つくば市は19日、生活保護の受給者30人に対し、2013年から今年7月までに、計1481万94円の生活保護費の過払いがあったと発表した。生活保護制度に関わる県による状況確認があり、判明した。30人のほかに、調査中の受給者が3人いる。
市社会福祉課によると、過払いがあったのは ①障害年金の受給を申請する際に提出する診断書料の上限額を超えた過払い分が、2019年度から23年度まで、5人に対し計6万550円 ②障害者加算の誤認定による過払いが2013年2月から今年7月まで、20人に対し計1360万994円 ➂重度障害者加算の誤認定による過払いが2020年6月から23年9月まで、5人に対し114万8550円。
①障害年金の診断書料の上限を超えた過払いは、本来、障害年金の診断書料として支給できる上限額(6090円)の超過分は自己負担となり、障害年金受給開始時に自己負担分を相殺すべきところ、5人に対して自己負担させずに上限額を超えて事前に支給する取り扱いをしていた。今年1月に県からの状況確認があり分かった。
②障害者加算については、精神障害者で障害年金の受給権がある場合は、裁定請求後、年金証書に基づき加算することができ、障害年金の受給権がない場合は、初診日から1年6カ月経過した後に取得した精神障害者保健福祉手帳により加算することができる。しかし誤った認識により、本来対象でない20人に加算していた。今年2月、県の状況確認により判明した。
➂重度障害者加算については、障害の程度が重度で日常生活において常時の介護を必要とする人に加算するものだが、受給要件の解釈の誤りにより、本来対象ではない5人に加算をしていた。2023年9月、同課の職員が気付き、翌10月に改めた。
同課によるといずれも、制度に対する解釈や認識を誤り、監督職員もチェックができていなかったことが原因だとしている。再発防止策について同課は、関係法令の確認を徹底し、解釈や処理を確実に行うと共に、監督職員による点検を徹底するとし、さらに生活保護制度の理解を深めるため、職員の研修体制を強化し再発の防止に努めるとしている。
対象者に対しては今後、経緯を説明し謝罪した上で、過払い分については、生活保護法に基づき返還などの対応を検討していくとしている。時効により5年で返還請求権が消滅してしまうことから、①診断書料の過払いは6万550円のうち1万5510円が請求できなくなる。②障害者加算の過払いは1360万994円のうち396万186円が請求できなくなる。
一方、生活保護費の過払い分について国費の返還が必要かどうかについては、国や県と協議していくとしている。
【訂正 20日正午】過払いについて、障害年金ではなく生活保護費等、訂正しました。関係者にお詫びします。