つくば市と土浦市の境に位置する宝篋山(ほうきょうさん)南側の採石跡地に苗木を植えて緑化する「第7回宝篋山ふるさとの山づくり植樹祭」が13日、つくば市大形の採石跡地で催された。地元大形地区と小田地区の子供会や地域住民、採石事業者、県、つくば市関係者など100人以上が参加し、標高約130メートルの採石跡地約5000平方メートルにアカマツ、ヤマザクラ、モミジ、ケヤキなどの苗木約450本を植樹した。
2011年から2年に1度、宝篋山ふるさとの山づくり懇談会(座長・片野博司つくば市経済部長)が主催し実施している。前回21年の第6回は新型コロナにより採石事業者らが実施した。子どもたちが参加したのは4年ぶり。今回も含めこれまで7回の植樹で1万4300平方メートルに2040本を植樹した。
この日参加者は、階段状に掘削された採石跡地にかぶせられた土を10センチほど掘って、肥料を入れ、水をかけて1本1本植えていった。土は、元々あった斜面の表土を保管し、採石後に1メートルほどかぶせた。水はけが良いため、植樹した苗木の周辺を足で踏んで周囲より低くし、雨が降ったら水がたまるよう工夫した。
五十嵐立青市長や県議、市議らも参加した。初めて参加した小学4年の塚田美結さん(10)は「植えた後、苗木の周りを足で踏むのが難しかった」と話し、母親は「子供たちが植えた木が大きく育てばいい」と話していた。
採石場は地元で大形山と呼ばれてきた。現在2社が計約100ヘクタールで採石事業をしている。石はコンクリートやアスファルトの骨材として、筑波研究学園都市の建設やつくばエクスプレスの敷設などに活用されてきた。
2000年、1社が採石事業を終了する計画を立てたのをきっかけに、地元の大形地区住民から「大形山を昔のように親しめる安全な山にしてほしい」という声が上がり、03年、約1万2000人の署名を県に提出した。04年、県が緑化の事業計画を策定し、斜面の勾配、植樹する樹木の種類、防災機能の強化、緑化後の景観や生態系の回復策など住民の要望が取り入れられた。09年から緑化のための工事が始まり、11年、植樹祭がスタートした。
同ふるさとの山づくり懇談会副座長で、地元の山づくり委員会委員長の宮川茂さん(69)は「(採石後の)斜面の傾斜をなだらかにしてほしいと1万2000人の署名を集めて要望書を出し、県と勉強会を開いて(緑化の)事業計画書を作った。植樹祭はこれまで小学5、6年生に参加してもらっていたが、今回から年齢を限定せず、小さい子も保護者と一緒に参加してもらった。将来、子どもたちが地元に残れるよう、少しずつでも地域が活性化してくれれば」と語った。
採石事業者、塚田陶管(本社・土浦市藤沢)の塚田陽威会長(79)は「ここで昭和30年代に採石を始め、これまで1億トン近くをつくばのまちづくりに使ってきた。20年ぐらい前、大形地区の皆さんから、採石した跡の傾斜がきついという話があり、45度だった勾配を、なだらかな30度の傾斜にした。植樹祭は地元住民の要望で始まった全国で初めての事業。採石した石が骨材としてどのように使われているかについても、知ってもらう機会になれば」などと話していた。