つくば市栗原の桜川沿いの広場に10日、市立栗原小学校(同市栗原)4年生児童59人が集まり、フナの稚魚40キロを放流した。桜川漁協(鈴木清次組合長)が種苗放流事業の一環として毎年行っている放流体験学習で、今年は同市内の栗原、栄、大曽根の3小学校と秀峰筑波義務教育学校を対象に各校40キロ、計160キロのフナの稚魚を放流する。
児童らはそれぞれのバケツに稚魚を入れて桜川に入ると、「冷たい」「気持ちいい」などと言いながら並び、鈴木組合長のかけ声に合わせて一斉に放流した。稚魚は群れになって泳いでいき、「かわいい」「元気だな」と声を上げながら見送るとしばらくフナを観察していた。
鈴木組合長は「フナは1匹だと小さく見える。川に入るとカワウやアメリカナマズ、ブラックバスなどたくさんの天敵がいるので群れになって泳いで大きく見せる。上から見ると黒い保護色になっており、下から見るとおなかは白いので空の色と同じに見える」とフナの生態や特徴について説明した。
また、「昔は川がプール代わり。今はプールがあるから幸せだよね。川にも遊びに来てほしいが、危険もあるので必ず大人と一緒に来てください。桜川にはたくさんごみがある。ごみを掃除し、下水も処理して水をきれいにしたい。逆水門(常陸川水門)を作ってからシジミが全くいなくなった。昔の桜川に戻したい」などと話した。児童らは真剣に聞き入っていた。
投網の技に児童ら歓声
放流体験の後は魚の漢字クイズが行われ、「鮒」や「鮎」「鯰」などの漢字のパネルが出されると、児童らは手を挙げて楽しそうに答えていた。クイズが終わると、新潟県出身で投網歴50年以上の組合員、佐藤孝男さん(73)が広場でしゃがむ児童らの頭上に投網を打ち、投網の技を見せた。網に捕まえられた児童らは歓声を上げていた。
児童からは「フナは何を食べますか」「桜川にはフナのほかにどんな魚がいますか」などの質問が上がり、組合員らが一つひとつ丁寧に答えていた。
瀧原奏(かなで)さん(10)は「楽しかった。組合長さんのお話を聞いて川にゴミがたくさんあると知った。自分たちが桜川を守らなければと思う」と話した。近野碧音(あおと)さん(9)は「川や魚が好き。いろんな生き物を増やせるようこれから桜川をきれいにしたい」と語った。
アユとオイカワの姿も
この日、稚魚を放流したのと同じ時間、同じ場所で投網を打つ組合員がおり、アユとオイカワがかかった。オイカワは天ぷらにするとよいという。かかったアユを見て、組合員らは「昔はもっとたくさんのアユやシジミが捕れた」と思い出を語った。漁協組合員らは放流学習を通じて未来を次世代に託し、かつての桜川を取り戻すことを願っている。(田中めぐみ)
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