第106回全国高校野球茨城大会は14日目の23日、準々決勝4試合が行われた。ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合では昨年の覇者 土浦日大が、常磐大に2-3で逆転サヨナラ負けを喫した。同じく第2試合ではつくば秀英が下妻一に延長タイブレークの結果10-5で勝利した。25日の準決勝の組み合わせは第1試合が常磐大-つくば秀英、第2試合が霞ケ浦-守谷と決まった。
土浦日大は5回と7回の得点で2点をリードしたが、7回裏に常磐大に追い付かれ、9回裏に逆転打を許した。「前半の攻撃で2、3点取れていれば結果は違っていた。夏は得てしてこういうゲームがあり、乗り越えることでチームが急成長できる。そうならなかったのは、まだ甲子園に招かれるだけの力がチームになかったということ」と小菅勲監督は総括した。
前半はエース同士の投げ合いによる投手戦。土浦日大の先発・大井駿一郎は6回まで1安打無四球3三振とほぼ完璧な内容。一方、常磐大の沢畑壱心は6回まで5安打5四死球5三振で、2回以外は毎回得点圏に走者を背負った。
特に3回表の攻防は土浦日大にとって大きな逸機となった。先頭の9番・野口智生がセーフティバントで出塁し、盗塁と牽制悪送球で無死三塁。1死後、四死球2つで1死満塁となるが、後続が倒れ無得点。沢畑が決めに来た高めの直球を打ち上げてしまう場面が目立った。
5回表は1番・島田悠平の右前打と3番・中本佳吾の四球で1死一・二塁、4番・大井の打球は中堅への適時二塁打で土浦日大が1点を先制。なおも1死二・三塁で、5番・梶野悠仁は初球スクイズを敢行するが捕邪飛に倒れた。
7回表の土浦日大は中本の四球、大井の中前打、梶野の右前適時打で、沢畑からマウンドを引き継いだ常磐大の仲本寛から1点を追加。ただし三塁を狙った大井は右翼からの返球でタッチアウトとなり、この回も1点止まり。
そして7回裏。「2点差になって相手も開き直ってくる。このまま行くと思うな」と、小菅監督は選手たちの気を引き締めた。だが中本主将の実感としては「リードしている感覚はなかった」という。硬くなったかエラーやミスが続出。遊ゴロは悪送球、二ゴロは送球できず、加えて盗塁も許し2死二・三塁、ここで右中間への2点二塁打で同点とされてしまう。
9回表に勝ち越しの機会もあった。中本が死球で出塁し、打席には大井。3ボール1ストライクからエンドランを仕掛けた。「外野手が下がっていたので頭上は抜けないが、間を抜ければ中本の足ならかえってこれる。大きい当たりではなく低いライナーを狙った」と大井。打球は惜しくも左翼線へ切れた。「紙一重のファール。勝つときはあれが切れずにフェアになる」と小菅監督。
9回裏もマウンドは大井。「疲れは感じず、ただひたすら目の前の打者へ投げ続けていた」というが、最後はコースが甘くなった。2死三塁からサヨナラの一打を浴び、選手たちはその場に崩れ落ちた。試合後にそのときの気持ちを聞かれた大井は、しばらく押し黙った後、「ひたすら悔しかった」と声を絞り出した。(池田充雄)