金曜日, 12月 19, 2025
ホームつくば不登校とは何なのか 経験者5人が赤裸々に語り合う

不登校とは何なのか 経験者5人が赤裸々に語り合う

きっかけは?後悔してない?

不登校を体験した大人たちが、当時を振り返って語り合う座談会が先月21日、つくば市の桜総合体育館で開かれた。親や学校との摩擦、友人関係、死を意識した心境…つらい経験を時にユーモアを交え、聴衆からの質問にも答えつつ、語りかけた。不登校になった子に、大人はどう接するべきなのか。切実な語りに耳を傾けると、ヒントが見えてきた。

フリースクールや、行政の教育相談機関など不登校を支援する関係者が集うイベント「不登校・多様な学び つながる”縁”日」の一環。保護者やフリースクール運営スタッフのほか、不登校支援に関心を持つ市議も出席していた。主催団体の「不登校・多様な学びネットワーク茨城」は今月12日にも筑西市の県西生涯学習センターで同じタイトルのイベントを開催。フリースクールのブースを設け、悩み相談会も開く。

登壇したのはざっきー(20代男性、NPO支援組織職員)、しーちゃん(30代女性、シンガーソングライター)、にっちー(20代男性、大学生でフリースクール職員)、まこちゃん(30代女性、精神保健福祉士)、まりりん(30代女性、フリースクール運営)の5人(いずれも仮名)。内容の一部を紹介する。

―いつから不登校に?当時の心境は?

ざっきー 中2まではまじめでいい子。生徒会役員もやっていました。中3の始業式の日、熱が出て2週間体が動かなくなってしまった。「学校がイヤだから行きたくない」ってわけじゃない。今も学校に対してそんなに悪い印象はない。

にっちー 中3の時。はっきり覚えていないんだけど、人に会うのが怖くなった。頑張って学校に行ったときはしょうゆを携行して飲んでいた。体調不良を理由に早退できると思っていたので。ネットで知り合った不登校の友人と、学校に通う「リア充」とみなして敵意をツイッターでつぶやき合っていました。

しーちゃん 「リア充」への違和感、分かります。みんなが盛り上がっている話題だと、大して面白くないけど空気を読んで笑う。なかなか本当の自分が出せず、小6で一時不登校に。学校は戦いに行く場所でした。

まりりん 中1の冬から。家で寝て、テレビ見てゲームをして現実逃避していた。自分と関係ないところで時間が進んでいく感覚で、当時のことはあまり覚えていない。(学校には)スクールカーストがあった。明るく楽しくしていい人もいるけれど、私ははしゃいじゃいけない人、みたいな空気を感じて息苦しかった。

まこちゃん 小学2年生から。保育園や幼稚園に行っておらず、幼い頃は心の病気を患っていた母とずっと一緒に生活。就学前健診で初めて同年齢の子と出会った。女の子同士の遊びに入りたくても、遊び方がまるでわからない。周囲に合わせて「アルプス一万尺」を覚えたころには、もうポケモンがはやり出す。頑張ってもついていけない私はランクが下。上手に友だちづきあいできる同級生は手が届かない、「セレブ」のような遠い存在だった。

イベント会場の正面玄関では、カラフルな手書きのチラシが来場者の目を引いていた

―不登校の子と、そうでない子の違いは?

司会者 私は学校行っていたけど、人に合わせたり、つまらないと感じたりした時はあった。不登校の子との違いってなんでしょうか?

まりりん しんどいけど学校行ってた人は「いい子」。いい意味でも、悪い意味でも我慢することに慣れることができていたんだと思う。

しーちゃん 頑張りすぎて学校に行ってコップから水があふれたタイミングがたまたま小6だった。中学生や社会人になってそういう風になった可能性はあると思う。

ざっきー 同じですね。たまたまコップの水があふれた時期が学生のときだった。

にっちー 僕も同じ。いまだに、どうして不登校になったのかよくわからない。

まこちゃん 最初は頭痛から、そして全身に体調不良が広がっていった。それで親とも相談して病院にも行って「行かない」という選択をした。

不登校を経験した男性―学校に行かないで後悔したことは?

ざっきー 地元のつながりが消えてしまい、寂しい面もある。でも大学生の友達と昔話はするので、虚無感はない。

にっちー 文化祭に行きたくなくてトイレにこもっていた人なので、中学・高校の友達はほぼゼロ。でもゲームを通じて友達と交流できたし、大学で楽しいこともあった。人間関係が苦手になったという後遺症はあるけど、後悔はあまりない。

まこちゃん 小学生の学習支援をしていて、子どもたちに「二桁の割り算ができないの?」と驚かれた。小2から不登校で、小5でかけ算を覚え、その後で割り算に取り組んだ。先日、4歳の息子の保育園の運動会に行って、こんなに楽しいものなんだと気づいた。「学校に行っておけば良かった」と思う気持ちはゼロではない。子どもの時、学校に行かなくても、大人になって体験できることもある。でも、割り算は捨ててますけど(笑)。

まりりん 大学生のころ、同級生との会話で修学旅行の話題は避けていた時期があった。後悔していないが、親になってみると、自分のように家に引きこもるのはもったいないと思う。大学に入って最初は人と話せず、友人との距離感がなかなかつかめずに失敗を重ねた。そういう人間関係の失敗は早めにした方がいいと思っている。

しーちゃん 不登校の子の知り合いは多いが、「後悔している」という声はあまり聞かない。自分は臆病なので、片足突っ込んだぐらいで不登校の期間が終わった。今では、ちゃんと自分に向き合って不登校しておけば良かったと後悔している。

次ページに続く「親はどう受け止めればいいの?」

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

日本ハムに1位指名の大川投手 母校・常総学院に凱旋

今年度のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズに1位指名された大川慈英投手(22歳、明治大学4年)が18日、母校の常総学院高校(土浦市中村西根)で開かれた凱旋歓迎会に出席、「こういう形で戻って来られてうれしい。ここまで来れたのはチームメートや指導者などいろんな方々のおかげ。しっかり結果を出して恩返ししたい」と話し、野球部の後輩に対しては「大事なことは甲子園。優勝して島田直也監督を日本一の男にしてほしい」と発破をかけた。 凱旋歓迎会で同学園の大久保政行理事長は「入団契約は大川君の努力と才能が生んだ結果。ご両親や家族、応援してくれた皆さんらに感謝を忘れず、厳しいプロの世界で活躍し、後輩やわれわれに夢と希望を与えてくれる選手になってほしい」と述べた。 続いて中学校高校生徒会が花束を贈呈。高校生徒会長の中島サラ萌奈さん(2年)は、「自分たちの学校からこのような素晴らしい先輩が出たのはすごいこと。これからも大変なことはいっぱいあると思うが、私たちが応援しているので頑張ってほしい」と思いを述べた。 大川選手と生徒会メンバーは一問一答のインタビューやサイン会で交流。その後、後輩の野球部員と記念撮影し、またグラウンドでも交流した。 大川選手は神奈川県出身。2019年に常総学院高に入学し、野球部では20年秋から公式戦に出場。同年秋の関東大会で準優勝し、21年春の甲子園選抜大会に出場。初戦の敦賀気比戦では8回から登板し、延長13回まで6イニングを投げ、被安打4、4奪三振、自責点0で勝利投手となった。 明治大では最速155キロのストレートを武器とする救援投手として活躍。日本ハムの新庄剛志監督らにも、そのストレートのクオリティが評価された。 「球筋は高校生のときから並外れていた。低めで全部勝負できる制球力があり、球速も当時145キロ出ていて、そこから大学でしっかり10キロアップした。でもプロは球速だけじゃない。制球力に磨きをかけ、場面場面を考えた投球でチーム内で信頼を勝ち取ってくれれば」と島田監督の評。 2020年から常総学院高で采配を振るう島田監督は、大川選手について「自分が監督になって初めての教え子。その彼がプロになったのは感慨深い」と感想を述べ、また彼が、奇しくも自身と同じ日本ハムでプロのキャリアをスタートすることに関しては「自分のときよりレベルも上がっているし、いい投手が回りにたくさんいる。ここからは勝ち取っていかないと。彼ならできる」とエールを送った。(池田充雄)

留学生の授業料値上げへ 筑波大 27年度入学から

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は18日の定例会見で、留学生の授業料を2027年度入学から値上げすると発表した。国立大学は日本人学生か留学生かで授業料に差はなかった。差を付けるのは同大で初めて。国内では東北大学などが留学生の授業料値上げを発表している。 筑波大の値上げ額は大学生、大学院生いずれも年間7万3000円で14%の引き上げとなる。同大の授業料は大学生、大学院生いずれも同額の年間53万5800円で、文科省が定める標準額と同じ。値上げ後の留学生の授業料は60万8800円になる。研究生や科目履修生などの値上げ額は3万6000円。2026年度までに入学した留学生の授業料は現行のまま。 一方、今回の値上げ額は現段階で、留学生の教育・生活環境の充実に必要な最低限の金額だとし、今後も留学生数や物価動向など状況に応じて見直しを行うとする。 留学生を より受け入れるため 値上げの目的について同大は、優秀な留学生の獲得競争が世界的に激化する中、留学生の教育・生活環境をさらに充実させて、優秀な留学生を確保するための値上げだと強調する。 値上げによる増収分はすべて、留学生の教育・生活環境をさらに充実させるために充当し、①各種支援体制の充実②多様な留学生に対応した教育・相談体制の充実③個々の進路に応じたキャリア支援体制拡充④英語コースの拡充ーなどに充てるとする。 同大の留学生数は約2500人。毎年800人程度の留学生が入学し、値上げ初年度の27年度の増収は約5840万円になる。留学生全員の授業料が引き上げられた場合の増収は約1億8250万円。 国立大の授業料は文科省の省令に基づき、標準額の2割増しまでが上限と定められている。一方留学生の授業料については、国の教育未来創造会議の提言を受けて、文科省が2024年4月の省令改正で上限を撤廃した。筑波大では1年近く前から留学生の授業料について議論を重ねてきたという。 永田学長は「かなり検討を重ねて、学習環境の充実のための積算をして、丁寧に説明をしながら学内のコンセンサスをとって今日に至っている」とし「留学生が増加するという前提でやっている。それなりの受益を受けている方々なのでご理解いただきたい」と述べ、加藤光保プロボストは「留学生を、より受け入れる方向で考えている。留学生に特化した学習環境の改善のために行う」としている。(鈴木宏子)

老舗のパン屋さん「ピーターパン」《ご飯は世界を救う》70

【コラム・川浪せつ子】つくば市には多くのパン屋さんがあります。何十年も前から海外の方々が多くお住まいだったからのようです。つまり、パン食の方が多くて―ですね。そのため、つくば市は「パンの街」とも呼ばれています。 その中でも一番の老舗のお店、「ピーターパン」さん(つくば市並木)。合併してつくば市ができる前の1979年、旧桜村に開業したそうです。なんと、開店から46年にもなります。店主さんは高齢にもかかわらず、街の皆さんの胃袋と心を癒し続けていらっしゃるわけです。 現在は並木に1軒のみ。以前、吾妻にもありましたが、数年前に労働力不足のため閉店しています。ですが、TXつくば駅(地下1階)改札口近くにある「つくば良い品」でも販売されています。TXで都内から帰るとき、必ず買っています。 並木店は我が家から少し距離があり、このところご無沙汰でした。それが、最近、はまっています。きっかけは、SNSのXの投稿を見てからです。2年前、地域の事柄を知りたくて、アカウントを作りました。そこで「ピーターパン」にはイートインもあることを知り、通うようになりました。 10円でコーヒーも飲めます パンの購入だけでなく、「イートインします」と、レジ横の紙コップを差し出すと、10円でコーヒーを飲めます。これって、今風にいうと「神価格」ですよね。「物価高の中、大丈夫なのだろうか」と心配になります。 先日イートインしたとき、1冊の写真集を見つけました。いろいろな小物を飾っている棚に、見たことがある男性の写真集が…。朝ドラ「あんぱん」の主役やなせたかしさんの弟を好演した方でした。茨城県出身とのこと。並木近くに住み、ここに通っていた? Xですが、いろいろ役立っています。私は、つくば市周辺の「絵」になる場所、飲食店を探していますが、情報収集に大いに役立っています。使い方によって、SNSは良くない方に行くこともあるようですが、Instagram(インスタグラム)では世界中の画家さんの絵を見ることができ、大いに参考になります。 そういった絵から刺激ももらい、私の絵も見てもらうことで、やる気が倍増しています。Instagramには同じ志の方の絵がアップされています。いろいろな方と絵の仲間になり、グループ展を見に行くのも楽しみです。(イラストレーター)

市長自白の条例違反が15年‼ その顛末てんまつ つくば市保健センター《投稿》

【投稿・鳥居徹夫】今年9月の定例市議会で、つくば市保健センター条例から茎崎保健センターの記載が削除され、つくば市地域交流センター条例に「茎崎交流センター別館」を新たに加える議案が同時提出され、審議もなく全会一致で決定となった。 「広報つくば」12月号によると、17日に「茎崎保健センターが新しく生まれ変わり、茎崎交流センター別館としてオープンします」と広報されている。 場所は「茎崎保健センター」があった建物だが、条例に定められていたはずの保健センターの機能は15年前からなく、条例にあった「茎崎保健センター」の字句も、建物の名称も、ついに消滅した。 既存施設の代替を理由に、15年続いた条例違反の異常事態が解消され、つくば市長や市幹部にとっては「のどに突っかかった小骨」が取れてほっとしていることであろう。 市長は条例違反を知っていた 2023年10月14日のタウンミーティングで私は、「つくば市保健センター条例が守られていない状況というのは、やっぱり改善してほしい」と発言した。五十嵐立青市長は「ご指摘の部分はおっしゃる通りの状況で…」と条例違反を自白した。 しかし市長は「建物は存続するが、機能は廃止する」と強弁。条例違反を追認したばかりか、逆に(条例違反の)現実に条例を合わせ、保健センター条例を改悪すると居直ったが、今日まで条例に手が付けられなかった。(2024年4月4日付) 市保健センター条例には、第2条に「名称および位置」として茎崎保健センターなど4カ所が明記されていた。第4条に「業務」として(1)検診等(2)健康相談や健康教育(3)保健指導、栄養指導(4)機能回復訓練(5)衛生知識の普及等ーを明記、第5条で、各保健センターに「必要な職員を置く」となっている。 「茎崎保健センター」では、第4条(1)の検診等は春と秋の2回、茎崎保健センターの建物を使っていたが、貸し会議室のような存在。検診の結果が出ると谷田部保健センターから保健師が来て、会場を借りて、相談希望者に対応している。さらに常駐の保健師がいないので、第4条 (2)(3)(4)(5)は有名無実。また第5条に定める必要な職員は不在だった。 茎崎保健センターから責任者(センター長)と保健師が不在となったのが2010年であり、条例違反が15年も続いていた。 この経過を「NEWSつくば」に投稿したところ、多くのコメントを頂いた。「頼れる福祉」ではなく「頼りにならない市長だった」としたツッコミには、思わず噴き出した。現市長の「公約ロードマップ(工程表)」の5本の柱の3番目が「頼れる福祉」だが、それを皮肉ったコメントであった。 その場しのぎの市幹部、問われる議会のチェック機能 何度も言うが、条例違反の状況は、2010年から15年間も続いていた。「意図的な長期間の違反放置」が、住民や市議会議員が条例空文化に疑問を持たせないための行政側による仕掛けとなってはならないことは言うまでもない。 「茎崎保健センター」から保健師等が不在となり、利活用を検討した当時の担当が公有地利活用推進課だったことは、市が保健センター条例違反を追認していたことになる。仮に「利用者が少ない」としても、条例違反を常態化して良いことにはならない。 その当時、市議会の本会議で、茎崎保健センターの解体問題が取り上げられた。五十嵐市長は「(保健センターとしての)相談件数が減っている」と強弁したが、橋本佳子議員(当時)が「保健師が撤退したから、相談件数が減るのは当然」と反論した。 地域にドラッグストアがあれば、住民は利用するが、ドラッグストアがなければ、住民は利用しない。そもそも利用できない。そして市街地がさびれるという悪循環となる。 しかし、今年9月議会では、市長を追及した会派も含め全会一致で、「茎崎保健センター」の名称削除を決定し、保健センター機能の復活の芽が摘まれることとなった。 ちょうど5年前の2020年に、茎崎庁舎跡地利用に関する住民説明会があった。市から「保健センターの建物を解体し、その跡地を商業施設の用地にする」の提案があり紛糾した。 住民から「保健センターの機能は蒸発するのか」(保健部が担当)、「解体工事中の茎崎窓口センターは、どうなるのか」(市民部が担当)などの質問に対し、都市計画部(公有地利活用推進課)から責任ある答弁がされず、さらに「行政のタテ割りの弊害が問題ではないか」と批判された。 この住民説明会には、事前に内容を知っていると思われていた複数の現職の市議会議員までもが疑問に感じたのか発言があり、意見を述べた。 当時担当課は「40歳以上の集団健診については最悪、谷田部保健センターになる可能性もある」などと説明したが、とうてい納得できるものではなかった。 茎崎保健センターの建物が、都市計画部公有地利活用推進課の担当となったことで、当時の茎崎庁舎の跡地利用問題に対し、商業施設誘致と保健センターの建物と、どちらかを選択せよという誤ったメッセージを、茎崎地区の区長会、住民に与えることになったことになったのではないか(2020年8月7日付)。  結局、茎崎保健センターの建物は、解体は阻止され、現在地でリニューアルとなり、この12月に茎崎交流センター別館としてオープンとなる。また集団検診の会場として利用することにもなった。 そして新たな商業施設は、当初の計画より規模を縮小し、昨年2023年に車の通行量の多い県道沿いにオープンした。 だれも責任をとらないまま これら一連の動きの中で、茎崎保健センターは、保健師の配置等、条例違反だったという問題はだれも責任をとらないままであった。 この条例違反は、いまの市長就任前からであるが、現市長には再発防止も含めた説明責任がある。とくに①条例違反になったことを知ったのはいつか、②条例違反を知っていたのに、条例を守らず、現状を放任していたのはなぜか、など説明する義務がある。また市議会こそ追及すべきであった。 条例違反を既成事実化し、既成事実をもとに条例改悪を押し付けた市長と市幹部。条例があるのに勝手に無視し、長期に役割を放棄してきた不都合な真実がばれた。ばれなかったら、表沙汰にならなかった。 役所の密室の中で、住民が知らないうちに、いや、知らせないお上(おかみ)体質の中で、住民は口出しするな、批判するなということではないか。 条例違反を15年続けていながら、だれも責任をとらないまま、ある日、交流センター別館に代わるのであった。とりわけ市議会のチェック機能、市民への情報公開の意欲が欠如していると感ずる。 地方政治に関心が高まる流れも 「地方自治は民主主義の学校」と言うが、多くの一般住民は地方行政や住民サービス、納めた住民税の使われ方についての関心が薄い。市長の名前も知らない有権者も相当数であろうし、市行政への提言要望やチェック機能を担う市議会議員も存在感が薄い。 つくば市は、首都圏の通勤圏内にあるTX沿線で若い世代を中心に人口が増加、子供の人口も増えて、学校の新設が相次いでいる。一方、周辺部は高齢化が進み、子供の数が減り人口減少が進んでいる。 いま市内の保健センターは、子供の多い地区など3カ所のみの配置となり、高齢化が進む市内周辺地域には存在しない。 地方政治には国政ほど関心がないし、国政選挙と重ならない地方選挙では、投票率が3割を切るケースも出ている。 ところが昨今、国政では大きな変化がみられる。投票率でみると、昨年の衆議院選挙(53.9%)よりも、今年の参議院選挙(58.5%)の方が高いという逆転現象がみられた。参議院選挙は身近でないと思われ関心も薄く、今年は7月の3連休の真ん中の日曜日であった。 いま18歳選挙権の定着もあって、若い世代が投票に行くようになった。6年前の参議院選挙(48.8%)と比べると、投票率が10%も増えている。ここ数年の国政選挙の投票率の上昇局面は、若者ら有権者の関心の高まりがあり、ニューメディア・オールドメディアを問わず、政治や行政が大きく取り上げられている。 地方自治への無関心は、地域住民の生活や福祉の停滞に、深くかかわってくる。自治体の政治や行政に、国政と同様に関心を強めることは当然である。 この国政への関心の高まりは、地方政治・行政にも押し寄せるのではないだろうか。「世界のつくば」の中身が問われてくる。 (政治労働問題研究者・認定コメンテーター)