「68億円の財産、無償譲渡は理解しがたい」
県議会の第2回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が30日開かれた。県立の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針に対し、いばらき自民党のベテラン県議3氏から「68億円の財産(洞峰公園の資産価値)を不交付団体のつくば市に無償で譲渡するのは疑問だ」などの意見が相次ぎ、県の方針を了承するには至らず、次回も審査を継続することになった。
この日審査を実施した、民間譲渡などが検討されている県や県出資団体の施設7カ所のうち、審査継続となったのは洞峰公園と鹿島セントラルホテル(神栖市)の2カ所のみ。5施設については県の方針を了解した。
洞峰公園の無償譲渡についてベテラン県議からは「突然、無償譲渡の話になって唐突感がある。県県有財産の交換・譲与・無償貸付けに関する条例の取り扱い基準では、公園の譲渡は特例扱いなのだから、それだけ慎重にやってほしかった。これまで県有財産を無償で市町村に譲渡した例もあり有償の例もあり、分かりにくい。ルール作りをしなくてはいけないし、今後我々も提案していきたい。今回足りないのは、県と市との話し合い、県民への説明、議会への説明が足りない。不交付団体のつくば市にただでいいということに対する疑問の声もある。無償貸し付けなどいろいろ可能性はある」(森田悦男県議)などの意見が出た。
ほかに「県の財政は厳しいのに、68億円の県の財産を無償で譲渡するのはもったいないという県民感情があるということを頭に置いてほしい。つくば市は、グットマンジャパンが市開発公社の土地を110億円で購入するなど、そういう地域。そういうところに無償で提供するのはいかがなものかと県民の1人として感じる。県民の財産ということをもっと真剣に考えてほしい」(飯塚秋男県議)
委員以外からも「雑で荒っぽい進め方をしてきた。(知事は)最初はグランピングを言い、無償譲渡を言い出した。なぜ相矛盾することを言ったのか、いまだに分からない。思い付きと受け取らざるを得ない。地方自治法では条例や議会の議決に依らない限り、公有財産は正当な対価で渡すことになっている。つくば市は不交付団体。なぜ無償で渡すのか理解しがたい。一旦白紙にして、じっくり取り組むべき」(常井洋治県議)などの意見が出された。
ほかに江尻加那県議(共産)と星田弘司県議(自民)から、無償譲渡に伴うパークPFI事業者との契約解除問題や体育館・プールなどの大規模修繕問題について質問が出て、県都市整備課は「パークPFI事業者とは協定を結んでおり、つくば市に移管されれば協定を解除する。今までの検討に要した経費は(県が事業者に)支払い清算するが、損害賠償とか(契約期間10年間で実施する予定だった事業の)機会の損失の話はしてない」とした。つくば市に引き渡す前に県が実施する施設や設備の不具合箇所の修繕については「県、つくば市、指定管理者と合同点検をして、さらに専門業者を入れて調査の精度を高め、これから壊れる不安がないよう4000~5000万円の間で(県が)修理をする。当面、大きな修繕が必要になるものは今後出てこないと思っている」などと話した。
次回の調査特別委は9月25日開かれ、洞峰公園の無償譲渡と鹿島セントラルホテルの民間譲渡問題について引き続き審議が行われる。(鈴木宏子)