金曜日, 3月 20, 2026
ホームつくば点字ブロックのQRコードで道案内 視覚障害者支援へ つくば駅で実証実験

点字ブロックのQRコードで道案内 視覚障害者支援へ つくば駅で実証実験

点字ブロックに貼り付けられたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取りながら、視覚障害者を目的地まで、音声で正確に誘導する移動サポートシステムの実証実験が31日、TXつくば駅と隣接のつくばセンターバスターミナルで実施された。

つくば駅やバスターミナルの利用に慣れている視覚障害者は、頭の中の地図をもとに白杖や点字ブロックを使いながら1人で移動できるが、よく知らない場合、外出を支援する誘導者が必要になる。新たに開発された移動支援システムは、視覚障害者が自分のスマートフォンを使って、1人でつくば駅やバスターミナルを移動できるよう誘導する。

実証実験は、TXを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区)と、バスターミナルを管理するつくば市、システムを開発したリンクス(東京都港区、モハメッド・オサムニア社長)、システムの開発協力をした筑波技術大学(つくば市天久保)の4者が共同で実施した。

31日は、技術大で学ぶ視覚障害者の学生ら5人がそれぞれ、自分のスマートフォンを使って専用のアプリを起動し、カメラを点字ブロックに向けて、音声で誘導を受けながら、バスターミナルのバス停からつくば駅の上りホームまで、片道約340メートルを一人で白杖を付きながら歩いて往復した。

点字ブロックの曲がり角や分岐点、階段に差し掛かると、「直進3メートル」「右19メートル」「階段35段」などの詳細な音声案内があった。

実証実験に参加した視覚障害者で技術大の寮に住む保健科学部情報システム学科1年の井田怜菜さん(18)は「『右何メートル』とか細かく教えてくれてありがたい。4月に北海道からつくばに引っ越してきたばかり。知らないところではガイドヘルパーなどに頼って移動するが、アプリがあると1人で移動できる」と感想を話す。

スマホを点字プロックにかざして音声の誘導を受けながらつくば駅の上りホームに到着した井田さん

視覚障害者で技術大4年の北畠一翔さん(21)は「リアルタイムで情報を得られるので安心できる。点字ブロックがあるだけではどこにつながっているか、教えてもらわないと分からない。アプリで案内してもらえるので自分だけで目的に到着することができる」と語っていた。

開発された移動支援システムは「shikAI(シカイ)」と命名されている。今回の実証実験では、地上にあるバスターミナルから、地下にあるつくば駅構内やホームまでの延びた点字ブロックに、計約500枚のQRコードが貼り付けられた。設計図面や現地調査をもとにあらかじめ作成された点字ブロックの地図情報をもとに、点字ブロックに貼られたQRコードの位置情報をスマートフォンのカメラで読み込んで、視覚障害者の位置を確認し、1メートル単位で誘導する。

2016年から開発が始まり、17年から筑波技術大学の松尾政輝助教(29)が開発協力してきた。リンクスの小西祐一取締役によると、17年から東京メトロで実験を始めたが、当初は無線で誘導するシステムだったことから、地下鉄では案内が途切れるなど壁にぶつかった。点字ブロックにQRコードを貼り付けてスマートフォンのカメラで読み取るシステムに変更したところスムーズにいくようになったという。

現在すでに実用化されており、2020年から東京メトロの10駅と豊島区の区役所と図書館、今年3月からはJR西日本が大阪駅うめきたエリアに導入した。

つくば駅での実証実験は6月7日まで計4回実施され、安全性や利便性、効果や課題などを検証する。松尾助教は「人によってどういうものが使いやすいかは異なるが、効率的な移動手段を当事者が選べることが重要。shikAIは当事者の意見を聞いて開発された。導入されれば移動の選択肢の幅が広がる」と話している。

リンクスは、駅やバスターミナルの管理者が導入費用を負担し、利用者は無料で利用できる枠組みを提示している。導入費用は1駅当たり100万円から200万円程度で、つくば駅構内とバスターミナルに導入する場合、200万円程度かかるという。

今後つくば駅で導入するか否かについて首都圏新都市鉄道は「実証実験の結果を踏まえて4者で検討したい」とし、つくば市は「バスターミナルだけではなくて駅までシームレスにつながることが大事なので、実証実験の結果を検証して首都圏新都市鉄道と協議したい」としている。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

学校給食に金属製ナット混入 つくば市の義務教育学校

つくば市は19日、市内の義務教育学校で同日出された学校給食に異物が混入していたと発表した。教職員が職員室で給食を食べようとご飯のふたを開けたところ、直径8ミリほどの金属製のナットが混入していた。 同校の他の教職員や生徒、同日ご飯が提供された他校からもほかに異物混入の報告は無く、健康被害も報告されていないという。 市健康教育課によると、同日午後0時45分ごろ、教職員が個別の器に入ったご飯のふたを開けたところ、端の方に直径8ミリほどのナットが混入していた。 同市でのご飯の調理は、給食センターとは別に、米飯納入業者が炊飯工場でご飯を炊き、一人分をそれぞれ個別の器に入れ、ふたをして各学校の配膳室に配送している。配送された給食は、職員が配膳室から各教室や職員室などに運んでいるという。 どうして混入したかについて同課は、米飯納入業者が経緯を調査したが、19日時点で不明だとしている。 市は同日、ご飯の提供を受けた市内の各学校の保護者にお詫びの通知文を出した。

「人生という旅を楽しんで」 日本国際学園大学で卒業式

日本国際学園大学つくばキャンパス(つくば市吾妻、橋本綱夫学長)で19日、卒業式が催された。同キャンパスで学んだ49人の卒業生を前に橋本学長は「人生百年時代の中で、皆さんはこれから80年先の未来に向けて歩むことになる。80年前のことを考えると時代が大きく変わってきたことがよくわかる。これから苦難が待ち受けているかも知れないが、人生という旅を楽しんで欲しい」とエールを送った。 卒業生を代表して経営情報学部人文科学専攻の朝妻翔さん(22)は「大学の4年間で自分ができることは積極的に挑戦し、成長すること、そして一人で解決しようとするのでなく周囲の人の助けを借りることの大切さを学んだ。自分が気づかないことでも他の人の客観的な視点が必要なこともある。SNSやオンラインゲームで簡単に世界とつながれる時代だからこそ信頼できる関係を築くことが大事だと思う」と答辞を述べた。 式典では、同学部情報・デザイン専攻の伊藤祥一郎さんが橋本学長から学位記の授与を受けた。さらに優秀な成績や功績があった卒業生に褒賞が授与され、同学部人文科学専攻の朝妻翔さんと情報・デザイン専攻4年の伊藤祥一郎さんにそれぞれ学長賞が、佐藤緑咲さんに前身の東京家政学院創立者、大江スミの名を冠した大江賞が贈られた。 取手市出身の卒業生、千葉譲さん(22)は「4年間は授業とアルバイトに追われて忙しかったが、無事に卒業出来てよかった。これからはバスの運転手になるので、社会人として頑張っていきたい」と語った。 同大は1990年、東京家政学院大筑波短期大学として開学。96年に4年制の筑波女子大学になり、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度に東京家政学院から学校法人の筑波学院大学に移り、23年からは学校法人名を日本国際学園に変更した。一昨年からは姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する仙台市の東北外語観光専門学校に新たに日本国際学園大学の仙台キャンパスを設置した。 つくばキャンパスは、経営情報学部ビジネスデザイン学科に、国際教養モデル、現代ビジネスモデル、公務員モデル、AI・情報モデル、コンテンツデザインモデルの五つがあり、各モデルから選択し専門の学びを深めることができる。外国人留学生は日本文化ビジネスモデルで学ぶことができる。(榎田智司)

土浦の新小学1年生に黄色い帽子を寄付 JA水郷つくば

新年度に土浦市内の市立小学校と義務教育学校に入学する全ての新小学1年生に向けて、JA水郷つくば(土浦市小岩田西、池田正組合長)が883個の黄色い交通安全帽子を土浦市に寄付し、18日同市役所で寄贈式が催された。池田組合長から安藤真理子市長に目録などが手渡された。 交通安全帽子の寄付は同JAが地域貢献活動の一環で1977年から始め、今年で49年目となる。以前は男子がキャップ型、女子はハット型と性別で形が異なっていたが、2024年度から性別を問わず共通のハット型とした。 式典でJA水郷つくばの池田組合長は「この事業が始まった時は農協が合併する前だった。自分が入所した頃からやっていることなので感慨深い。小学1年生は、黄色い帽子をかぶっているのが知れ渡っているので、運転手も気をつけてくれる。今後も支援を続けていきたい」と話し「帽子ではなくヘルメットという声もあったが従来通り黄色い帽子となった」と付け加えた。 寄付を受けた土浦市の安藤真理子市長は「交通安全は市としても大事なことなので、長い期間寄付を続けていただき大変感謝している。子供たちには毎日元気に登下校してもらいたい」と述べた。 寄贈式では土浦市が1976年から毎年、入学祝い品として新1年生に無料で贈呈しているランドセルも用意された。ランドセルも今春から性別に関係なくジェンダーレスの薄い茶色になる(25年5月2日付)。 新小学1年生に対するJA水郷つくばの交通安全帽子の寄付は、土浦市のほか、管轄する龍ケ崎、牛久、かすみがうら、利根、美浦、阿見の7市町村全ての公立小学校と義務教育学校に対して行われる。(榎田智司)

つくばエクスプレスの車窓から《ご近所スケッチ》22

【コラム・川浪せつ子】今回はつくばエクスプレス(TX)の窓から見えた筑波山とつくば市内の絵です。TXは2005年8月に開通しました。都内からつくば市に引っ越してきた私は、それまで乗用車でJR荒川沖駅まで行き、常磐線で東京に通いました。免許証を持っていなかったので、教習所に通わねばならず、いろいろ大変でした。 TXは待ち望んだ電車でした。今は都心部から帰るとき、TXに乗り、筑波山が見えると心が休まります。車窓からの風景は穏やかで、都会の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれ、地方の良さをつくづく感じます。つくば市に来てよかったと、しみじみ思うときです。 交通の便は良くなったものの、つくば市の「景観の方はどうかしら?」と思っていました。そんなとき2月に「つくば市景観講演会」という市主催の企画があったので、参加してみました。建築業界の隅っこで仕事をしていますが、これまで景観のことはあまり考えず、受けた仕事をこなしているだけの生活でした。 「便利」だけでなく「景観」も 「つくば市の景観100」「つくば景観ルートマップ」という冊子、ご覧になったことありますか? 少し前に発行されたものですが、時々見て、絵を描く資料にしていました。つくば市とその周辺部には、ステキな自然や景観がたくさんあります。 電車も通り、人口も増え、便利にはなったものの、それは景観の悪化につながっているのだと、今回の企画で感じました。仕事で「あれ?こんなのいいの?」と思うような看板を描いたこともありましたが、ソレです。「再生エネルギー」の太陽光発電パネルが、筑波山に造られたこともありました。コレ、禁止なんじゃないの? 大学の先生の話も面白かったです。先生+市民の協力で、街を再生・進化させた事例など。 上の絵のように、つくば市はまだ開発中ですが、「便利」だけでなく「景観」も、「住みやすい街」には大切と思いました。(イラストレーター)