2年連続の定員割れ踏まえ
2023年度に科学技術の専科高に改編されたつくばサイエンス高校(つくば市谷田部)が、開校から2年連続で定員割れとなったのを踏まえ、県教育庁高校教育課は24日開かれた定例教育委員会(柳橋常喜教育長)で、25年度から同校に普通科を3学級(定員120人)新設すると報告した。現在6学級240人の科学技術科は、来年度から半分の3学級120人に減らす。学校全体の定数は6学級240人のまま。
新設する普通科は、文系、理系どちらも選択できる文理融合型の選択科目や、総合的な探求の時間に自分の興味を探求できる「サイエンス探求」などを用意する。同校には、電子顕微鏡や分析機器など大学レベルの機材や設備が備えられていることから、普通科でも機器や設備を生かしたサイエンス探求ができるという。一方、科学技術科は、従来のまま2年次からロボット、情報、建築、化学生物の4領域の中から選択できる。
サイエンス高はつくば工科高校を改編し、2023年度開校した。つくばエリアの中学生が増加していることを受けて、定員を2学級80人増やして240人にした。一方、初年度の入学者は、一次募集の志願者が72人(倍率0.3倍)、二次募集を含めた入学者数は88人だった。2年目の今年度はさらに減り、一次募集の志願者は68人(同0.28倍)、二次募集を含めた入学者数は77人にとどまった。初年度の23年度は152人、24年度は163人の欠員が出ていた。
2年連続の定員割れについて県教育庁高校教育課は、開校後の進学実績がまだ見えない中で中学生が志望先に同校を選びにくい、中学3年の段階で理系の進路を選ぶのは難しいとして、普通科を設置する方針を決めた。
普通科設置は10月下旬の定例教育委員会での議決を経て正式決定となる。県は昨年7月、牛久栄進高校の1学級増や筑波高校の進学アドバンスコース新設などを発表しており、今回の募集定員の変更は昨年より2カ月早い公表となる。
ミスマッチに厳しい意見
24日の教育委員会では教育委員から厳しい意見が相次いだ。教育委員の一人、市原健一元つくば市長は「前々から何度も指摘させていただいているが、つくば市はよその市町村と比べ中学生がはるかに多いのに、なぜサイエンス高校の志願者が少ないのか、片方で高校をつくってほしいという要望があり、片方でつくば工科高校をサイエンス高校にして受け皿にしようとしたがミスマッチが起こった。根本的にどこが問題なのか、ニーズをしっかり把握していなかったことになるので重く受け止めてほしい」などと指摘した。
県高校教育課の深澤美紀代課長は「(ミスマッチの)原因の一つとして、中学3年時点で理系進学を決めるのはかなり難しいという意見を中学校から聞いている。高校の特色について地域の方への広報が足りなかった部分も感じている。それぞれの高校の特色をどう伝えたらいいのか、広報のツールについてもしっかり検証していきたい」と答えた。
サイエンス高校の定員割れ問題については、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が28日、県教育長宛てに要望書を提出する予定で、同校に普通科を設置するなど3項目を要望する方針だ。片岡代表は「28日に要望書を出す前に要望の一部が実現しうれしく思う。一歩ずつでも前進したことは良かった。実現してくれた関係者に感謝したい」とし、さらに「竹園高校を2学級定員増やし10学級とすること、つくばエリアの県立高校募集枠を県水準に引き上げることも、実現に向け要望したい」などと話した。(鈴木宏子)