科学ヒーローが人を救うというイメージは、日本人になじみやすい。当初はスマポレンジャーの漫画を配って広報活動をしていたが、回を重ねるごとにグレードアップして今の形になった。研究の傍ら、茨城空港をはじめとして年間5回ほどショーを行っている。2016年にはつくば市の教育マイスターにも認定された。ショーを見た子どもたちの中から、科学者が誕生する日が来るのが楽しみ」と笑顔で話した。
「科学技術週間」に合わせた一般公開イベントは22日まで、つくば市内の研究機関、大学など28カ所で催され、県内外から大勢の人が訪れた。
大好きな鉱物に興奮
産業技術総合研究所地質標本館(同市東)では、春の特別展「関東平野と筑波山」(7月1日まで)を開催。霞ケ浦や北浦の成り立ち、鬼怒川で繰り返し生じた洪水による地層の変化、筑波台地の地質と地形、同研究所構内で実施した深さ715.5mのボーリング(掘削)調査結果などについて詳しく解説している。
「鉱物が大好き」という東京在住の小学生の男の子(10)は、愛読している鉱物図鑑を持参し、つくば市に住む友人の祖父(78)らと来館。一番好きな鉱物というテルル石の実物を見て「図鑑に載っているものとまったく同じものが展示されていてうれしかった。とても美しい」と、興奮気味に話していた。