日本洋裁協会会長で、つくば市で洋裁教室「アトリエ玲子」を主宰する伊賀玲子さん(68)が、21日から同市吾妻、県つくば美術館で作品展「第5回伊賀玲子 洋裁アトリエコレクション」を開催する。2020年に受章した黄綬褒章を記念し、独自の世界を衣服で表現する伊賀さんの作品が一堂に会する機会となる。伊賀さんの作品とともに、洋裁教室の受講生や、伊賀さんが教える県内三つの高校の生徒らによる作品計100点あまりも展示される。
伊賀さんは高い洋裁技術が評価され、18年に厚労省による「現代の名工」に選出されるなど、多数の受賞歴を誇る。昔からある技法をよりやりやすく、きれいに仕上げられるよう工夫を重ねた伊賀さん独自の技法は「伊賀流」と呼ばれている。洋裁の魅力を広く伝えるために、技法にこだわりながらも、見る人に喜びと驚きを与える作品作りに情熱を注いでいる。
輝く大小のビーズを黒字のドレスにあしらうことで、夜空をかける流星を表現し、シルク仕立てのドレスには、太さの異なる金色のロープを首元から足首にかけて縫い込んで、流れる雲のような柔らかい曲線を描く。

30代で、本格的に洋裁の道へ
伊賀さんがこの道に関心を持ったのは、洋裁が趣味の母親の影響だ。”初作品”は、小学生で手がけたバービー人形のドレス。当時の夢と憧れが、原動力となった。
これまでの作品で格別だったのは、3人の子どものために手がけたウエディング衣装。孫たちの習い事の発表会用の衣装を作るなど、家族への愛情を作品に込める。
子育てがひと段落した30代前半、当時、伊賀さんが住んでいた千葉県で洋裁教室を主催する千田芳江さんに師事し、以来、毎年コンクールに出品する中で腕を磨いてきた。1996年につくば市に転居し、自宅で洋裁教室を始めた。現在は週に3日、約30人が通い、生徒たちと洋裁の楽しさを追求している。15年間、伊賀さんの教室で学んできた田澤貴子さんは、伊賀さんの魅力を「新しい技術に果敢に取り組む探究心。先生のエネルギーに引き込まれています」と笑顔で語る。
洋裁を通じたコミュニティーづくり
人に洋裁を教える理由について伊賀さんは「洋裁を通じたコミュニティーをつくりたかった」と語る。教室の後で受講生らと語らうひとときも大きな楽しみ。高校の授業では、生徒の「恋バナ」にも乗りながら、元気な若者たちとの交流も何よりのエネルギー源となっている。
「洋服作りが好きな人が集まって、いろんな話ができると楽しいじゃないですか。さまざまな世代の方に楽しく洋裁に取り組んでもらいたい。出会いの広がるコミュニティーをこれからもつくっていけたら」と伊賀さん。(柴田大輔)
◆伊賀さんと教え子らによる作品展「第5回伊賀玲子 洋裁アトリエコレクション」は、11月21日(火)から26日(日)まで。会場はつくば市吾妻2-8、県つくば美術館。開館時間は午前9時半から午後5時まで。最終日は午後3時まで。入場無料。問い合わせは電話090-9803-3899かメールreiko0411@gmail.com(伊賀さん)へ。