初公開も6点
2022年7月から大規模改修工事により休館していた土浦市立博物館(土浦市中央)が、6日再オープンする。空調施設の更新、照明のLED化のほか、災害時への対応として屋上に非常用発電機が、浸水対策として建物東側の開口部に止水板が取り付けられた。また多目的トイレを車椅子やオストメイト対応に改修し、ワイファイ設備の新設により県のフリーワイファイに接続できるようになった。
6日からは、記念企画として第44回特別展「土浦のたからもの―守り伝える、未来へ―」が開催される。展示されるのは江戸時代に土浦藩主を務めた土屋家伝来の絵画や刀剣をはじめ、初公開の収蔵資料6点を含む地域に由来のある約60点。開館以来、同館が36年間にわたり収集してきた宝物を披露する。
展示は3部で構成される。第1部「名品をあつめる」では、同館が調査・収集してきた土屋家ゆかりの品々を展示する。その中には水戸藩の9代藩主、主徳川斉昭の17男で、土屋家11代挙直が水戸から持参したと伝わる具足(甲冑)、土浦城の櫓(やぐら)に収められていた刀剣や茶器、絵画、幕末に大坂城代を務めた10代寅直が所要した獅子をあしらった印章がある。
第2部「光をあてる」では、同博物館がこれまで調査し展示公開する中で再発見することになった土浦に関する資料にスポットを当てる。県指定文化財の仏像彫刻や東城寺(市内東城寺)の経塚から出土した壺、武田信玄から小田氏に送られた朱印状、現在の牛久市に暮らした画家・小川芋銭の作品が展示される。
第3部「未来へつなぐ」では、収蔵品を次世代へ繋ぐために修復、修理を施した資料を展示するとともに、その技術を知らせる。江戸末期に土浦市内で塾を営んでいた地理学者の沼尻墨僊による、現存する国内最古の木版印刷した地球儀や、昭和初期に土浦幼稚園で所有されていたリードオルガンが展示される。
5日に同館で行われた再開館式典で挨拶に立った土浦市の安藤真理子市長は「郷土の歴史を守ることは先人を敬い地域を思うこと。私たちの宝を次世代に受け継いでいくことは私たちの使命。今後も貴重な資料の展示、収集を通じて土浦の宝を伝えていきたい」と述べた。同館の糸賀茂男館長は「土浦市立博物館は、国宝を展示できる県内3カ所ある『公開承認施設』の一つ。大きな時代の流れを実感できる市民の座標となりつつ、地域の特色を出していきたい」と今後の活動へ力を込めた。(柴田大輔)
8日まで入場無料
◆同特別展の会期は1月6日から3月17日まで。8日までの3日間は入場無料。通常の入館料は一般200円、障害者手帳所持者と介助者1人、高校生以下は無料。関連イベントとして▽1月8日(月・祝)正午から、江戸時代に土浦城櫓門で刻を告げるために打たれていた、修復された太鼓が実演される▽2月10日(土)午後1時30分と午後3時から、土浦幼稚園旧蔵リードオルガンが演奏される▽2月24日と3月17日の午前11時・午後2時からは学芸員による展示案内会が行われる。詳細は同館のホームページへ。