2010年4月に閉庁になったつくば市小茎の旧茎崎庁舎跡地に14日、ドラッグストア「ウエルシアつくば小茎店」(清水竜也店長)がオープンした。
高齢化が進む茎崎地区で旧庁舎跡地の利活用は長年の懸案だった。跡地の活用検討がスタートしてから市に4回要望書を提出してきた茎崎地区区会連合会の小原正彦会長は「ようやくここまでこぎ着けた。かつて小茎は茎崎の中心部だった。店がまちににぎわいをもたらし生活が便利になってくれれば」と話した。
店舗面積は約1100平方メートルで、調剤と医薬品のほか、日用品、精肉、冷凍食品、介護用品、ペット用品など、スーパーマーケットと見間違う充実した品揃え。朝9時の開店に合わせて多くの住民が入店し、飲料水などを箱買いする客で混雑し、レジの順番を待つ長蛇の列ができた。

出入り口に近い一角には無料で利用できるコミュニティスペースが設けられた。休憩したり、隣接するバスターミナルの待合所としても利用できる。
3人連れで買い物を楽しんでいた近くの城山団地に住む70代の女性らは「ここなら歩いても15分で来られて便利。オープンを待ちわびていた」と口をそろえた。ベビーカーを押していた近くに住む40代の女性は「いつでも離乳食が買えるのがうれしいし、子どもはすぐに熱を出すので薬局ができて安心」と語り、高齢男性は「店の立地が良く、バスを利用して買い物できるので助かる。欲を言えばお弁当コーナーが欲しい」と話した。

茎崎地区のスーパーは牛久市に隣接するマスダ茎崎店のみだった。2013年から同市の委託で食品スーパーのカスミが地区内各所で移動販売を行なっている。
誘致計画見直し経て
閉庁した旧茎崎庁舎は2016年に解体され、敷地約2700平方メートルは更地のまま活用方法が検討されてきた。跡地利活用について市は20年8月の住民説明会で、跡地に隣接する茎崎保健センターも同時に解体して一体化し、商業施設を誘致して商業施設内に公共施設を併設する案を示した。住民からは施設誘致に賛成する意見と、茎崎保健センターの存続を希望する声が上がった。
その後、市は方針を見直し、22年6月の住民説明会で茎崎保健センターを存続させ、庁舎跡地に食料品や日用品を販売する小売店を誘致する方向に変更した。同年9月に公募型プロポーザルの候補者選定委員会が開催され、ドラッグストア「ウエルシア」の開業を提案した大和ハウス工業茨城支社と土地賃貸契約を締結した。
一方、行政サービスの継続を求める住民の要望に応えて解体を免れた隣接の茎崎保健センターは、築40年以上経っていることから改修が決まっている。市市民部によると、改修後は会議室や多目的室を備えた地域コミュニティー施設として利活用する方針で設計が進められており、25年度中にリニューアルオープンを目指している。(橋立多美)
◆ウエルシアつくば小茎店はつくば市小茎288。営業時間は午前9時から深夜0時まで。無休。電話029-875-8483。