筑波山麓のつくば市筑波、旧筑波鉄道筑波線(1986年に廃線)筑波駅隣りに23日、地ビールを製造、販売する「つくばブルワリー」(経営はペブルス社)がオープンした。醸造所は5月から稼働し、すでに同社飲食店の二の宮店や市内の酒店などで販売している。醸造所からビールを直売するスペースを設け、作り立てをその場で味わうことができる。
筑波山の地下水を使って醸造する。醸造所の能力はこれまでの5倍強だという。缶ビールも製造する。全国展開し、大手スーパーなどを通じて幅広く売り込むという。
新施設は敷地面積約1360平方メートル、建物の延べ床面積約195平方メートル。クラウドファンディングを利用し、賛同者から寄せられた約530万円を事業資金の一部に活用した。
同社の延時崇幸社長(42)は山口県生まれ、水戸市で育った。2010年 につくば市に転居し映像制作会社を立ち上げた。17年つくば市が「つくばワイン・フルーツ酒特区」の指定を受け、当時、市内でワイン醸造を手伝う中、「ビールを醸造するブルワリーがない」と20年9月に起業した。
今回、筑波山の地下水を利用し、筑波山の入り口で醸造したいと、二の宮店内にあった醸造所部分を移転し筑波山麓に新設した。今後は北条米、小田米、福来みかん、ブドウなど筑波山地域の特産品を使ったビールにも挑戦していく予定だ。
旧筑波駅は現在、筑波山口と呼ばれ、つくば駅からコミュニティバス「つくば北部シャトル」、山麓を周回する「つくばね号」、桜川市から「ヤマザクラ号」などのバスが行き来する。自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の休憩所にもなっていて、地域の交通拠点の一つになっている。筑波鉄道が走っていた1970年代ごろは、筑波山中腹の神社や山頂に向かう観光客を迎える飲食店や土産物店が並び、にぎわっていた。
延時さんは「ブルワリーでは作り立てのクラフトビールが味わえる。これからいろいろなところで飲めるようになるので、楽しみにしてほしい。もっとたくさんの人に知ってもらえればうれしい。何より筑波山麓の活性化が一番」と話す。筑波山麓には造り酒屋のほかワイナリーが2件があり、今後、連携していくことも検討していくという。(榎田智司)
◆つくばブロワリーの場所は、つくば市筑波2980-1。開店は土日曜の正午~午後6時。問い合わせは 電話029-879-9882へ。