【コラム・山口京子】父が亡くなり半年が経ちました。母と私たち三姉妹の4人が相続人となります。民法の法定相続分では、母が2分の1、3人の子どもがそれぞれ6分の1となります。90歳になる母は「面倒なことはいやだ、お前にまかせる」と言います。妹たちも「お姉ちゃんにお願いする」ということで、父の財産は私が相続することになりました。
遺産分割協議書を作成し、必要な書類を持って地元の司法書士の先生に手続きを依頼しました。それにあたり、不動産に関しては市役所で「土地評価証明書」をとります。そこには、実家の家と土地の他に田んぼや畑が記載され、その土地の所在地、地目、地積、評価額が出ています。司法書士から、この評価額は固定資産税評価額で、この額を相続税評価額に引き直すとこれくらいだよと教えてもらいました。
相続税の評価額は、田や畑の固定資産税評価額に倍率をかけて出します。倍率は所在地によって異なりますので、倍率表を見せてもらうと、「固定資産税評価額に乗ずる倍率等」で、該当する田や畑は約6倍となっていました。
相続税を計算するに当たり、相続税の基礎控除額のこと、相続財産になるものについての詳しい説明をしていただきました。相続人が4人の場合の相続税の基礎控除額は、5400万円(3000万円+600万円×法定相続人の数)です。その金額以下なら相続税はかかりません。わが家は相続税については手続きはいらないことが分かりました。
「相続土地国庫帰属法」のこと
農地の相続は農業委員会への申請が必要なため、その手続きを頼む際、田や畑は近所の農家に委託し耕作してもらっていることを伝えました。その農家さんにいつまで耕作してもらえるのかは分かりません。返されることを考えて、「相続土地国庫帰属法」のことを調べました。
相続した土地を国に引き取ってもらう制度ですが、土地の所在地や地目により管理料が異なります。原則の管理料は20万円ですが、例外に該当する田畑などを引き取ってもらう場合、10年分程度の管理料を納めることになります。管理料の額は面積により変わり、計算すると結構な額となりました。
収穫したお米を受け取っていますが、土地改良区や固定資産税の支払いなどを含めると持ち出しになっているのが現状です。それでも荒らすことを考えたら、委託している農家さんにずっと耕作してもらえるのがありがたいことだと。たくさんの農産物を輸入に頼りながら、自国の田畑は荒れていくというのは、どういうことなのでしょうか。(消費生活アドバイザー)