物質・材料研究機構(本部・つくば市千現)は16日、機構の室長職にあった元職員(死亡により退職)が、2015年度から21年度までの7年間、計69回にわたって架空の業者に不正発注を繰り返し、約2700万円を私的に受け取っていたことが分かったとして、元職員を懲戒解雇相当と認定したなどと発表した。
発表によると元職員は、実態のない架空の個人事業主を機構の取引業者として登録し、役務などを繰り返し発注したとされる。実際には、元職員が自ら役務などを行い、納品していた。調達部門の承認手続きが必要ない50万円未満の少額契約や、競争性が無く入札に適さない調達や謝金などが対象の経費申請という手法で、発注を装っていた。
昨年12月、同機構に「元職員が架空業者に発注している疑いがある」などの情報提供があり、発覚した。機構は内部調査を進め、不正を認定したとしている。
同機構は、元職員に対し退職金を全額不支給とする処分を実施したほか、管理監督責任として元職員の当時の上司を厳重注意処分とした。併せて元職員の不正行為で生じた損害額について返還請求を行うとしている。
元職員の年齢、性別、死因、死亡年などは、個人の特定につながるなどから非公表という。
再発防止策として同機構は、少額契約の役務についても受注業者に対し、業務完了時に詳細な作業内容報告書の提出を義務付けたり、個人事業主の新規登録にあたっては事業実態の確認を徹底したり、同一業者に繰り返し発注を行う職員などにヒヤリングやモニタリングを実施などするとしている。
機能の宝野和博理事長は「元職員が在職中に行った不正行為は、機構職員としてあるまじき行為で、決して許されない。国立研究開発法人としての信頼を失墜させ、誠に遺憾。国民に深くお詫びし、今回の事態を真摯に重く受け止め、不正行員の防止策を強化し、職員のコンプライアンス遵守の徹底を図ります」などとするコメントを発表した。