火曜日, 4月 28, 2026
ホームコラムあの痛みは突然やってくる…尿路結石症《メディカル知恵袋》5

あの痛みは突然やってくる…尿路結石症《メディカル知恵袋》5

【コラム・小峯学】尿路結石症、中でも尿管結石症は七転八倒して嘔吐(おうと)・発汗などの自律神経症状も伴い、救急車で来院される方も珍しくありません。「あんな思いはもうしたくない」「死ぬかと思った」と多くの方がおっしゃいます。今回は上部尿路結石症(腎および尿管)の診断と治療、原因と予防法について説明します。

尿路結石症の症状と診断

腎結石・尿管結石の症状としては、突然に片側のわき腹や背中が痛くなることが多く、時に血尿を伴います。このときの激痛は『疝痛発作(せんつうほっさ)』と呼ばれ、嘔吐・発汗などを伴い、胃腸の病気と間違われることもあります。結石が膀胱(ぼうこう)近くまで、あるいは膀胱内に移動すると、トイレが近いあるいは残尿感といった膀胱炎症状が出現することもあります。

一方、無症状で、他の疾患の検査や人間ドックなどで偶然発見されることもあります。症状がない場合でも、結石が尿の流れを止めてしまって、腎臓が腫れる『水腎症』とよばれる状態になると、腎臓機能低下を引き起こすため治療が必要となります。

医療機関での検査は、主に尿検査や超音波検査・レントゲン検査が行われます。CTスキャンが必要になることもあります。

上部尿路結石症の治療

結石が薬物治療によって溶解することは特殊な場合に限られ、非現実的です。おおむね8ミリ程度までは尿と一緒に自然に体外に排出されることが期待できるため、水分摂取を心掛け、痛みを伴う場合には鎮痛剤を服用することになります。自然排石しない場合や10ミリ超の結石の場合には手術的治療が推奨されます。

38度以上の発熱を伴う場合には、重篤な細菌感染症(閉塞性腎盂じんう腎炎→敗血症)を併発している危険性があり、この場合には緊急処置や集中治療が必要になります。手術的治療としては、開腹手術・腹腔(ふくくう)鏡下手術はほとんど適応とならず、以下にご紹介するESWL・TUL・PNL(併用含む)が診療ガイドライン上、推奨されています。

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

体外から衝撃波を結石に当て結石を破砕する治療です。鎮痛剤投与による治療が可能で1~2日の短期入院治療で行えるメリットがあります。1センチ程度の腎および上部尿管の結石が適応となりますが、2~3回の治療を要することもあります。当院にはESWL機器はなく、ご希望される方には対応可能な施設へご紹介しております。

TUL(経尿道的腎尿管砕石術)

細径の内視鏡を尿管内に入れ、結石に直接ホルミウムレーザーなどを当て細かく砕石、可能な限り砕石片も回収する治療です。麻酔および数日の入院が必要となりますが、確実性の高い治療となります。治療後には尿管ステントという細いカテーテルを留置して、1~2週後に外来で抜去となります。治療機器および高度の技術が必要で、数年前までは他の施設へ紹介しておりましたが、現在では当院でもTULが可能となり、多くの施設よりご紹介いただいております。

画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン

PNL(経皮的腎砕石術)

背中から腎臓に内視鏡のルートを作成して、直接腎臓の結石を砕石して回収する方法です。他の治療法では時間および期間を要する大きな結石も短時間で治療可能ですが、出血などのリスクがあります。腎臓へ直達できる特殊な内視鏡機器が必要であり、整備され次第、速やかに導入したいと考えております(時期は未定)。

上部尿路結石症の疫学と予防

誰しも結石の痛みは経験したくないものですが、上部尿路結石症の患者さんは急増しています。いわゆる生活習慣病の増加と比例しています。肥満の方に多い傾向であることもわかっています。40年前の3倍となっており、男性は7人に1人、女性は15人に1人の割合で、生涯に一度は尿路結石症に罹患するといわれています。

また、再発率の高い疾患でもあります。尿のミネラル濃度が濃くなると結石ができやすくなるので、水分摂取を心掛けて十分な尿量を確保するとよいでしょう。しかし、ビールなどのアルコール類、糖分入りのソフトドリンクは結石のもとになる成分が多めに含まれており、逆効果になってしまいます。

最も多い尿路結石はシュウ酸カルシウム結石であり、尿中のシュウ酸排せつを少なくすることが結石予防において重要です。シュウ酸はカルシウムと結合しやすいため、不足しがちなカルシウムを意識して摂取し、腸管からのシュウ酸吸収を抑制すること、また脂肪摂取を少なくすることもシュウ酸吸収の抑制につながり、結石の予防となります。

次に多い結石が尿酸結石であり、尿酸値が高い「痛風(高尿酸血症)」の方にできやすい結石です。プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると尿酸値が高くなり、尿中の尿酸濃度も濃くなるため結石ができやすくなります。これらの食品摂取を控えることが高尿酸血症の予防、ひいては尿酸結石の予防につながりますので心がけてみてください。(筑波メディカルセンター病院 泌尿器科 診療科長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

5 コメント

5 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

おおい、ツバメよ 来てくれないのか《鳥撮り三昧》12

【コラム・海老原信一】築48年の我が家。古くなり傷んではきたが、それなりに心地よく暮らせている。玄関の右隅上方にベニヤ板の棚が取り付けられている。設置してから7~8年は経つが、ツバメに来てほしくて用意した営巣用棚だ。 だが来てくれない。なぜなのかと思いながら、毎年見ては寂しくなる季節がやってきた。家主はそれなりに心地よく暮らせているが、ツバメには気に入ってもらえないようだ。 庭先の電線に止まっては、ジュリ、ジュリと鳴く姿は見えるのに、あと3メートル先のこの物件で営巣してほしい。確かに、巣作りに必要な泥を採れる場所がこの近くにはない。田んぼとか、湿地のような湿った土がないと、巣作りは難しいようだ。諦めるより仕方がないのか。 巣立ち間もない子ツバメ 17年ぐらい前、花室川中流域でのこと。川の途中に石を敷き詰め、流れに変化をつけてある場所が一定の距離ごとに設置されている。その一つの下流に橋が架かっており、暑い盛りの季節、その上に通い詰めたことがある。 敷き詰めた石が流れを変化させると、そこにはいろいろな堆積物が集まる。ごみなどもあるのだが、小さな生き物たちもおり、魚がそれを目当てに集まってくる。その魚を狙ってサギが飛来する。敷石の上で水面を見つめ、くちばしを水中に打ち込み魚を捕らえる。 空振りになることの方が多い。だからだろうか、納得するまで頑張る。似たようなものかと思いながら、観察と撮影を続ける私。 それにしても暑いとつらくなり、少し動いてみようかと川下側に歩き出したとき、1本のヨシが揺れるのに違和感を覚えた。おや何だろうと視線を凝らす。そこに、3羽の巣立ち間もない子ツバメが止まっている。 1本のヨシに3羽も止まれるなんて、鳥の体は軽くできている。ヨシも細い見掛けとは違って柔軟なんだと、感心をしながら眺めていた。急に子ツバメたちが騒がしくなったと思ったら、すぐに親ツバメが現れた。 くちばしの先には虫を捕らえている。そうか、そういうことか。親の飛来をいち早く察知し、我先に食べ物を受け取ろうとアピールする子ツバメたち。そこに遠慮は存在しない。親は公平に与えようとするのだろうか、それともアピール度の強い子に傾くのだろうか。 希望を捨てない家主 自然界のおきては私たちが考える以上に厳しく、それでもうまく収まる柔軟さもあると思わせる一幕を見ることができた。そこへ誘導してくれた暑さにも感謝だ。 そんなやり取りを身近で見たいと設置した玄関先の棚。自身がツバメならどうだろうか? ここでしばらく暮らしてみようと思える場所なのだろうか? それでも希望を捨てたくない家主なのだが…。(写真家)

柵が倒れ女子児童けが つくばカピオ前広場

26日午後1時30分ごろ、つくば駅近くの同市竹園、市の複合施設、つくばカピオ前の広場で、広場に設置されたスロープと広場を隔てる鉄製の柵に女子児童(8)が手を掛けたところ、柵がスロープ側に倒れ、児童は足などを打ってけがを負った。 市芸術文化推進課によると、倒れた柵は高さ79センチで、長さ4.35メートルにわたって3ブロックが倒れた。女子児童は市内から家族と遊びに来ていて、柵に体を向けて手でにぎっていたところ、柵と一緒に正面から倒れたという。同課によると、柵に腐食はみられず、溶接部分がはがれたことが原因とみられるという。 柵はカピオと同じ1996年に建築された。指定管理者のつくば市文化振興財団(同市竹園)が施設の管理などを実施し、定期的に点検などを実施しているが、柵がぐらついていたなどの異常は確認されていなかったという。 市文化振興財団は、女子児童の保護者に謝罪した上、施設の点検や安全確認を改めて実施した。倒れた箇所や同様の柵がある箇所については現在、カラーコーンを設置し、近寄らないよう注意喚起する張り紙を掲示している。 市は、当該施設の点検を徹底し、安全対策や注意喚起を行うなど再発防止に努めるとしている。

障害者の余暇活動充実へ つくばで新団体スタート 

地域のネットワークで課題解決 障害者の余暇活動の充実を目指す「つくば市障害者の余暇活動を考える会」の発起式が26日、同会の実行委員会によってつくば市内で開かれ、福祉事業者や障害者のスポーツ団体、行政職員、支援者、当事者や家族らが参加した。実行委員会には、市内で障害者の余暇活動や運動・スポーツ活動、生活支援に取り組む福祉専攻科シャンティつくば、障害者のスポーツ事業や余暇活動支援を行う一般社団法人ウルラ(ULULA)、NPO法人ユアフィールドなどが名を連ねる。今後も行政を含めた地域のネットワークづくりや課題解決に向けた取り組みを進めていく。 2025年初頭、関係者間で課題を共有したことをきっかけに準備を進めてきた。世話人の一人、ウルラ代表で筑波大学准教授の澤江幸則さんによると、障害者の余暇を取り巻く環境には、家族の負担の大きさ、当事者のニーズに合った福祉サービスの不足、活動の場や情報のマッチング不足などが課題に挙げられ、特に「(活動の)場」「移動」「時間」の3点が大きな壁となっているという。 同会は現時点で実行委員会形式でのスタートとなるが、今後は行政や支援団体、当事者や家族などの活動への参加を想定している。発起式には会場定員の60人を上回る約80人の申し込みがあり、オンライン対応も行われた。澤江さんは「関心の高さを感じる一方で、その期待に応える責任も感じている」と述べた。今後は6月に初のセミナーを予定しており、当事者や家族、相談員の声を反映しながら、具体的な施策づくりを進めていく考えだ。 余暇は労働と同じくらい大切 発起式で澤江さんは「余暇とは単に余った時間ではなく、人生や生活を豊かにする重要な要素」だと強調した。かつては労働中心の価値観が主流だったが、現在はワーク・ライフ・バランスの考え方が広がり、「労働と同じくらい余暇が大切な時代になっている」と指摘した。余暇活動が心身の回復や人とのつながりを生むとする理論にも触れ、「社会との接点を広げ、人生を豊かにするための大切なツール」だと語った。 一方で、障害者の余暇を取り巻く環境には課題も多いと指摘する。澤江さんによると、当事者家族への調査では、外出や余暇の満足度は「満足している」と「満足していない」がほぼ半々だった。 活動の場自体は一定数存在するものの、情報が十分に共有されておらず、活用されていないケースも少なくない。移動手段についても既存の支援制度だけでは対応しきれていない現状があると話す。また、施設職員の勤務体制などの影響で、平日に比べて休日の活動が乏しい点も課題とされる。 こうした状況を受け、同会は、行政、民間団体、支援者、当事者らが緩やかにつながる「ネットワークづくり」を重視する。澤江さんは「一つの主体だけで解決できる問題ではない。みんなで考える必要がある」と語った。 今後の取り組みとしては、定期的なセミナーやワークショップの開催、ホームページやSNSを活用した情報発信、寄付の呼びかけなどを計画する。多様な関係者の参加を促し、「市全体で障害者の余暇活動を支える仕組みづくり」を目指す。 また、学校卒業後の学びの機会が限られる現状を踏まえ、生涯学習の視点から余暇の充実を図る必要性も強調する。「学びの場を広げることが、余暇をより豊かなものにする」と話した。 課題出し合えたのは重要な一歩 実行委員会の世話人で、シャンティつくば代表の船橋秀彦さんは「地域で地道に取り組んでいる人たちが初めてこういう場で交流し合い、障害のある人たちの余暇活動に関する課題を出し合えたのは重要な一歩。さらに、そこに行政の参加があったことは大きい。シャンティつくばでも余暇活動を進めてきたが、より一般に広げるためには行政も含めた取り組みが必要になる。市が余暇活動に視点を当てた取り組みである『余暇活動支援事業』を始めたことは高く評価しており、障害のある人たちの余暇活動の発展につながる第一歩になると感じている」と語った。(柴田大輔)

片隅で咲く恋心、ままならない感情 《マンガサプリ》6

【コラム・瀬尾梨絵】SNSという広大な海から生まれ、多くの読者の心を静かに揺さぶり続けて書籍化に至った名作をご存知だろうか。それが、蒔(まき)先生による「おもいこみのノラ」(KADOKAWA、全1巻)だ。コンパクトな巻数の中に、私たちが忘れかけていた誰かを思うことの、みずみずしくも少しだけ苦い感触が、驚くほどの密度で閉じ込められている。 本作の舞台は、さまざまな動物たちが人間のように二足歩行し、服を着て生活している世界。その中でも、人生のモラトリアムとも言える大学が物語の中心となる。 主人公は、犬のノラ。彼女は派手なタイプではなく、どちらかといえば周囲の喧騒(けんそう)から少し離れたところでひっそりと、自分の日常を過ごしているような雑種犬。そんな彼女が胸の奥で温めているのは、同じ大学に通うオオカミのアルへの淡い恋心だった。 動物たちの世界といっても、そこに描かれるのはファンタジーな冒険ではない。講義の空き時間、学食での何気ない会話、放課後のちょっとした寄り道。私たちがかつて通り過ぎてきた、あるいは今身を置いている「学生生活」そのものの空気が、蒔先生の柔らかな描写で描かれている。 最大の見どころは、タイトルにもある「おもいこみ」というキーワード。恋をすると、私たちはどうしても臆病になり、相手の何気ない一言に一喜一憂し、深読みしすぎて自爆したり、逆に都合の良い解釈をして舞い上がったりと、自分でも想像することができない自分を垣間見ることになる。 ノラが抱える恋心は、まさにその「おもいこみ」の連続。自分の気持ちを伝える勇気が出ないからこそ、心の中の独白(モノローグ)は饒舌(じょうぜつ)になり、相手への思いは純度を増していき、その一方通行の熱量が、読者の胸を締め付ける。 動物たちが織りなす不器用な日常 ノラを取り囲む友人たちの描写も秀逸だ。それぞれに個性があり、悩みがあり、彼らなりの生活がある。動物の姿を借りているからこそ、キャラクターたちのささいな表情の変化や、耳や尻尾の動きといった「言葉にできない感情」がよりダイレクトに伝わってくる。それは言葉の解像度を超えた、非常に豊かな感情表現と言えるだろう。 全1巻という構成は、まるで1本の良質な短編映画を見終えた後のような、すがすがしい余韻を私たちに与えてくれる。物語は劇的な大団円を迎えるわけではないかもしれないが、ノラが過ごした穏やかで少しだけ切ない日々は、読者自身の記憶にある「大切な誰か」の面影を呼び起こさせてくれる。 「最近、心がささくれ立っている」「誰かを好きになる真っ直ぐな気持ちを思い出したい」。そんな方にこそ、この「おもいこみのノラ」を手に取ってほしい。動物たちが織りなす優しくて不器用な日常が、あなたの心の中に、温かな火をそっと灯してくれるはずだ。(牛肉惣菜店経営)