土曜日, 8月 8, 2026
ホーム土浦実際にどう対応? 「合理的配慮」義務化スタート 土浦

実際にどう対応? 「合理的配慮」義務化スタート 土浦

情報不足に戸惑いも

改正障害者差別解消法の施行に伴い、段差があればスロープをつけるなど障害の特性に応じた配慮をする「合理的配慮」が1日から民間事業者にも義務化された。実際にどう対応すべきなのか、現場では情報不足からくる戸惑いの声も聞こえてくる。実際の現場で事業者や当事者はどのように課題に向き合っているのか、土浦で話を聞いた。

一部でも助成があれば

「絶対にやりたくないのは入店拒否」だと話すのは、昨年、土浦市川口にオープンした古書店「生存書房」の店主・藤田康元さん(57)だ。

同店は、歩道に面した入り口に15センチほどの段差が2段あり車椅子の人が一人で入店するのは難しい。大幅なバリアフリー改修は費用面から現実的ではない。そこで藤田さんが最初にとった「配慮」が、入り口前に「ハンドベル」を置くことだ。玄関にチャイムをつけても歩道からは手が届かない。車椅子でも店主を呼び出せると考えた。

手に取りやすい場所に置かれた古書店のハンドベル

「入り口にスロープがないことでバリアを感じる人はいるはず。入店を諦めさせているかもしれないと思った。諦めないで店主を呼んで欲しいという意味を込めた」と話す。後に折りたたみ式の簡易スロープを購入し、必要な時だけ設置できるようにした。費用は約4万円。ネットで購入したものだ。「これが個人店でできる範囲。出費は厳しい」とこぼす。「大規模な改修費用とまでは言わないが、せめて一部でも助成があれば」と希望を話す。

障害者以外のためにもなる

土浦市乙戸で料理店「ママのごはん」を営む高橋理恵さん(62)は、2017年のオープン時から入り口にスロープを設置しトイレに手すりをつけてきた。障害のある夫の助言からだった。高橋さんは、スロープや手すりのおかげで「車椅子のお客さんが増えた」と言い、喜んでくれるのは障害者だけではないとも話す。

「ママのごはん」入り口に設置されたスロープ=同市乙戸

「つえをついていたり歩幅が小さかったりする高齢者や、ベビーカーで来るお客さんも『入りやすい』と言ってくれる」。何より自分も歩きやすい。「大きな荷物を抱えて段差を上がるのは大変ですから」。

様々な人が出入りする中で必要な「配慮」が身についた。車椅子に限らず、ベビーカーに子どもを乗せたままテーブル席に着きたい人にも、さっと椅子をどかして対応する。

大切なことは、当事者との接点を持つことだと指摘する。「私は身内に障害があることで気づいたことはたくさんある。うちの店には車椅子のお客さんが来るのを他のお客さんもわかってくれているから来店時に手伝ってくれる」と言う。

「ママのごはん」を営む高橋理恵さん

一方で「個人の飲食店だと対応が難しい事情もわかる」と、合理的配慮の実践を躊躇する個人店にも思いを寄せる。実際に家族で外出して入店できないこともあった。「行く前に『車椅子でも入れます』と聞いても混んでいて入れないこともある。車椅子や障害のある人が来ることが前提になっていないお店は多い。私も家族に障害があるなど身近でなければ、必要な配慮への気づきはなかったかもしれない」

4月からの義務化については「(行政などから)手紙での通知などはなく、商工会に入っているわけではないので情報を得る機会が限られていた」といい、周知の不足を指摘する。実際に街で話を聞くと「義務化は知らなかった」と言う人は少なくない。

特性の理解を

同市で障害者福祉の課題に取り組む目黒英一市議(54)は、合理的配慮で大事なことは「特性を理解すること」だと言い、そのためにも「当事者の生の声」に触れることが欠かせないと話す。目黒市議は知的障害を伴う自閉症のある子の父としても活動している。

「知的障害のある方は、性格と同様に個々の特性がある。大きい音が苦手だったり、飛び跳ねたり声を出してしまったりすることもある」。周囲が障害の特性への理解があれば、大きな音が苦手な人と大声を出しがちな人を隣り合わないよう配慮することで、互いに心地よく過ごすことができると指摘する。

「子どものうちから合理的配慮を学ぶべき。(今の社会は)障害のある人が世の中に適応していかなければいけない状況にあるが、障害のある人の目線で物事を考えられれば」とし、「当事者との接点を持つことで『スロープつけなきゃだめだよな』という気持ちになる。合理的配慮は、スロープをつけておしまいではない。大切なのはそこから先。どうすれば車椅子でも通りやすくなるか、接客にはどう気を遣えばいいか。相手のことを考えられることが大事」だと語る。

当事者の声を聞いてほしい

「障害の当事者は、こんな時はどうすればいいのかというアイディアを十分持っているので、まずは当事者に聞いて欲しい」と話すのは、当事者として障害の理解啓発活動をする「茨城県に障害のある人の権利条例をつくる会」共同代表の生井祐介さん(46)だ。同会は、2015年に施行された障害者への差別を禁止する県障害者権利条例を作るために発足した。生井さんは合理的配慮についてこう思いを話す。

「当事者の声を聞いてほしい」と語る、生井祐介さん(中央)

「『過重な負担』というのがあるが、初めから断るのではなくその場で当事者に相談して欲しい。例えば商店の入り口に段差があって車椅子で店内に入れなければ、当事者の希望を聞いて商品を入り口まで持ってきて選んでもらうこともできるし、車椅子を何人かで持ち上げてあげることもできるかもしれない。私たちはそのやり方を説明できる」

「『うちは無理なんです』と断らずに相談してほしい。解決策が見つかれば僕たちも行けるお店が増える。よりいい関係が作れるはず」と語る。

店舗入り口に置かれる取り外し可能な簡易スロープ

7市村に助成制度

県内には現在、合理的配慮への助成制度がある自治体が7市村(つくば、水戸、ひたちなか、取手、つくばみらい、那珂市、東海村)ある。生井さんは「制度を使えばスロープの設置などもしやすくなる」とし、「茨城には『障害者権利条例』があり、全ての差別を禁止すると言っていることも忘れないでほしい」と思いを述べる。

合理的配慮の義務化に関して土浦市は、周辺自治体などで実施されている助成制度については「制度を実施する予定はない」とする。また、合理的配慮は「障害者との建設的対話を通じて事業者が提供できることを考え、実施に伴う負担が過重であれば、過重でない代替方法を対話を通じて見つけていくことが法の趣旨」であるとし、「合理的配慮の具体的な取り組み例を紹介していくことはできる」と述べ、県障害者差別相談室や市障害福祉課への問い合わせを求めている。周知活動については今後も継続していくとしている。(柴田大輔)

【メモ】合理的配慮とは、段差があればスロープをつけたり、声や音が聞き取りにくい人に対して手話や筆談ボードを用意するなど障害の特性に応じた配慮をすること。時間を調整するなどルール・慣行の柔軟な変更も合理的配慮に当たる。障害がある人もない人も平等に社会に参加できることを目的としている。

障害を理由に来店を拒否したり、サービスを提供する時間や場所を限定するなど条件をつけることは「差別」にあたり、「障害があるからと特別扱いはできない」「前例がない」と、求められた配慮を無碍(むげ)に拒むことは認められていない。一方で、事業者にとって過度の費用負担や物理的に実現不可能な場合など、「提供に伴う負担が過重でない」ことが提供範囲とされている。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「気持ちが世捨て人だった」ときに考えたこと《ハチドリ暮らし》64

【コラム・山口京子】抗がん剤治療中、「気持ちが世捨て人だった」ときに思ったことがありました。自分は直にいなくなるけれど、子どもや孫たちの暮らしは続いていく。これからの暮らしはどうなるのかしら…と。とりあえず、現在を捉えるにあたって、三つのことが頭に浮かびました。 文化なき文明、不公正な法律… 一つは「文化なき文明」。確かに文化は存在しますが、ここの文明には文化が見えない…。この文明は地下資源に依存しており、大量の生産・消費・廃棄・汚染システムは強力です。「便利で楽」は、私たちが自ら求めたものでしょうか? それとも、どこか別のところからやってきたものでしょうか? 足るを知ることが大事と言われますが、消費の場面では買わせる広告があふれています。 二つ目は「借金(債務)が成長の燃料」というシステム。多くの国々が巨額の借金を抱えています。これまでは機能したとしても、これからどうなるのか?インフレ・金利上昇・増税が不可避なのか?と。金利が上昇すれば債務返済に負担が課されます。歳出構造が変わってしまうのでは? インフレでお金の価値が目減りすれば、実質的に家計から政府へ所得が移転されると指摘されています。 三つめは「不公正な法律」が成立しているという疑念です。表向き法律は国民のためと言いながら、実際は反対のことが起きているのでは? 改正労働者派遣法は働く人の立場を低下させたのではないか? この法律は個人よりも市場の利益優先では? 「法律ができて、それで利益を得る人と、損を被る人はだれなのか、調べることが大事だ」と、ある本に書かれていました。 自立・自給・自尊がつながる暮らし そもそも、国会が国民の代表機関であり得ているのかと、疑問視する専門家もいます。戦後の米国との関係、勝共連合との関係はどうなのか? また、「主権者は国民ではなく市場である」という説もあります。AIの覇権競争はどうなるのでしょう? 防衛費アップや武器輸出でGDPが上ると言いますが、そういうGDPとは何なのでしょう? 今の時代は大きな転換期だと言われます。自立・自給・自尊がつながりあった暮らしのかたちができないものか―次のシステムを考えています。(消費生活アドバイザー)

筑波大生が夏休みの宿題応援 小学生ら絵画や書道に挑戦

夏休み中の小学生が、筑波大で芸術を学ぶ大学生らのアドバイスを受けながら、夏休みの宿題の絵画や書道に挑戦するイベント「夏休み宿題応援」が7日、つくば市二の宮のギャラリー、スタジオ’Sで催された。ギャラリーを運営する関彰商事(本社 筑西市・つくば市、関正樹社長)と筑波大による取り組みで、この日は午前9時半からと11時から書道教室、午後1時からと3時から絵画教室が開かれ、つくば市や近隣地域から小学生計約70人が参加した。今年は前日の6日に筑西市でも同様のイベントが開かれ、小学生約40人が参加した。 スタジオ’Sで午後1時から始まった絵画教室には保護者に付き添われた17人の小学生が参加し、それぞれが、ポスターコンクールに出展する製作途中の「防犯」「交通安全」などの作品を持ち寄った。講師になったのは筑波大芸術専門学群の大学生と大学院生の計5人。小学生らは五つのテーブルに分かれて作品を広げ、大学生らが、下書きの描き方、構図の作り方、絵の具の塗り方などを、それぞれの進行状況をみながらアドバイスした。 ひたちなか市から参加した小学5年の上田ももなさんは、昨年出展した交通安全のポスターを持参して参加した。「今年はもっとうまく描いて入選したい」と意気込みを話し、大学生から、下書きの構図を変えることをアドバイスされ、早速描き直していた。つくば市立東小2年の子どもの付き添いで参加した母親の二階堂里万子さんは「普段はユーチューブなどを参考にしながら子供に教えているので、専門的に学ぶ大学生から教えてもらえるのはとてもありがたい」と話していた。 講師を務めた筑波大大学院生の稲田来瞳(くるみ)さんは「子供たちに教えるのはとても難しいが、何を伝えたいのかを思って描くことや、自分だったらこんな風に描くだろうと想像して指導した」と語った。 当日は県つくば美術館のスタッフが、トイレットペーパーの芯を使った作品などを持参して参加し、同美術館で15日に開催される、とび出すカード作りのイベント「つくぞう つくるぞう!」や、火~金曜の午後と日曜・祝日の午前中に開催中の、だれでも自由に創作活動ができる「つく美でつくり場」などを紹介をした。 書道と絵画を対象とした今回の企画は、2016年からスタジオ’Sと筑波大が毎年開催している子ども向け企画「キッズアート体験」の中で好評だった二つの科目に特化し、18年から独立した形で始まった。20年からは県近代美術館も協力している。 関彰商事広報の石井雅也さんは「『夏休み宿題応援』は好評で、人気が高く、すぐに定員いっぱいになる」とし「今後も同様の企画を続けていきたい」と話した。(榎田智司)

水草の進化と不思議を紹介 見て、触って、学べる企画展 筑波実験植物園

水面に浮く水草は、なぜ沈まないのか。なぜ、大きさも形も異なる、さまざまな葉があるのか―。水草を見て、触って、その不思議を学べる企画展「水草―水辺を生きる多彩なかたち」が7日、つくば市天久保の国立科学博物館 筑波実験植物園(遊川知久園長)で始まった。会場には、水草を美しく配置した水槽をはじめ、様々な水草を実際に触ることができるタッチプール、顕微鏡をのぞいて小さな水草や食虫植物を観察するコーナーなどが並ぶ。夏休みの子どもたちが、水辺の植物を身近に感じられる展示だ。絶滅危惧種に指定されている希少種や南米アマゾン地方に生育するものなど、同園が栽培、保全する約250種の水草を見ることができる。会期は16日まで。 押して分かる、浮く仕組み 「触ってみてください。ここに空気をためることで、水に浮くことができるんですよ」 展示会場の一つ、研修展示館の入り口に設けられた幅約3メートルのプールで、水面に浮かぶ多年生の水草・ホテイアオイを手に、同園研究員で展示責任者の田中法生さん(56)が話す。 葉の付け根にある膨らんだ部分を指で押すと、内部に空気をためる空洞があることが分かる。空気をためるものや、水をはじく表面を持つものなど、水面に浮かぶ仕組みは植物によって異なるという。同じプールには複数の種類の水草が浮かんでいる。子どもたちは実際に触りながら、それぞれの硬さや形、浮き方の違いを比べることができる。 世界には約2800種の水草がある。同園は世界の水草の約1割にあたる約160種類、国内種に限っては約5割に当たる約120種を栽培・保全している。 大きさも形もさまざま 同園で水草をテーマにした企画展が開かれるのは2024年以来、2年ぶり。今回は、水草が持つ多様な「かたち」に焦点を当てた。 水草の中には、長さが最大7メートルにもなる細長い葉をつけるものや、直径が2メートルほどになる大きな皿のような葉を持つものがある一方で、一つの植物体がわずか0.5ミリほどしかないものもある。会場には、パイナップルのような硬く鋭い葉が特徴で、その独特な姿から「浮き草の異端児」とも呼ばれるストラティオテスや、同園が日本で初めて長期栽培と開花に成功した「オッテリア・メセンテリウム」、つくば市と協力して市内での自生を確認したクロホシクサなど、希少な水草も間近で観察できる。 水草は水に「戻った」植物 水草が持つ多彩な形の背景には、水中から陸上へ進出し、再び水辺へ戻ってきた植物の長い歴史がある。植物の祖先は水中で誕生し、およそ5億年前に陸上に進出した。その後、陸上でさまざまな姿に進化した植物の一部が、再び水中や水辺で暮らすようになった。それが現在の水草だという。水草には、バラやイモ、イネなど、陸上で身近に見られる植物の仲間も数多く含まれている。 「陸上植物から水草が誕生した出来事は、進化の歴史の中で一度だけではない」と田中さんは言う。DNAを用いた研究で植物の系統樹をたどると、陸上から水中への進出は、進化の歴史の中で約200回起きたと考えられている。数億年前に水中へ入った植物もあれば、比較的最近になって水辺で暮らすようになったものもあるという。 異なる祖先を持つ植物が別々に水中に進出したため、水草はもともと異なる形を受け継いでいる。一方、祖先が違っていても、同じ水中環境に適応するうちに、似た形になることもある。例えば、水の抵抗を受けにくくするために葉が細くなったり、水中から二酸化炭素などを取り込みやすくするために、葉が細かく枝分かれしたりする。「祖先が違うために形が異なる一方で、同じ環境に適応した結果、形が似ることもある。この二つが組み合わさることで、水草の複雑で多様な形が生まれている」と田中さんは説明する。 日本の水草、約4割が絶滅の危機 展示では、水草を取り巻く厳しい状況も紹介する。日本に生育する約270種の水草のうち、約43%が絶滅の危機にあるとされる。水質の変化や湿地の開発に加え、水田やため池の管理方法が変わったことも、水草が減少する原因になっている。 多くの水草は、かつて川が氾濫する場所に生育していた。堤防の整備などによって氾濫する場所が減ると、水田やため池が水草の新たな生育場所になった。しかし近年は、除草剤の使用や農業の効率化、ため池の利用減少などにより、水草が暮らせる場所が再び減っている。アメリカザリガニなどの外来生物に食べられたり、生育地を荒らされたりする問題も深刻だという。企画展では、茨城県やつくば市内に残る希少な水草を展示し、身近な水辺でも植物の減少が進んでいることを伝える。 まずは水草を好きになって 会場では、顕微鏡を使って食虫植物も観察できる。葉についた小さな袋に餌となる生き物が近づくと、入り口が開き、一瞬で吸い込む。タイミングが合えば、水中の食虫植物が獲物を捕らえる瞬間を見ることができる。また、世界で最も小さな花をつける体長0.5ミリ程のミジンコウキクサの、肉眼では気付きにくい花を拡大映像や模型を手掛かりに探すコーナーもある。 田中さんは水草の魅力について「植物全体の中では少数派だが、形や生き方の多様性はものすごい」と語り、「実際に水草を触ったり、観察したりして、いろいろな水草があることをまず知ってもらいたい。たくさんの水草があることで、水辺の生態系が成り立っている。そんなことにも思いをはせながら、水草を好きになってほしい」と話す。(柴田大輔) ◆同展は、つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時から午後5時、入園は午後4時半まで。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。会期は8月16日(日)まで、会期中は休園日なし。教育棟ではプロのアクアリウム レイアウターによる水草水草が展示されている。 ◆15日午後1時半からは、研修展示館3階のセミナー室では、高校生以上を対象とした、田中法生さんによる講座「植物研究最前線『水草のかたちの謎』」が開かれる。定員30人、事前予約制。詳細は、同園ホームページへ。

合併めぐり土浦市長「かすみがうら新市長の検証見守りたい」

かすみがうら市との合併について、土浦市の安藤真理子市長は6日開かれた定例記者会見で、7月のかすみがうら市長選で無投票当選した金子敏明新市長が先月28日、土浦市の市長室に就任のあいさつに訪れた際、金子市長から「かすみがうら市内部で精査し、改めて検証していく」との話があったことを明らかにした。安藤市長は「元々かすみがうら市からの提案なので、新市長がどう検証していくかを見守りたい」などと話した。 両市の合併をめぐっては、かすみがうら市議会で6月16日、両市の合併協議・検討の場設置を求める決議が全会一致で可決されたのを受けて(6月11日付)、かすみがうら市の宮嶋謙市長(当時)と来栖丈治市議会議長が翌17日、土浦市役所を訪れ、同市の安藤市長と勝田達也市議会議長に、合併に向けた協議・検討の場の設置を求める要請書と要望書をそれぞれ提出した(6月17日付)。提出を受けた土浦市の安藤市長は7月6日、かすみがうら市で7月12日告示の市長選が行われることから「新しい市長がどのような考えなのか見極めたい」などと話していた。 6日の会見で安藤市長は、就任あいさつ時の金子新市長の発言について「(かすみがうら市の)議員の皆さんは全員賛成だが、市民の皆さんの声を聞きたいということだった。(新市長が)検証していくということであれば、それを見ていきたい」と話した。宮嶋前市長と金子新市長との間の姿勢の変化については「私がコメントする立場にない」とした。 一方、市町村合併について安藤市長自身の考えを問われると「市民が、合併して良かったと思う合併ならいいと思う」と話し、「平成の大合併についても、いいこともあるし課題もあり、検証していく必要がある。合併特例債のようなものがあれば合併が進むかもしれないが(特例債は)終了している」などと話した。その上で、かすみがうら市との合併については「(土浦市内の)各地区に出向いて市民の皆さんと話す機会があるので、市民の皆さんの考えを聞きたい」などと話すにとどめた。 50万都市圏は広域連携が現実的 大井川和彦知事が県議会6月定例会で、高橋直子県議(いばらき自民党、土浦市選出)の一般質問に答え「TXの土浦延伸は、つくば・土浦地域がより密接に連携し、人口50万人規模以上の都市圏を生み出す大きなチャンスになる」などと答弁したことについても質問が出て(7月20日付)、安藤市長は「50万都市圏については(市町村合併というよりも)まずは意識をもって広域連携をしていきましょうというのが現実的ではないか」などと述べ、「50万都市圏のためにまず一番必要なことがTXの土浦延伸だと思う」と強調した。(鈴木宏子)
コメント一覧