県立筑波高校(つくば市北条)で8日、現金を使わず、スマートフォンで支払いができる決済サービス「au PAY」を利用した学園祭が開催された。同校でキャッシュレス決済を取り入れた学園祭を行うのは昨年に続き2度目。昨年、県内で初めて導入した。
KDDIが2022年から始めたサービスで、全国40以上の高校の学園祭で導入されている。県内では水戸工業高校(水戸市)でも同じサービスによる文化祭が実施された。
利用者は、事前に「au PAY」アプリをダウンロードし、入金作業を行った後、出店先に表示されたQRコードを読み取り、支払い金額を入力することで、決済が完了する。
学園祭当日は、9つのクラス企画のうち、飲食を扱う屋台や、縁日、お化け屋敷などを含む8団体が同サービスを利用した。出店者である生徒は、売上の状況や混雑時間帯などのデータをリアルタイムで確認できるほか、学校側は現金の管理が不要になるため、事務作業の効率化や負担軽減が期待できる。
同校の鈴木恒一校長は「売上などのデータを集計し、分析することは、やがて社会の一員になった際に必要なスキルであり、生徒たちの金融リテラシーを育む良い機会になる。また会計処理の負担が軽減されたこともあり、教員の働き方改革の一助にもなっている。金融教育を実践する場として活用できるキャッシュレス学園祭を今後も継続的に利用できれば」と話した。
同校3年で、学園祭実行委員長の飯塚芳佳さん(17)は「キャッシュレス決済を利用した学園祭はとても便利で、特に屋台の模擬店では、お客さんを支払いで待たせることなく、できたてを提供できる」と話し、同じく3年で副委員長の菊田希歩さん(17)は「リアルタイムで売上が確認できるため、他のクラスと競い合いながら取り組むことができ、お金を稼ぐ大変さも同時に学ぶことができる」と語った。
同校に通う生徒をもつ、市内の保護者は「現金のやり取りがないため、支払いがスムーズ。学園祭をキャッシュレスで行うのは今までにない視点だったので驚いた」と話した。
サービスを提供したKDDIの森本剛さんは「22年度から家庭科の授業で金融教育が始まったことや、デジタル化が影響し、全国的にキャッシュレスで学園祭を行おうとする傾向がある」とする。(上田侑子)