月曜日, 11月 4, 2024
ホームつくば一定期間、定期預金で運用 つくば市旧総合運動公園用地の売却益約42億円

一定期間、定期預金で運用 つくば市旧総合運動公園用地の売却益約42億円

つくば市土地開発公社(理事長・飯野哲雄副市長)が、同市大穂、旧総合運動公園用地約46ヘクタールを昨年グッドマンジャパンつくば特定目的会社に売却して得た利益約41億8000万円を、今年3月から、金融機関の定期預金に預けて運用している。同公社が6月1日開会の6月議会に提案する2022年度事業報告書の中で明らかにした。23年度は計約195万円の利子が付く見込みという。

売却金額110億円のうち、開発公社が市から借りていた約68億円は市に返済。残り約41億8000万円を、JAつくば市谷田部とJAつくば市の1年から5年の複数の定期預金に積み立てた。

市財政課によると、同特定目的会社との間で、10年間の間に土地売買契約上の債務不履行があれば市開発公社が土地を買い戻すという買戻特約登記を行っていることなどから、一定期間、開発公社の方で留保することとし、元本割れしない方法で運用することになった。

運用にあたっては地元金融機関を中心にヒヤリングを実施し、他と比較して高い利息で預けることができる2金融機関の定期預金に積み立てることを決めたという。預ける期間がどれくらいになるかや、将来、約42億円をどのように使うかなどは決まっていないとしている。

同用地は、市原健一前市長が総合運動公園を整備する計画を立て、2014年、市内の4金融機関から融資を受けて、同公社が約66億円で購入した。翌15年、住民投票が行われ、計画が白紙撤回された。16年、五十嵐立青市長は、同用地を「URと返還交渉する」ことを最大公約に掲げて初当選した。

その後、借入金返済に毎年3000万円を超える利息がかかっていたことなどから、つくば市は21年3月から10月まで計3回、開発公社に利息分を含めた計約68億円を無利子で貸し付け、同公社は借入金をすべて返済した。

五十嵐市長はさらに同用地を民間に一括売却することを決め、翌22年3月、市は売却先の事業者を公募し、4社の中から最も高い約110億円で購入するとしたグッドマンジャパンを選定した。同年9月29日付で所有権移転手続きが完了。市は今年2月21日、都市計画変更を実施した。現地には5月19日付で、10月1日から第一期工事を実施するという掲示板が出されている。(鈴木宏子)

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つくば駅とバスターミナルに1日導入 点字ブロックのQRコードで視覚障害者を道案内

つくばエクスプレス(TX)つくば駅構内と、隣接するつくばセンターバスターミナルに1日、視覚障害者をスマートフォンの音声で道案内するシステムが導入された。点字ブロックに貼り付けられたQRコードを自分のスマホカメラで読み取り、行き先を選ぶと、目的地までの移動ルートを案内してくれる。 TXを運行する首都圏新都市鉄道とバスターミナルを管理するつくば市、システムを開発した「リンクス」(東京都港区)が昨年5月から6月、視覚障害者が学ぶ筑波技術大学の協力を得て実証実験を実施した(23年5月31日付)。安全性や利便性が確認されたことから今回、本格導入された。 導入にあたって、バスターミナルからつくば駅のホームまで約250メートルにわたって敷設されている点字ブロックの分かれ道や曲がり角など170カ所に計791枚のQRコードが貼り付けられた。利用方法は、自分のスマートフォンのカメラをQRコードにかざし、アプリをダウンロードする。スマホ画面に表示される目的地のリストから、つくば駅のホームやバス停、タクシー乗り場などを選択すると、分かれ道や曲がり角のたびに女性の音声で「直進10メートル」「右3メートル」「その先、前方に下り階段。階段を65段降ります」などと道案内し、目的地まで誘導してくれる。 視覚障害者は頭の中の地図をもとに、白杖や点字ブロックを使いながら1人で移動できるが、知らない場所では外出を支援する誘導者が必要になる。導入された移動支援システムは、初めての場所でも1人で移動できるよう、アプリに入っている点字ブロックの地図データを基に、進む方向と距離を案内する。 市内には視覚障害者が学ぶ筑波技術大が立地するなどから導入に至った。つくば駅では2023年4月時点で月30人の視覚障害者が駅係員のサポートを受けて乗車しているという。 導入されたのは「shikAI(シカイ)」というシステム。費用は、つくば駅構内が設置費用74万円、年間利用料が18万円で首都圏新都市鉄道が負担、バスターミナルは設置費用43万円、年間利用料は11万円でつくば市が負担する。ただしアプリをダウンロードできるのは現時点でiPhone(アイフォン)のみ、アンドロイドのスマホは利用できない。 首都圏新都市鉄道運輸部つくば駅務管理所の船越順也助役は「このシステムを活用することで視覚障害者がつくば駅とバスターミナル間を不安なく移動できる環境になる」とし「導入後もお手伝いが必要なお客様には駅係員が今までと変わらずサポートします」と語り、つくば市総合交通政策課の上田洋輔課長補佐は「視覚障害者がアプリを使って、一人でも気軽につくばセンターやつくば駅に外出してくれれば」と話している。システムを開発したリンクス ソフトウェアエンジニアの藤山悠史さんは「視覚障害者がもっと気軽に一人歩きできる世の中になってほしいと開発を進めてきた。駅からバスターミナルへの乗り換えなど移動や乗り換えの選択肢の幅を広げられれば」と述べる。 同システムは2021年1月に東京メトロで導入され、つくば駅は全国15施設目。導入事業者が鉄道事業者と自治体の2者にまたがるのは全国初。視覚障害者だけでなくつくば駅やバスターミナルで道に迷った時などに誰でも利用できるという。(鈴木宏子)