若手作家の創作活動を支援しようと創設された「絵画の筑波賞」2023(主催・筑波銀行、関友商事)のつくば展が14日、つくば市二の宮、関彰商事つくば本社内のギャラリースタジオ’Sで始まった。大賞を受賞した東京芸大大学院生、伊藤藍さんの油絵「白斑」など20人の若手作家による洋画と日本画が展示されている。
創作活動の拠点を共に県内に置く筑波大と東京芸大の洋画(油画)、日本画の両研究室から寄せられた作品を一堂に展示する。在学生や卒業生など35歳以下を対象に、各研究室に作品20点を推薦してもらい、5人の審査員が大賞、準大賞、優秀賞などを選考する。2020年に始まり今年で4回目。受賞作品9点は協賛企業が買い上げて若手を支援するほか、つくばと都内で展覧会を開催し作品を発信する。
大賞の「白斑」は、前屈し丸まった裸の男性を描いた作品。作者の伊藤さんは、知的障害がある兄をモデルにした作品を描き続けている。同展に協力する筑波大芸術系の仏山輝美教授は「ふわっとした丸い塊が浮遊しているように見え、見る人は遅れて人体だと認識する。造形上の効果を計算して描いている」と評価する。
準大賞は東京芸大大学院生の川田龍さんの油絵「untiiled(Bacchus4)=無題(バッカス4)=」。キリストの受難をイメージさせるイバラの冠を付け、顔を白く塗った男性が描かれている。仏山教授は「他の作品とは一味違った大胆なタッチで、絵をまとめようとせず力強さがある」と評す。
ほかに、冬の陽だまりに身を寄せる3匹の猫を、光を使って優しいまなざしで描いた東京芸大大学院生の斎藤愛未さんの日本画「光の瞬き」、イグアナの顔を無数の模様で描いた筑波大大学院修了の澤田麻実さんの日本画「まぜこぜ」などが展示されている。
会場を訪れた市内に住む男性(75)は「両国立大学のベスト20が展示されていて、なかなか個性がある」と感想を話し、スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「実力ある若手作家の作品が展示されているので、みずみずしい感性を感じていただければ」と来場を呼び掛ける。
筑波大の仏山教授は「つくばの企業や個人にご支援いただき4回目を迎えた。若い作家の力作を見てほしい」と話している。
◆「絵画の筑波賞」2023 つくば展は28日まで。会場のスタジオ’Sはつくば市二の宮1-23-6。午前11時~午後6時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話029-860-5151。池袋展は8月23~29日、西武池袋本店6階アートギャラリーで開かれる。