【コラム・榎田智司】地球温暖化の影響なのか、今年も季節が早く進んでいる感じがする。筑波山麓では今春、ソメイヨシノとヤマザクラの開花と満開の時期がほぼ同時だった。
筑波山麓で活動するつくば環境フォーラムの理事、大塚太郎(54)さんは「今年はソメイヨシノとヤマザクラ、さらには桃までが、同時に咲いた印象がある。フキノトウ、タラノメなども一気に大きくなり、いきなり収穫という感じになった。近年の温暖化傾向はずっと続いており、今後の対策として12月に収穫するコメを作る計画をしている」と述べる。

ヤマザクラで有名な桜川市役所観光課に問い合わせると「毎年ヤマザクラはソメイヨシノよりも1週間ほど遅く開花していたが、今年はほぼ同時だった。暖冬傾向の中で3月上旬の気温が低かったためではないか」という。
水戸地方気象台の発表ではソメイヨシノの開花は3月31日、満開は4月8日。県内の開花は平年通りだったが、近年の温暖化傾向の中では、遅い桜とも感じた。一方、九州地方から東北地方南部までの開花の差が3日ほどしかなかった。

振り返ると2024年の年明けは比較的温暖で、2月中旬には春を思わせる気温となり、このまま暖かくなるかなと思ったら、3月上旬は気温が下がり雪が降ったこともあった。ソメイヨシノは2月1日からの最高気温の積算が600度に達すると開花するという法則があるといわれるが、今年の開花時は積算が768度になっており、62年ぶりに予想が外れたといわれる。テレビでは気象予報士の森田正光さんが、これも暖冬の影響で、冬の間に十分な寒さがないと「休眠打破」が出来ずに開花が遅れたのではないかと推測していた。
一般に、ヤマザクラの開花は関西ではソメイヨシノより早く、関東では遅いと言われる。仮説としてあげられるのは、ソメイヨシノは1本の木から生まれたクローンだが、山桜には多様な種類があるために起こる現象ではないかとも言われているそうだ。開花と気候をめぐる謎は深まるばかりだ。(NEWSつくばライター)