火曜日, 10月 7, 2025
ホームスポーツ苦手克服へ子どもたちがチャレンジ 放課後体育館でNPOが運動教室

苦手克服へ子どもたちがチャレンジ 放課後体育館でNPOが運動教室

放課後の体育館を使った運動教室で、子どもたちがとび箱やマット運動などの練習を行っている。教室を運営しているのはNPO法人ネクストワン(Next one. つくば市松代、井上真理子代表)だ。発足して12年、子どもたちが苦手を克服し自分で目標を設定しチャレンジする心を育てたいと、つくば市の学校体育施設開放事業を活用して小学校の体育館で活動を続けている。

6月下旬、谷田部南小学校に5歳から小学6年生までの子ども約20人が集まり、それぞれが目標とするとび箱や鉄棒など、学校の授業で習う種目を40分間練習した。教室は1回70分で全8回のプログラム。この日はプログラムの最終日で、練習した後にこれまでの成果を披露する発表会が行われる。諦めず、同じ技を何度も繰り返す子どもたちの様子を家族も見守った。「出来てるよ」「その調子」と声掛けをしながら、子どもたちを見守りサポートするのは、代表の井上さんと筑波大学の学生たちだ。

連続逆上がりを繰り返し練習する小田部翠葉さん

応援し合って成果を披露

練習の後はいよいよ発表会。一人一人が目標にしている技を全員の前で披露した。「仲間を応援しましょう」という井上さんの声掛けで、子どもたちから「頑張れー!頑張れー!」と声が上がる。小学4年の小田部翠葉さんは連続逆上がりを見事に成功させて笑顔。仲間たちから拍手喝さいが起こった。「プログラムに参加して楽しかった。今日は緊張感ゼロでやれた」。小学2年の芝山優衣さんも逆上がりに成功し、これで器械運動の技12種に合格したという。修了証書を手に「サッカーが好き。ワールドカップに出るのが目標」と夢を話した。

筑波大の学生が見守る

子どもたちをサポートしたスタッフの森洸輔さんは体育専門学群の4年生。「子どもたちは本当に素直。声の掛け方次第で子どもたちの力を引き出せるのが楽しく、勉強になる」と話す。教育分野で仕事をすることも夢の一つという。国際総合学類2年の加藤梓栞(しおり)さんは、小児看護を勉強する先輩がスタッフとして活動しており、その紹介で参加した。「子どもが好きで、運動やコミュニケーションも好き。発展途上国の教育制度の問題にも興味を持っている」と話す。

発表会後、互いに称え合う表彰式の様子

外遊びやアウトドアキャンプも

代表の井上さんも筑波大大学院で体育科学を修了した指導者だ。運動が苦手な子どもも楽しみながら練習できることを目指し、教室を運営している。市の学校体育施設開放事業を利用した「うんどう・たいいく教室」のほか、様々なスポーツ種目のプロ選手などに直接指導を受けられる「スポーツ探検隊」、外遊びで体を動かす「あそびクラブ」、アウトドアキャンプを体験する「ちゃれんじキャンプ」など、子どもたちの心身を養う教室を企画し、ホームページ制作からチラシ作りまで、全て自分で行う。今年度は4月から延べ270人が市内外から教室に参加している。

やった人にしか分からない学びがある

井上さんは大学で小中高の教員免許を取得し、大学院で体育科学の修士課程を修了した。卒業後、生涯スポーツを振興するNPO法人アクティブつくば(同市春日)で活動した。アクティブつくばの事業の一部を引き継いで、2012年にネクストワンを立ち上げ活動を続けている。

学生時代、学校と部活が大好きだったという井上さん。「勝てないソフトボールの部活動が楽しかった」と笑う。高校では理系に進み、一時は大好きな学校を建てる建築士になることを目指した。受験勉強をしながらスポーツと関わらない1年を送る中、自分にとって体を動かすことがとても大切だと気付き、スポーツを学びたいと進路を変更した。「あいさつや人との関わり方、目上の人への対応などスポーツや部活を通して大事なことを学んだ。その種目をやった人にしか分からない学びがある。学校やどこかで誰かにほめられるとうれしい。ネクストワンの活動で何かを得た人が、次に何かを発信できる人になってほしい」と話す。(田中めぐみ)

◆「スポーツ探検隊」では7月に県障害者パラカヌー協会代表の朝日省一さんを講師としたパラカヌー、サッカーやサーフィンの体験を企画している。詳細は同会ホームページへ。

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