台風2号の影響による増水警戒中の桜川で2日、大量酸欠死したハクレン死魚の一部が、土浦市銭亀橋に設置してあったオイルフェンスをすり抜けて下流に向かい、相当数が霞ケ浦に達する事態になった。
つくば市玉取の田土部堰(たどべぜき)の下流で、酸欠によるハクレンの大量死が見つかったのが先月24日、桜川を管理する県土浦土木事務所(土浦市中高津)が堰付近の桜橋にオイルフェンスを張り、26日から死魚の回収に乗りだしていた(5月27日付)。
オイルフェンスはさらに下流の銭亀橋(土浦市大町地先)にも設置され、同事務所河川整備課によれば、1日までに約1万尾を回収した。ドローンなどによるパトロールの結果、1日午後5時時点で、田戸部堰下流から銭亀橋までの区間で、死魚が集中している箇所の回収は概ね完了したとの認識だったという。点在する全ての死魚を回収するのは困難であり、2日朝の時点で、回収しきれなかった一部の死魚が銭亀橋のオイルフェンスにかかっていたとしている。
ところが台風2号の影響で雨足の強まった2日昼ごろから、流下してきた死魚が次々にフェンスを越え始めた。銭亀橋のフェンスは合成繊維織布に塩化ビニールを被覆したもので、全長80メートル(20メートルのものを4本接続)、高さは水面上で30センチ、水面下で40センチ程度ある。
水位があがると、ハクレン死魚はフェンス上部にある隙間をすり抜けるように流下していく。川岸の水の淀みに群れで滞留する死魚もあり、あたりに臭気を漂わせたが、河川敷が水没するにつれ、これらの個体も流されていった。目測で100匹以上は流下した。
同事務所は、台風等の出水時に河川内で作業することは危険かつ困難であるとして、様子見の状況。天候が回復し河川の水位低下を待ってから、オイルフェンスが外れているようであれば、張り直しを行う。追加設置は考えていないという。
死魚が霞ケ浦まで流されると管理は国交省に移り、対応は国の判断に任されることになる。
同事務所では、「今回のハクレン大量死は、急激な河川水位低下による酸欠死と推察されることから、水門や堰の管理者に対し、水門付近の水位に急激な変動が生じないような水門操作を行っていただけるようお願いしていく」としている。(相澤冬樹)