ホテル日航つくば(つくば市吾妻 髙田浩総支配人)は、航空燃料への再利用を目的に、一般家庭から出る使用済み食用油を24、25日開催の「まつりつくば 2024」で回収する。場所は同ホテルが出展するテント。昨年に続き2回目の実施で、脱炭素社会の実現に向けた「フライ トゥ フライ プロジェクト(Fry to Fly Project)」の活動だ。プロジェクトには同ホテルのほか国内の自治体や企業など146団体が参加している。
同プロジェクトは、廃食用油を再活用し、持続可能な航空燃料(SAF)を国内で製造することを目的として日揮ホールディングスが始めた。航空機のジェット燃料にSAFを混ぜることで二酸化炭素排出量を抑えることができる。政府は、2030年時点で国内航空会社による燃料使用量の10%を、廃油や植物、廃材などで作られるSAFに置き換え、2050年には二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロに抑えるカーボンニュートラルにすることを目指している。SAFは、従来の化石燃料と比べて二酸化炭素の排出量を80%程度減らせるとされている。
同プロジェクトで集められた廃食用油は、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナルの3社で設立した合同会社サファイア スカイ エナジー(SAFFAIRE SKY ENERGY)により、2025年度からSAFを製造し、供給を開始する予定だ。
東京―大阪間、1.5便分
ホテル日航つくばでは昨年5月から、ホテルの厨房から出る廃食用油を回収している。昨年のまつりつくばでは18リットルを回収し、今年3月までにホテル全体で合わせて3251リットルを回収した。同ホテルによると、約1年間で集めた廃油から生まれる航空燃料は、東京国際空港(羽田空港)と大阪国際空港(伊丹空港)間の約 1.5 便分の燃料に相当し、7200キログラムのCO2を削減できることになるという。
同ホテルの担当者は「昨年のまつりつくばでは、多くの方が廃食用油の回収に協力してくださった。固めて捨てるという認識が多い中で、廃油の回収はありがたいという声も届いた。自身の家庭で使った油が、航空燃料として実際に再活用されるのは興味深いことだと思う。これからも続けていきたい活動。少しでも会場にお持ちいただけたら」と参加を呼び掛ける。(柴田大輔)
◆廃食用油の回収は24日(土)と25日(日)の正午から午後9時まで。場所は「まつりつくば」会場内、同ホテルアネックス館そばの同ホテルが出店する2階ペデストリアンデッキのテント。テント内に専用の回収箱が設置される。回収する廃食用油は、1回に付き200ミリリットル以上。ペットボトルや牛乳パックなど中身がこぼれない容器に入れ、調理ごみや水分が入らないようにして持参する。廃油を持参した人には、1回につき1枚、出店される同ホテルのテント内で利用できる「100円引きチケット」を進呈する。