第106回全国高校野球茨城大会は15日目の25日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第1試合はつくば秀英が常磐大に6-5でサヨナラ勝ちを収め、夏大会では初の決勝進出を決めた。序盤のビハインドをコツコツと取り返し、ついに9回に試合をひっくり返した。
つくば秀英は1回表に4連打で2点を奪われ、その裏に4番・吉田泰規の右翼への適時打で1点を返すものの、3回表には3点本塁打を浴び、この時点で1-5と大きなビハインドを負った。
「点差があっても自分たちの野球をすることを心掛けた。苦しい時間帯もあったが守備からリズムが出てきたので、1イニング1点ずつ取るぞと選手たちに声を掛け、9イニングトータルで勝つことを意識した」と櫻井健監督。
3回裏には5番・大石隼也に2ランが飛び出し、ホームランにはホームランでお返し。「打ったのは真ん中低めのまっすぐ。つなぐバッティングで、鋭い打球で外野の間を抜く意識だったが、結果的に入ってよかった」と大石の振り返り。
4回表からは先発の羽富玲央から中郷泰臣へ投手交代。「羽富はここまでの疲れもあり、気持ちが高揚していたようだ。羽富から中郷への交代は春からのパターン。力のある投手で、本来の仕事をしてくれた」と櫻井監督。結果的に中郷は、7回までの4イニングを2被安打3奪三振1四死球で抑えた。
4回裏には1番・吉田侑真の左前打と2番・小久保良真の中堅への二塁打で1点追加、4-5と1点差まで追い上げた。だがここからが一進一退。6回裏は2死二塁の場面から小久保が左前打を放ち、二走・吉田侑が本塁を狙うがタッチアウト。7回裏は3番・明石理紀斗の中前二塁打と大石の中前適時打でついに同点、続いて四球2つを選んで満塁とし、8番中郷には石井清太郎が代打。中飛からのタッチアップで大石がホームを踏むが、三塁手のアピールプレイでアウト。幻の逆転打となった。
8回表は中郷に代わり大石がマウンドへ。タッチアップのミスを引きずらないよう周りから「しっかり切り替えていけ」と声が掛かったそうだ。2イニングを投げて2被安打1奪三振で無失点。9回表には1死三塁の場面で、一ゴロから打者走者とベースカバーの二塁手・吉田侑が交錯、その間を突いて三走が本塁に向かうが、吉田侑が素早く立ち上がりバックホーム、本塁クロスプレーでアウトにした。
そして9回裏最後の攻撃。6番・稲葉煌亮の左前打と敵失などで1死一・三塁、打順は9番・佐々木将人。監督からはスクイズの提案もあったが「自分で打って決めたい」と首を振った。直球に振り遅れないようバットをいつもより短く持ち、2ボール2ストライクからの5球目を中堅へ。外野フライには十分で、稲葉が生還しサヨナラ勝ち。「みんなのおかげ。全員がヒーロー」と勝利のコメント。
櫻井監督は決勝に向けて「やることは変わらない。最後は気持ちの部分。1戦1勝でねばり強く食らいついていきたい」と意気込みを語った。(池田充雄)