【コラム・若田部哲】もうじき夏の行楽シーズン、霞ケ浦周辺観光をお考えの方も多いかと思います。今回はそんな方にピッタリ、2020年オープンの古民家ゲストハウス「江口屋」さんのご紹介です。施設を運営する「株式会社かすみがうら未来づくりカンパニー」代表の今野さんに、その魅力と今後についてお話を伺いました。
2016年、今野さんたちは江口屋道向かいの歩崎公園内に「かすみマルシェ」と「かすみキッチン」を整備。この土地ならではの様々な食や物産、水辺や自転車のアクティビティ、そして果樹やレンコンなどの収穫体験プログラムなどを通し、地域の魅力を発信していました。そのコンセプトを引き継ぎつつ強化するため、宿泊体験を組み込んだのが江口屋だそうです。
明治後期に建てられた建物に一歩足を踏み入れると、土間と重厚な柱・梁(はり)が印象的な空間が広がっています。既存の年を経た部材と、新しい素材をバランスよく組み合わせた施設内は、リノベーションのお手本のような仕上がり。
ソフト面も充実しており、まき割り体験や、裏庭でのBBQ、囲炉裏(いろり)端で楽しむ地場の素材を生かした夕食、備え付けの自転車での湖畔のサイクリングと、様々な楽しみ方が可能です。また「最高の朝に出会える宿」のキャッチコピーが示す通り、霞ケ浦からのぼる朝日は最高!
1棟貸しの「水郷園」もオープン
そして、2023年より加わった新たな楽しみが、同じ敷地内にオープンした「江口屋醸造所」のクラフトビール。かつて造り酒屋だった江口屋の歴史を継承する商品とするべく、2020年から準備を始めたのだそうです。
看板商品のペールエール「澤乃不二」には、かつての江口屋で販売していた商品ラベルを復刻して使用。ビタリングホップとしてアイダホ7を用いた爽やかな味わいと、この土地のストーリーが楽しめる、味も見た目も素敵な逸品です。そのほかにも、かすみがうら市産のユズやブルーベリーを素材として用いたフルーツビールなど、地域を楽しめるラインナップを展開しています。
今後も、地域に観光で何ができるかということを念頭に、人を呼び込み、地域が潤う仕組みづくりを続けていきたい、と語る今野さん。なんとこの夏には、江口屋から続く高台の上に、かつての別荘をリノベーションした、完全1棟貸しの新たな宿「水郷園」がオープンとのこと。ちらと中を拝見しましたが、霞ケ浦にこんな素敵な眺望があったのかと驚く仕上がりで、こちらも実に期待大!
その土地ならではの景色や雰囲気をブランディングし、地域に潤いを生み出す今野さんの挑戦は、まだまだ続きそうです。(土浦市職員)
<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。
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