金曜日, 1月 24, 2025
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自動運転バス実証実験開始 1日6便、筑波大を周回

筑波大学(つくば市天王台)で19日、自動運転バスの実証実験が始まった。30日まで平日の8日間、同大キャンパスの6つの停留所に停車し、一周約4キロのコースを1日当たり6便、時速20キロ未満で30分程度かけて走行する。

車体には、障害物を感知するセンサーや遠隔監視、物体や信号を検知するカメラ数台と、位置測定を行う衛星測位システムなどが搭載されている。現段階では、部分的な手動運転と自動運転の切り替えによって走る「レベル2」の小型バス(定員10人)による走行だが、2025年度までに運転手不在でも走行可能な「レベル4」で公道を走る大型の自動運転バスの実現を目指す。

同市は現在「つくばスーパーサイエンスシティ構想」のもと、先端的技術の社会実装に向けた取り組みを進めている。今回は「2024年問題」と言われるバス運転手の時間外労働の規制や、深刻なバス運転手不足による減便、高齢化など、同市が抱える公共交通問題を次世代の技術を用いて解決する狙いがある。

自動運転バスがつくば市内を走行するのは初めて。県内では境町が20年11月から路線バスとして運行を開始している。

筑波大での実証実験は、同大とつくば市、関東鉄道、KDDIなど8者による取り組み。初日の19日はキャンパス内のデモコース(天久保池前〜第一エリア前)約1.6キロを右回りで走行した。

自転車や歩行者が多く行き交い、死角が発生しやすいカスミ筑波大学店付近では、「路車間協調システム」を採用し、道路に設置した4Kカメラにより、広範囲の周辺道路の状況を即時に解析し、バスに提供することで危険を察知する。

運転席近くに設置された「路車間協調システム」

またプロジェクトの一環として、位置情報専用スマートフォンアプリ「つくロケ」を利用し、運賃を支払う動作なしに乗り降りできるシステムの実証実験も行われる。バス停と「つくロケ」アプリの両方によるブルートゥース信号の情報が組み合わさることで、乗客の位置や状態を把握し、乗降判定に役立てられる。

自動運転バスは、環境にやさしく電動のグリーンスローモビリティ車両を使用する。土日は運行しない。乗車料金は無料で、事前予約によりだれでも乗車可能。先着順により定員が空いていれば当日予約なしで乗車もできる。

自動運転バスについて説明する、つくば市顧問で、同大システム情報系の鈴木健嗣教授

同市顧問で、同大システム情報系の鈴木健嗣教授は、「つくロケ」アプリ運用に関して、「自分の現在位置に合わせて、人々を見守るシステム。人を中心としたデータ活用社会を実現させたい」と述べた。KDDI事業創造本部の松田慧さんは「スーパーサイエンスシティのつくば市で、新しいテクノロジーを掛け合わせて、実証実験に取り組むことに意義がある」と話した。(上田侑子)

◆自動運転バスの乗車予約はこちら

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文豪風入院日記①《遊民通信》105

【コラム・田口哲郎】 前略 急性胃腸炎にかかり入院しています。幸い軽症だったので痛みもおさまり、現在は退院に向けて体が回復するよう療養しています。体は比較的元気ですので、この原稿を書いているわけです。 体調をよくするためにひたすらに休むというのは、大学院生の私が暇だなあと思うほどにゆっくりできます。せっかくですから、この入院体験を夏目漱石や内田百閒風に書いてみようと思います。もちろん文豪ほどの腕はないのであくまで「風」です。 急性胃腸炎で入院 夜半に急に腹が痛み出し、苦しくてならず、水も受けつけなくなった。最近、茨城県は不要不急の救急車出動にはお金を取るらしいので、救急相談ダイヤルにかけたら、救急車を呼ぶほどでないが、脱水が起こっているからなるべく早く病院に行ったほうがよいと言われた。 体もだるくなってきたので、家人に送ってもらい、近くの病院に夜間急患ということで診てもらった。血液検査、尿検査、レントゲン、CTスキャンをした結果、急性胃腸炎、いわゆるおなかの風邪だと言われた。すぐにリンゲル液を点滴してくれたが、症状がみるみる良くなった。 これで帰れるだろうと思ったら、やさしそうな女医が「脱水ですし、余分な栄養分もおしっこに出てしまっているので心配です」と言う。そして、「入院しますか、それとも帰りますか」と聞くのだった。 今時の医療は、よっぽど危機迫る状況ではない限り患者に選択をさせるので、「まあ、大したことはないし、帰ってもいいですよ」と言われると期待していた私は、困ってしまった。このまま帰宅してもよさそうだが、また振り返しても家人に迷惑がかかる。しかし、入院とは大げさな気もするし。医者と看護師がじっと私を見下ろしている。私は入院することにした。 文明の利器に感動 そうと決まると、病室の話である。個室料金は4人部屋の4倍だという。それはそうだろうと、4人部屋を選んだ。夜中にすでに3人が入っている部屋に入れられ、私はとりあえずベッドに寝かされた。リンゲルで緩和したとはいえ、具合は良くなかったのだろう、すぐに眠りに落ちてしまった。 しかし、未明である。仕切りはあるものの、4人部屋の隣のベッドの病人のイビキで目が覚めた。中年男性だろう。地鳴りのような響き方から大柄と思われる。私はこの世のごう音と夢の世界の甘美な眠気に引き裂かれながらも、なんとか騒音から逃れたのだった。 看護師に検温に来たと呼びかけられて目が覚めた。気づくと胸とお腹には吸盤が貼られ、心拍数と心電図、酸素濃度を測るセントラルモニタなる携帯機器がつけられていた。これで私のバイタルは24時間監視されているのだ。 私は文明の利器に驚き感動した。こんなに安心なことがあるだろうか…。私は初めての入院に新鮮味を感じ、子供のように喜んでさえいた。しかし、入院生活は始まったばかりだったのである。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)