25日 プレ・オープン
ドイツから帰国し、筑波山麓で暮らす元日本語教師の渋谷順子さん(65)が、自宅敷地内の母屋と納屋を地域に開放して子供たちを中心とした交流施設「じゅんばぁの家」(渋谷順子代表)を開設する。オープンデーとして25日、地元のお年寄りらが昔遊びを教えたり、ミニライブや楽器体験など盛りだくさんのイベントを開催する。
筑波山麓という自然環境の中で、いろいろな世代が助け合い、学び合いながら、家族のように過ごせる空間をつくり、子供たちを見守り育てたいと、渋谷さんと地域の有志が「山にかえろう」というコンセプトで運営する。来年1月4日から本格的な活動を開始し、将来は放課後児童クラブとして活動したい考えもある。
地元には、市が運営し地元の小学生たちが利用する「秀峰筑波児童クラブ」(つくば市北条)があるが、隣接の学校グラウンドが使用できず、子供たちは室内でゲームや読書などをして過ごしており、屋外で遊ぶことが難しい。
渋谷さんは元々、高齢者を中心とした交流施設をつくりたいと思っていたが、地域の子育て中の母親から、児童クラブの子供たちが外で思いっきり遊ぶことができないでいるという話を聞き、交流施設に児童クラブの役割も取り入れたいと考えた。
「じゅんばぁの家」は、もともと地元住民が居住していた築20年ほどの民家。老夫婦が亡くなった後10年間ほど空き家となっていた家を渋谷さんが購入した。近くには筑波山から流れる地蔵沢などもあり、自然豊かだ。
交流施設として、母屋の8畳間3部屋と台所を自由に利用できるようにする。敷地内にある納屋は音楽室とし、常時、ギター、ドラム、電子ピアノなどの楽器を置いて、子供たちが自由に演奏できるようにする。地域住民がボランティアで、子供たちと一緒に勉強したり、遊んだりして成長を見守っていく。
主宰する渋谷さんは神奈川県座間市出身。ドイツに16年間滞在し日本語教師を務めた。日本語を教えていた中、ドイツで知り合った移民のコソボ出身者から日本文化や日本人の素晴らしさについて聞かされたことがきっかけで、日本の自然豊かな地方に住みたいという気持ちが強くなっていたという。
2022年に帰国しつくばで暮らし始めた。帰国直後は同市谷田部、要の貸家などを移り住み、筑波山が間近に見える国松の民家を購入、現在、敷地内に新居を建築中で、元々あった母屋と納屋を交流施設として地域に開放する。
渋谷さんは「筑波山麓は本当に素晴らしいところで、お宝がたくさんある。地域的にも自然の息吹をこれほど感じ自然のサイクルや営みとともにあるのに、開発が進まない地域と思われているのが不思議でならない。私は筑波山に呼ばれてきたという思いがあり、地域に貢献したいという気持ちが強いので、購入した住宅をぜひとも、遊び場のない子供たちや自分探しをしている大人たちに開放したい」と述べる。(榎田智司)
◆「じゅんばぁの家」はつくば市国松1022-2。利用は会員制で会員登録が必要。年会費は個人2000円、1家族3000円。問い合わせは渋谷さん(メールjunko.shibuya@gmx.de、電話080-4713-3104。
◆オープンデーは12月25日(月)午前11時から午後3時まで。