実験は中止
つくば市は25日、民間企業が市立保育所2カ所で予定していた実証実験で、実験に参加することを同意した保護者の個人情報が、6日から11日の6日間、他の参加同意者に閲覧できる状態になっていたと発表した。市は個人情報の不適切な取り扱いがあったとして、今回の実証実験は中止するとしている。
市科学技術戦略課によると、漏えいしたのは、保護者の氏名、メールアドレスと、子供の発達状態に関するアンケートを集計した概要。アンケートの概要は、保護者個々人の氏名などと紐づけされたものではないという。
先端技術を活用し子育て支援サービスを開発、提供するエフバイタル(東京都中央区、安島真澄社長)が作成したインターネット上の回答フォームで、実証実験に同意した保護者が、他の保護者の氏名などを閲覧できる状態になっていた。
同社は昨年10月、同市と「先進技術を活用した子育て支援及びSDGsの推進に係る包括連携協力協定」を締結した。協定に基づいて、市立保育所2カ所で、3~5歳の園児の保育所での様子を動画で撮影し、人工知能を活用して行動の特徴や傾向を解析し、得られた結果を保育所で活用する可能性について検証する計画で、6日から回答フォームで保護者に参加を募っていた。
11日午後6時ごろ、保護者の一人から、他の保護者の回答内容が閲覧できる状態になっていると市に連絡があり発覚した。
市は同社に対し、保護者の回答情報を閲覧できないよう速やかに設定を変更するよう指示したとし、さらに27人を含む2カ所の保育所の3~5歳児の保護者全員に、市と同社がそれぞれ謝罪し対応状況を知らせたとしている。
原因について市は、エフバイタルがオンライン回答フォームを作成した際、設定を誤ったためだとし、同社に対し、検証と再発防止策を求めているとしている。今後の同社の実証実験について市は、現時点で未定だとしている。