【コラム・森本信生】法政大学・市ケ谷キャンパスを中心とした学生で構成される環境系サークル「キャンパス・エコロジー・フォーラム(キャンエコ)」は2002年10月以来、毎月1回(コロナ禍による休止時期を除く)、宍塚の里山で活動しています。
キャンエコは、主に棚田班と里山班の2つで構成され、棚田班は千葉県鴨川市の大山千枚田で、里山班は宍塚の里山で活動しています。学内サークル満足度1位の人気サークルで、OB、OGは841人とのこと。東京から高い交通費を使って、月1回、30~40人のメンバーが参加しています(TXの回数券が廃止されたのが痛手ですが…)。
活動は多岐にわたっています。湿地保全のために過繁茂する柳の伐根や外来種の抜き取り、雑木林の林の下にも光が当たり里山独自の植物が育つための落ち葉かき、落ち葉のプールでのダイビング、水路の落ち葉かき、ブルーギルやブラックバスを駆除するための釣り。
そして、梅などの果樹の剪定(せんてい)、自然農の水田での田植えと収穫、フクロウの巣箱の設置、孟宗竹(モウソウチク)の切り倒し、切り出した竹を使ってのランタン作り、クリスマスや正月飾り作り、雑木を利用しての遊具作り、雑木を利用しての遊具作り。
さらに、「田んぼの学校」に参加した子どもたちとの木登りや、ブランコ、ハンモック遊び。竹と藁(わら)で造る秘密基地(お昼寝場所)建設、窯でピザを焼き、畑で芋を育て大学祭での販売、観察路の手入れやSNSを利用した道案内システムの構築。
こういった様々な活動を、私たちの会員と綿密な相談をして行っています。山の中の体力勝負の作業も、男女隔てなく頑張っています。
将来に役に立つ体験を提供
学生たちの一番の楽しみになっているのが「里山のごちそう」。宍塚でとれたお米や野菜、山菜、地元に古くから伝わる大豆「たのくろ豆」を原料にした味噌などを使った昼食を提供しています。私たちの会員による「つくし亭」のメンバーが、里山の現地で調理をしています。休憩場所は、明治14年(1881)築の古民家「百年亭」です。
人間環境学を専攻する学生たちは、授業で学ぶ環境と人間との関係を里山体験を通じて学べているようです。卒業後、里山で学んだことを生かした仕事に就いている学生もいます。学生たちの将来に役に立つ体験を提供できてうれしい限りです。
もちろん、彼らは里山保全作業の大きな力になっていますし、若い息吹に、(比較的歳をとった)会員たちは元気をもらっています。私たちの里山の近隣には、大きな大学がいくつかあります。近くの学生たちも、どんどん来てほしいと思っています。(宍塚の自然と歴史の会 会長)