汚染源は不明 周辺民家の井戸水調査へ
発がん性など健康への影響が懸念される有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)について、つくば市は30日、地下水を水源とする井戸水を飲用に使用している市内の民間事業所を対象にPFASの一種であるPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)について調査を依頼したところ、同市上大島の事業所の飲用井戸から、暫定目標値の2.9倍のPFOSとPFOAの合算値が検出されたと発表した。
市内の飲用水から暫定目標値を超えるPFASが検出されたのは初めて。市環境保全課によると、同事業所を含め周辺には過去にPFOS及びPFOAを製造または使用していた事業所はなく、現時点で汚染源は不明という。健康被害などは確認されていない。
市は今月27日、検出された井戸からおおむね半径500メートル以内の周辺住民30数軒に周知した。今後、周辺民家の井戸水調査を実施する。ただし調査箇所は調整中としている。同地区には公共水道が供給されているが、井戸水を飲用に利用している民家もあるという。
国が実施している「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査」に基づき、今年6月、地下水を飲用に利用している市内事業所38カ所を対象に市が検査を依頼した。そのうち14事業所が自ら検査し、7月18日、同市大島地区の事業所の井戸から、1リットル当たり暫定目標値の50ナノグラム(ナノは10億分の1)の2.9倍にあたる145ナノグラムが検出された。一方、同事業所が検査した近隣の井戸2カ所は暫定目標値以下だった。
その後9月20日、同事業所は蛇口から出る水を検査し、再び暫定目標値の2.1倍の105ナノグラムが検出された。蛇口に浄水フィルターを設置したところ不検出だったことから、今後、同事業所では活性炭入りの浄水フィルターを設置するという。
国は、全国の水道事業者などを対象に調査を実施。同日、県が発表した調査結果によると、県内ではつくば市のほか、筑西市内の事業所の計2カ所で暫定目標値を超える値が検出された。公共水道については暫定目標値を超える検出はなく、つくば・土浦市民が飲用する県企業局県南西広域水道の今年4~8月の検査結果は最大値が1リットル当たり8ナノグラムだった。
PFOSとPFOAは過去に泡消火剤や界面活性剤など幅広い用途で使用されていたが、現在は国内での製造や輸入は原則禁止されている。国は2020年に水質管理目標となる暫定目標値を設定したが、法的な規制対象となる基準値はまだ設定されていない。暫定基準値の見直しに向けては国の専門家会議で議論が実施されている。