市民団体要望に県教育庁 9校でシミュレーションも
人口増が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、県教育庁高校教育改革推進室の増子靖啓室長は27日、2025年度以降のつくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総、牛久市の一部)の県立高校の学級数をどうするかについては、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期(24~26年度までの3年間)に反映させ位置付けるのではなく、「直近の志願状況などを見極めた上で(学級増を検討するなど)個別に対応したい」と述べるにとどまった。
一方、県は今年度、つくばエリアにある全日制県立高校9校(牛久栄進、筑波、竹園、つくばサイエンス、石下紫峰、水海道一、水海道二、守谷、伊奈高校)を対象に、①学級増をするとしたら現状で教室が足りるのか②教室がない場合、敷地内に増築するスペースはあるのか➂増築するとしたら概算でいくらかかるのかなどのシミュレーションを実施したことを明らかにした。結果については内部調査であることから公表する予定はないとしている。
つくばエリアや周辺では2023年度につくばサイエンス高の定員が2学級(80人)増、24年度は牛久栄進高が1学級(40人)増、筑波高に進学対応コースが新設されるなど、対応が始まっている。一方で土浦一高や水海道一高に中高一貫クラスが導入されたことから、つくば市の市立中学卒業者の県立高校受験は事実上、より厳しくなっている。
エリア間の入試格差解消を
市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が同日、森作宜民県教育長宛てに要望書を提出したのに対し、増子室長が回答した。要望書は、11月に同会が開いた教育フォーラム(11月12日付)で協議された意見などをもとに提出された。
要望書は、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期につくばエリアの実情を反映させ、つくばエリアの募集枠に対する全日制県立高校の定員(現在は47.5%)を県平均レベル(69.3%)まで引き上げることなど、県内エリア間の高校入試の募集枠の格差解消を求めた。具体的には県平均と同レベルにするには現状で15学級、7年後の2030年にはさらに10学級増が必要だと指摘し、竹園高校を2学級増やす、牛久栄進、土浦一、土浦二高の10学級化を目指す、つくばサイエンスに普通科を設置する、土浦一や水海道一など伝統校の県立中学の設置に伴う高校定員削減を止めることなどを要望した。
ほかに、学科を新設する場合は生徒や保護者にアンケートをとること、遠距離通学者への補助やスクールバス費用の軽減などを要望した。
要望書を受け取った県教育庁の増子室長は、県立高校改革プラン実施プランⅡ期について「つくば地域以外は中学校卒業者の数がどんどん減っており、実施プランⅡ期のメーンは(県北地域などの)小規模校への対応の検討になる」などと答えた。
同考える会の県要望は5回目、今年度は3回目の要望活動になる。(鈴木宏子)