つくば市千現のつくば研究支援センター内に1日、「いばらきスペースサポートセンター」が開所した。宇宙ビジネスの活動拠点として、茨城県が専任コーディネーターを常時配置し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や企業と連携した展開を図る。
コーディネーター2人が常駐
県内の特に中小・ベンチャー企業の宇宙産業への挑戦意欲を高め、新規参入や取引機会の拡大を図るのがねらい。県は1日付で、専任コーディネーター2人を配置、宇宙ビジネスに関する企業からの相談にワンストップで対応する常設の拠点として、県内企業による新製品開発や受注拡大、県外宇宙ベンチャーによる県内企業との連携等を支援する。
県は2018年に「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げ、宇宙ベンチャーの創出・誘致や宇宙ビジネスへの新規参入を目指し、支援体制の構築を進めてきた。さらに「いばらき宇宙ビジネス創造コンソーシアム」で宇宙ビジネスに挑戦する企業の事業化推進にも取り組み、昨年にはJAXAでの勤務経験を持つ黒田信介さん(66)が専任コーディネーターとなり活動を強化させた。
その成果を踏まえ、今回黒田さんに加え、ひたちなか地区などで中小企業支援のための産業活性化コーディネーターを務めてきた鈴木貞明さん(68)との2人の陣容で、研究支援センター1階に常駐体制を組んだ。宇宙産業とのつながりや専門知識を生かし、技術開発のノウハウやニーズについて助言する。必要に応じて開発商品の販路開拓も支援。JAXAや宇宙ベンチャーとは、開発した商品の活用提案や試作品発注の橋渡し役を担う。
1日には、同センターで開所イベントの講演会が開かれ、宇宙ビジネスにかかわるJAXAの担当者や先発企業の実例発表などが行われた。県内の企業を中心に60人以上が集まり、聴講し、名刺交換などを行った。
開所イベントで、コーディネーターの黒田さんは「SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれて久しいが、(スペースデブリなどで)遅れをとっているのが実は宇宙利用。技術による可能性追求に民間主導で盛り上げていきたい」などと抱負を述べた。
イベントに参加していた研究機器の設計・製造企業、オオツカ(つくば市大曽根)の大塚美智夫社長(71)は「我々のような小さなところではJAXAあたりには営業をかけられないし、こちらから研究開発を提案するのも難しい。でも話によっては提供できる技術もありそうなので、情報交流の新しいチャネルが開けることへの期待は大きい」と語る。(相澤冬樹)
◆いばらきスペースサポートセンター(つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センター1階)電話080-9158-0947(平日午前10時~午後4時)ホームページはこちら