木曜日, 5月 28, 2026
ホームつくば農林団地で生まれた「庶民派」楽団 29日つくばで 35周年コンサート

農林団地で生まれた「庶民派」楽団 29日つくばで 35周年コンサート

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市観音台)がある農林団地で1989年に誕生したギターとマンドリンの楽団「アソシエ・ド・パンドラ」が、結成35年記念コンサートを29日、つくば駅前のノバホールで開催する。研究所の昼休みに練習する4人から始まった活動で、現在は、関係者ら約30人が仕事や家事と両立しながら切磋琢磨している。仲間と分かち合う感動を、節目の年に観客に届ける。

「当時は企業にこういうクラブがあった。研究所にもあればと思った」と振り返るのは、設立メンバーの1人でマンドリンを弾く丸山久子さん。昼休みに自分たちもできたらと職場の仲間に声を掛けて、昼休みの20分間を練習に充てることから始まった。当時、農林団地で行われていた夏祭りで演奏したり、クリスマスにちなんだ演奏会を開いたりしたのを皮切りに、毎年行うコンサートを目標に、共に歩む仲間を増やしてきた。

楽団の名称「パンドラ」には、「希望をもたらす仲間たち」という思いを込めたという。丸山さんは、「『パンドラの箱』には、開けると災いが出てくる悪いイメージがある。でも、全て災いが飛び出したあとに残るたった一つのものが『希望』。ギリシャ神話から名付けた」と話す。

空に伸びる青麦のように

楽団の最初のイメージキャラクターは、両手に音符を手にしたタヌキだった。お腹のところに描かれた4本の弦は、丸みを帯びた姿が似ているマンドリンを重ね合わせたもの。当時、農研機構の動物衛生研究所に勤務していたメンバーが考案した。

記念コンサートで着用するユニフォームに描かれる青麦は、元農研機構職員のメンバーによるもの (アソシエ・ド・パンドラ提供)

今回のコンサートでは、現役の他のメンバーが描いた青い麦をあしらうユニフォームを来てステージに立つ。「勢いよく、空に向かって元気に伸びていくという気持ちを込めた」という。

練習は毎週土曜日、市内の公民館などを利用し3時間ほど行っている。公演を控えて熱がこもる練習会場でメンバーは「仕事が忙しくてくたくたになるけど、この活動は手放さない。理想を目指してみんなで一生懸命やるのは面白い」「仕事を持ちながら、子育てしたりしながら、なんとか時間をつくって活動を続ける他のメンバーの姿を素晴らしいと思っている」「これまで毎年1回、必ずコンサートを開いてきた。ステージに上がるといつも以上によくできることがある。みんなのエネルギーに感動する。やってよかったという達成感が35年続けることになった」と、仲間と続ける活動へのやりがいを口々に話す。

野口雨情の名曲メドレーを演奏

ノバホールでのコンサート開催は、結成25周年を迎えた2014年以来。10年前の記念コンサートに合わせて企画したのが、今回も演奏する茨城県出身の童謡詩人、野口雨情作品13曲のメドレー「野口雨情の世界」だ。今回は新たに、市内の産業技術総合研究所職員らによる「産総研音楽倶楽部合唱団」、同じく同研究所関係者らによる合唱サークル「コールアイスト」と共演する。他にも映画のテーマ曲など馴染みのある曲をはじめ、作曲家の武藤理恵さんの作品「パラディソ」、リヒャルト・ワーグナーによる「タンホイザー」など全10曲が演奏される予定だ。

「アソシエ・ド・パンドラ」で部長を務める芝池博幸さん(60)は「今年、結成35周年を迎えるパンドラは、クラシックからポピュラ―、童謡まで、なんでも演奏する庶民派の楽団。ノバホールにお越しいただく皆さまと過ごす時間を大切に、パンドラらしい、活気に満ちた演奏をお届けしたい」と、来場を呼び掛ける。(柴田大輔)

◆「ギター アンド マンドリンアンサンブル アソシエ・ド・パンドラ 35周年記念演奏会」は6月29日(土)、つくば市吾妻1-10-1 ノバホールで午後2時開演。入場無料。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

給食の米飯350食分を廃棄 振替休日を連絡し忘れ つくば市立中学校

つくば市は27日、市内の市立中学校1校が4月27日(月)を振替休日とすることを市給食センターに連絡するのを忘れ、同日の学校給食の米飯約350食分、約5万6000円相当を廃棄したと発表した。 市健康教育課によると、同中学校では4月25日(土)に授業参観を実施し、27日を振替休日としていた。学校行事などで給食の提供を中止する際は、各学校が前月の5日までにそれぞれ給食センターに連絡することになっているが、学校からの連絡が漏れたという。 同市の給食は、委託業者が米飯を炊き、一人分ずつ器に入れて各学校に直接配送している。おかずは学校給食センターが調理し各学校に配送している。4月27日午前10時ごろ、委託業者が同中学校に米飯を配送したところ、休校だったことから給食センターに連絡し廃棄とした。一方、給食センターで調理した350人分のおかずは、配送する前だったため、他校に割り振った。 同課は、市内の各学校と幼稚園などに対し、給食の中止や人数の変更が発生する場合は適切に報告するよう改めて周知し、再発防止に努めるとしている。

在来大豆「タノクロ豆」を守り受け継ぐ《宍塚の里山》136

【コラム・小関緑】宍塚には大粒でとてもおいしい大豆があります。地元では通称「タノクロ豆」。田の畦畔(けいはん)などで作られてきた在来大豆です。近年は作る方が減少しましたが、この大豆を守りつないでいきたいと、地元の方から種を分けていただき、種継ぎを続け20年以上になります。大豆は味噌(みそ)に加工し、宍塚の方々と里山保全に取り組む人たちで分けています。 里地里山文化の象徴 大豆は、味噌、醤油(しょうゆ)、豆腐、納豆の原料であり、畑でとれる貴重なたんぱく源。日本人の食に欠かせない食料です。それぞれの地域で、その土地の気候風土に順化した在来大豆が作り継がれてきました。田んぼの畦(あぜ)は、陽当たり風通しがよく、根を伸ばせば水に届く―そんな環境が大豆にはちょうどよく、畦畔での栽培が行われていました。 自然資源を持続的に循環利用し、気候風土に適した作物のタネをとり、持続的に食料を生産する―そのような生業(なりわい)の在り方が里地里山の文化の要だと考えています。私にとって在来大豆は、そんな里地里山文化の象徴です。 お味噌に加工して配付 20年以上前、当時の及川ひろみ会長が会報配付に集落各戸を回った際、おいしい煮豆をごちそうになったのが、出会いでした。その方の作業を手伝わせていただくことから、栽培が始まりました。 栽培は、土地の資源を生かすこと、先人の知恵を生かすことが基本。聞き書きでも畑作や大豆栽培について聞いており、播種時期、麦間を利用した栽培、脱穀や調整の道具などが記録されています。当会では、落ち葉を畑にすきこむ方法や、裏作の麦との二毛作などに取り組んでいます。ただ近年は草管理が行き届かず、気候変動に伴う生育不良にも苦戦しているところです。 タノクロ豆の存在を知ってもらうため、できた大豆は味噌にして地元の方と里山保全に係る人たちで分けています。味噌作りも最初は地元の方に教わり、宍塚伝来のレシピで作っています。糀(こうじ)の米もなるべく宍塚産にし、当会の田んぼ塾の谷津田米や宍塚の農家が生産したお米を使用。煮炊きには里山保全作業で出た材をまきに使っています。里山の恵みをぎゅっと絞った雫(しずく)のようなお味噌です。 唯一無二だから種をつなぐ 宍塚の風土に順化し、生業文化に根差して作り継がれてきたタノクロ豆。これは、世界に唯一無二です。本来は地元の人たちによって受け継がれるのがベストですが、現代の社会構造では難しくなっています。ここで途切れさせてはならない、タネをつながなければならない―ほぼよそ者で構成される当会がそのつなぎ役になれればと考えています。 幸い、本当の地元住民であり、会員としても活躍くださっている方が、栽培をしてくださっています。このつながりに感謝し、今後も細々ではありますが継続していきます。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

傘がない《短いおはなし》51

【ノベル・伊東葎花】 電車を降りると雨だった。しかもかなり降っている。カバンに入れたはずの、折りたたみ傘がない。困ったな。タクシーは行列ができている。コンビニまで走って傘を買うか。だけどちょっと走っただけで、ずぶぬれになりそうな雨だ。 迷っていたら女が隣に立って、傘を広げていた。じっと見ていたら目が合った。 「傘をお忘れですか?」 「ええ、そこのコンビニで買おうと思っています。しかし、この雨では」 「よかったら、コンビニまでご一緒しませんか?」 「えっ、いいんですか。肩が濡れてしまいますよ」 「構いませんよ。困ったときはお互いさま。さあ、どうぞ」 女が開いた傘は、僕の傘にとても似ていた。どこにでもあるチェック柄だけど、僕の傘には柄のところに「M」の文字が刻まれている。僕の名前の頭文字だ。 「僕が持ちますよ」 そう言って傘を受け取って柄を見ると、「M」の文字が刻まれている。 「あの、これはあなたの傘ですか?」 「違います。電車の中で拾ったんです」 「拾った? じゃあやっぱり、これは僕の傘だ。かばんから落ちてしまったんですね」 「まあ、そうでしたか。届けようと思ったんですけど、この雨でしょう。つい、持ってきちゃって。ごめんなさい」 「構いませんよ。返してもらえたら」 「コンビニに着いたらすぐにお返します。本当にすみません」 女はすまなそうにうつむいた。かわいい人だ。彼女に拾ってもらえたのは、もしかしたら運命かも。 それにしても、カバンに入れていた傘が、どうして落ちたんだろう。何かを取り出したときに落としたのかな。ウトウトしているあいだに落ちたかな。ぜんぜん気づかなかった。 ふたりで並んで歩いた。かなり密着している。長い髪が腕に触れるたび、いい匂いがした。早くなる鼓動を気づかれないように歩いた。あっという間にコンビニに着いた。 「ありがとうございました。では私は、傘を買って帰ります。本当にすみませんでした」 「こちらこそ、あなたに拾っていただけてよかった」 「雨が強くなってきました。さあ、早く帰ってください」 「また会えるかな」 「同じ電車を利用しているんです。きっと会えますよ」 女は笑いながら手を振って、店に入った。そうだ。これが運命なら、きっとまた会える。 歩き出してから、冷蔵庫に何もないことを思い出した。 「弁当とビールでも買うか」 引き返してコンビニに行くと、女がレジで金を払っているところだった。「あれ? その財布」 似ている。色、マーク、表面のキズ。紛れもなく僕の財布だ。「あの、それは、あなたの財布ですか?」 女が振り向いて、にこやかに答えた。 「違います。さっき拾いました」 (作家)

パスカルズ つくばで初コンサート 30日カピオで

おもちゃの楽器やピアニカ、弦楽器などを用いた独特のサウンドで、ユニークな音楽を繰り広げるアコースティック・オーケストラバンド「パスカルズ」が30日、「パスカルズをききながら」と題して、つくば市で初のコンサートを開く。当日は、筑波山麓で知的障害者と共同生活をしながら有機農業や表現活動に取り組む「自然生(じねんじょ)クラブ」(柳瀬敬代表)が「自然生サーカス」と題し前座を務める。 企画したのは、共生社会を目指し県南地域で多様な芸術文化活動を企画・運営する「ウォーミングアップ(warming up)アートプロジェクト」(つくばみらい市)代表の野口修さん(70)だ。野口さんは1979年から2000年までつくば市内天久保でライブハウス「クリエイティブハウス アクアク(AkuAku))」を運営し、ジャズピアニストの山下洋輔さんを始め多くのアーティストが演奏した(23年12月8日付)。パルカルズリーダーのロケット・マツさんとも親交があり、今回、実行委員会をつくってコンサートを企画した。 パスカルズはキーボード奏者のロケット・マツさんを中心に1995年に結成された13人編成のバンド。多様なメンバーが様々な楽器を使い、変幻自在な音楽を繰り広げる。テレビドラマや映画の劇中伴奏音楽も手掛け、自然生クラブも出演した映画「日日(にちにち)芸術」(2024年)の音楽も担当した。同映画のロケでは一昨年、メンバ―がつくば市神郡を訪れ、自然生クラブと共に撮影に臨んだ(24年5月23日付)。 ​メンバーの一人、石川浩司さんは、1990年のヒット曲「さよなら人類」で知られる「たま」のパーカッション奏者で、1年間だけつくば市松代の国家公務員宿舎で暮らした経験があるという。メンバーはほかに、エッセイスト、漫画家、版画家など多彩な顔触れだ。欧州ツアーも行い国際的にも高く評価されている。 野口さんは「パスカルズの音楽は未就学児までも観客に含める。大人は経済や信条で戦争を起こす。子供の視点というのが大事で、パスカルズの音楽を聴いて世界が平和になってくれれば」と話し、「『パスカルズをききながら』というタイトルは、『もし今の世界が失敗だったら、神さま、次はパスカルズをききながら世界をつくってください』という漫画家のしりあがり寿さんの言葉をいただいた。パスカルズの音楽は、そんな思いが満ちてくる」と語る。 パスカルズのリーダー、ロケット・マツさんは「つくば市でコンサートをするのは初めて。僕たちは器楽曲中心のグループ。説明が難しいが、聴いているとなんだか風景が見えてきて、体が気持ちよく揺れて、いろいろな感情が浮かぶ、よくわからないけど聴いてみたくなる、そんな音楽。どうぞいらしてください」と来場を呼び掛ける。(榎田智司) ◆パスカルズコンサート「パスカルズをききながら」は30日(土)午後5時~、つくば市竹園、つくばカピオホールで開催。開演は午後4時30分。入場料は一般前売り4500円(当日5000円)、学生・障害者4000円(当日4500円)、中学生以下前売り2500円。問い合わせは電話090-8580-1288(warming upアートプロジェクト)へ。 ◆翌日の31日(日)午後6時から、同市天久保の「aNTENA」で、パスカルズのメンバー、知久寿焼さんのコンサートが催される。問い合わせは電話090-8580-1288(同)。