4人世帯 22%増の月2900円から3550円に
つくば市の水道料金について、同市上下水道審議会(会長・白川直樹筑波大准教授)は29日、来年度から平均15%引き上げることが妥当とする答申書を五十嵐立青市長に提出した。9月3日開会の市議会9月定例会議に提案し、答申通り来年4月からの引き上げを予定している。値上げされれば2018年度以来。
市の試算によるとモデルケース別では▷一人暮らし世帯(メーター口径13ミリ、月平均7立方メートルを使用)は現在の月額1200円から15%(180円)増の1380円▷2人暮らし世帯(口径20ミリ、月14立方メートル使用)は2060円から23%(470円)増の2530円▷ 4人暮らし世帯(口径20ミリ、月20立方メートル使用)は2900円から22%(650円)増の3550円になると試算されている。
期間は2029年度までの5年間で、5年後に再び改定を検討する。平均15%の引き上げは、23年3月策定の市水道事業経営戦略の財政シミュレーションと同率で、同戦略は5年後の2030年度にもさらに15%引き上げを見積もっている。ほかに下水道料金の改定についても現在、市下水道事業経営戦略を策定する審議会の中で審議されている。
基本水量を廃止、大口の引き上げ率低く
29日出された答申によると、上水道が普及していない地域の解消や、老朽化している施設や水道管の更新費の財源を確保するため水道料金を引き上げる。引き上げられれば、現在口径13ミリと20ミリを使用している一般家庭などは2022年度の実績で供給単価が給水原価を下回っている状態だが、赤字が解消される。
今回の引き上げにあたっては基本水量を廃止するのが特徴の一つ。基本水量は、口径13ミリ、20ミリ、25ミリの世帯などに対し、使用水量が月10立方メートル以下の場合、現在は使用量にかかわらず0円としている料金を、使用水量に応じて1立方メートル当たり40円とする。代わりに口径13ミリと20ミリの基本料金を50円から100円引き下げる。これにより口径13ミリで月2立方メートル以下しか使用しない世帯や、口径20ミリで月1立方メートル以下しか使用しない世帯などは改定により水道料金が月10円から100円下がる。具体的には、市内に家があるが常時居住していなかったり、空き家などを所有している世帯が引き下げの対象になるとみられる。
さらに2018年度の引き上げの際は、引き上げ率が平均21%、4人暮らし世帯は平均16%引き上げなど、一般家庭の引き上げ率を低くし、大口使用者の引き上げ率を高くした。今回は料金の公平性を高めるため、大口使用者の引き上げ率を、口径50ミリは14%、75ミリは10%、100ミリは9%引き上げなど一般家庭に比べ引き上げ率を低くする。市全体では平均15%、4人暮らし世帯は22%の引き上げになる。
答申を受け取った五十嵐市長は「(答申の)内容を重く受け止め、市民の負担と経営のバランスを考慮しながら計画的に事業を行っていきたい。議会にお示しした上でご意見を伺って、市民の皆さんにも丁寧に理解を得られるような説明を心掛けていきたい」としている。
市民への説明について市水道総務課は、議会で可決されれば、10月から市広報誌やホームページのほか、ちらしを各戸配布して周知したいとしている。(鈴木宏子)