企業の経営者やセキュリティー対策担当者向けに、サイバー攻撃の最新の手口や対策を解説する「サイバーセキュリティ対策セミナー」が14日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開催された。関彰商事(本社筑西市、つくば市、関正樹社長)が主催し、会場とウェブから約200人が参加した。実際の事例を元にサイバー犯罪の実態と被害防止対策について学んだ。
関彰商事は昨年12月にも水戸市で同セミナーを開催し、今回で2回目となる。セミナーは3部制で、警察庁関東管区警察局、茨城県警本部、キヤノンマーケティングジャパンから講師を招いた。セミナーではランサムウェアへの対策を中心にセキュリティ意識の啓発が行われた。ランサムウェアは、端末に保存されたデータを使用できない状態にし、復元と引き換えに金銭を要求するソフトウェアや悪質なコードの総称で、近年サイバー犯罪の中で最も被害が多いという。
関東管区警察局はランサムウェアによるサイバー攻撃の実演を行い、加害者側のパソコンと被害者側のパソコン2画面を示して、被害者の1クリックからパソコンが遠隔操作され、情報が次々と盗まれる過程を解説した。
県警本部は、サプライチェーンへのサイバー攻撃の事例を挙げ「何の対策もせずにインターネットを使うのは雪山に薄着で行くようなもの」と話し、セキュリティー対策を常に最新の状態で更新、継続していくことや、被害に遭った時の対処法を社内で決めておくことなどの重要性を強調した。
キヤノンマーケティングジャパンは、実際に起こった被害の事例を挙げ、データのバックアップをオフラインで保存しておくことの必要性を話した。また、ウイルス感染の警告が表示されるなどマルウェアが実行された可能性があれば、すぐにネットワークを切断し、画面をカメラで撮影して警察に通報するといった具体的な対処法についても解説した。
水戸市での第1回開催では、参加者から「実際の画面を見るデモンストレーションを通じて、ハッカーの具体的な手口を知ることができたのは有意義だった」「フィッシング詐欺メールの文面が巧妙になってきていることを知り、それに対する従業員への啓蒙も今後さらに必要になると感じた」といった声が聞かれたという。
主催した関彰商事ビジネストランスフォーメーション部の小林進さんは「社内でも常に新しい情報を取り入れ、サイバーセキュリティー対策をしている。役立つ情報を提供できればと考えセミナーを開催した。今後も継続して開催していきたいと考えている」と話した。
2022年の1年間で、県警へのサイバー関連の問い合わせ件数は3789件あったという。情報処理推進機構(IPA、東京都文京区)によると、ランサムウェアによる被害は2018年頃から確認されている。被害件数が毎年増加しており、同機構が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」ではランサムウェアによる被害が4年連続1位となっている。政府は、2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティー月間」と定め、サイバーセキュリティーに対する取り組みを推進している。(田中めぐみ)