画材一式を背負って世界各国をめぐり、現地で人間や環境をテーマにしたアート制作に取り組んできた画家の今井義明さん(81)=かすみがうら市在住=の展覧会が1日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まる。宇宙への思いのたけを幅1メートル×タテ1.7メートルのパネル80枚に描き、全作を横並びに連ねて展示するというスケールの大きな展示会で、「ゴールデンウイーク中の子供たちに観てほしい」と来場を呼び掛けている。
143回目となる展覧会は「未来へ宇宙オリンピア」がテーマ。人類の宇宙へのあこがれに、想像力を羽ばたかせたアクリル画80枚を展示室の中空に吊り下げる。1枚1枚のパネルを屏風状に連ねて吊り下げるため、美術館保有のワイヤーでは不足が生じ他館から調達して間に合わせるという前代未聞の展示法になる。

1960年代に画業をスタートさせた今井さんは車に画材や生活用具一式を積み込み、全国各地で野外絵画展を開き、93年までに全国47都道府県を巡回した。97年からはバックパッカーとなって世界各国をめぐり、中国を皮切りに5大陸を踏破して 2006年には世界一周達成展を開催、20年の「万葉集・花展」までに142回の展覧会をこなし、人類や環境をテーマとしたアートを発表し続けてきた。
さらに宇宙へとイメージをふくらませた展覧会を東京五輪に合わせ20年に企画したが、折からのコロナ禍で断念。今回は早々につくば美術館のゴールデンウイーク中の日程を押さえ、4年越しの開催に漕ぎつけた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙センターが所在し、つくばエキスポセンターも最寄りに立地する美術館で、是非とも開きたかった会場という。
「宇宙への夢を実現するのはいつも子供たちだから、この奇想天外な世界に遊びに楽しんでほしい」と今井さん。4年前の制作物を描き替え、描き加えてパネルの総延長は約80メートルになる。照明を落とし宇宙に見立てた80メートルの空間を、子供たちが聖火トーチを持って走るイメージの趣向も考えているそうだ。(相澤冬樹)
◆今井義明展は5月1日(水)~6日(月)、県つくば美術館。入場無料。電話0299-59-4152(アートセンターイマイ)